第1章第14話〜vs石川ヒナ〜
第1章決着の時です、どうぞご覧下さいませ。
「殺す…!」
「助ける!」
両者互いに刃を向け合う状態。
「貴方には私を止めることなどできない…!」
『タイム・ストップ!』
時が…止まる…
「これで…首を刎ねる!」
ヒナが大剣を横一文字で首を刎ねようとしたときだった。
「悪いが約束したんでなお前のお母さんに」
首に当たるギリギリで渡辺は刀で防いだ、そして時が動き始めた
「何故…貴方が…止まった時間の中を…」
「お前のお母さんから貰ったんだよ、自分の命を掛けてまで俺に託してくれた。」
そしてヒナを押し出す。
「幾らお前が時を止めても俺は止まった時の中を動くことができる」
『疾風斬』
距離を詰め横を薙ぐ、この時初めて攻撃が通った。
「ぐぅ…!?」
ヒナの顔が歪む、しかし態勢を立て直し構える。
「調子に乗らないでください…」
『熔解斬!』
鉄を簡単に溶かす程の温度で相手を斬る 熔解斬
「自分の心を見失うんじゃねえ!」
『破岩斬!』
両者互角、煙が舞うそしてその煙の中から人影が見え
『マッハパンチ!』
勝斗の左腕がヒナの脇腹を捉える。
「調子に…乗るなぁ!」
『デストロイ・レーザー!』
自身の周りにランダムにレーザーを撃ち込む技 デストロイ・レーザーが放たれうち一つが勝斗に命中した。
「ぐっ…」
(威力がどれもデケェ!油断したら次こそ本当に死んでしまう!)
「…それでも!」
勝斗は踏ん張った。
「お前を!助けるって!誓ったんだ!」
「…分からない!なんで何も知らない貴方が!私自身ですら分からないのに何故貴方が!私を語るのですか!」
「お前のお母さんが!語ってくれたんでなあ!」
「私に母なんていません!生まれた時から私は孤独だったとバイケル様は言っていました!」
「それ自体が嘘だ!」
両者斬り合いながら叫ぶ。
「お前のお母さんはそのバイケルとやらに殺された!お前は実験体として操られてるだけだ!」
「そんな筈はない!私は…私は!」
ヒナの太刀筋が一瞬緩む、勝斗は大剣ごとヒナを押し出した。
押し出されたヒナが再びこちらに向い刃を振るう。
『凱接斬!』
『極炎刃!』
互いの剣技がぶつかり合い火花が散りあう。
「ぐぅぁ…!?」
ヒナの背後から光の剣がヒットし、態勢を崩す
(いつの間に…!)
『雷牙突!』
(ここしかねえ!)
勝斗が雷牙突で突っ込みヒナは防御の態勢を取るも僅かに遅れダメージを負う。
(今の一撃…そこまで効いてないか!)
雷牙突は失敗したな…と判断する勝斗。
(今の一撃…相当こちらにダメージを与えられた…)
回復する暇がないな…と判断するヒナ。
両者互いに武器を構え見合う。
「もう降参したらどうだ?」
勝斗はヒナに対して降参を呼び掛ける。
「…それは無理な話ですね。」
ヒナはそれを拒否する。
(…なんでしょうこの感覚…)
ヒナは違和感を感じていた。
(あの人が言ったことが頭から離れない…)
『お前のお母さんはそのバイケルとやらに殺された!』
(…なんででしょう納得してしまっている自分がいる…)
(でも…それだけじゃない…)
『お前を!助けるって!誓ったんだ!』
(あの言葉が頭から離れない…何故でしょうか)
「…分からない」
「…?」
「…いいえただの考え事ですのでお気になさらず…ただ一つ知りたいのは本当母がにいたのなら…母は私をどう思っていたのでしょうか」
「…丁度遺言を預かっている、聞かせてやるよ。」
勝斗はヒナの薄く紅い目をしっかりと見つめる。
「『愛してる』…だとさ、あんな風になってもお前のお母さんはお前を愛していたんだ」
ヒナが目を少しばかり大きく見開き少しばかり過呼吸になる。
「お…おい…大丈夫か?」
流石に今は敵といえども急に過呼吸になると心配にもなる…しかしヒナはすぐに落ち着きを取り戻し勝斗に向き合う。
「…母の最期を看取ってくださった事には感謝します…しかしそれで私が止まる理由にはなりません。」
「この一撃に全てを込めます。」
ヒナは大剣を両手で持ち、マナを籠める。その量は勝斗ですら驚愕するほどだった。
「そっちがその気ならこっちも全力で応えてやるよ!」
勝斗も刀を構え大量のマナを籠める。
「一刀両断…最終奥義…」
『豪炎白虎!』
勝斗を刀に蒼炎を纏わせヒナに向かう。
『大巌奏斬!』
対するヒナも大剣に黒いモヤを纏わせ勝斗に向かう。
両者ぶつかり合い、力は互角…しかし少しずつ勝斗が押され始める。
「ヒナァ!お前はぁ!何がしたいんだぁ!」
「…!」
勝斗はヒナに問いかける。
「私…は…」
「居場所が無いなら一緒に作ってみせる!誰かと居たいなら一緒にいれる!親の仇が取りたいなら一緒に取ってやる!」
「…!」
ヒナの顔が歪み、力が再び互角に戻る。
「私は…私は…!」
爆音が響き渡り爆発が起こり、煙が晴れる。
勝斗の刀は折れていた。
「…なぁ、ヒナうちに来なよ」
「……」
「うちに来れば一緒にいてやれる、親の仇も取って見せる。」
勝斗が手をヒナに差し出す、ヒナが手を取ろうとした瞬間、勝斗が倒れた
「…え?」
ヒナが唖然とした表情をする。
「あー…これ不味いなぁ…」
「何…で?」
ヒナが勝斗に問いかける。
「さっき使った豪炎白虎の時に全部のマナと自分の命も使い切る覚悟で使ったから…その反動だろうな…ギリギリ持ったと思ったんだけどダメらしいな…」
「なんで…私にそんなにするの?」
「…なんでだろうなぁ…俺も親を殺されてるから同情に近いやつなんじゃねえかなぁ」
「馬鹿じゃないのですか…自分の命までかけて…敵である私を…親の仇でもある私を助けるなんて…」
「ハハ…そうかもな…でもお前には俺みたいに1人で悩まないようになって欲しかった…」
「…っ」
「なぁヒナ…お前は俺みたいになるなよ…これからは…彼等がついているから…もう…1人じゃないから…」
勝斗の目が細くなる。
「お前の親の仇…取ってやれずに死ぬなんて…ごめんな…一緒にいてやれなくて…ごめんな…」
そう言い勝斗の息は止まり目を閉じた…
「…させない…勝手に説得しといて…勝手に私を助けておいて…勝手にいなくなるなんて…許さない…」
ヒナが勝斗の亡骸に触れる。
(私の時間を止める能力をこの人の命に変える…私の時間を止める能力は無くなるけど貴方の命に比べたら安いものよ。)
『リザレクション実行!』
勝斗の身体が金色に一瞬光ると勝斗は目を開いた。
「…え…?」
「良かった…間に合った…」
ヒナは安堵した。
「どうして…」
「貴方のせいよ…私を勝手に説得して、私を助けた貴方のせいよ」
「んな理不尽な…」
「兎に角!一緒にいてくれるんでしょ!だったら勝手に死なないで!」
ヒナは勝斗に怒鳴る。
「え?あ…あぁ…」
勝斗は呆然とした表情で頷き、立ち上がる。
「…何はともあれ…ありがとうな。」
「…それは私だって同じです…」
「さっじゃあ帰るか」
「帰るって…何処に?」
「決まってんだろ?俺らのアジトさ、そしてその後お前の釈明とか入隊手続きとかさー…色々あるんだよ…」
2人がそう会話をしていると
「勝斗!大丈夫か!」
「雄二くん!弘くん!大丈夫だった!?清岡くんも!
」
「おう、お前の師匠が来て抑えてくれてたからなんとか」
「ってか勝斗…そいつ…」
清岡がヒナに指を指すとヒナは気まずいのか勝斗の背中に隠れてしまった。
「あー…まぁ色々とあったんだわ…帰りながら説明するからそれで良い?」
「その様子だともう大丈夫なんだな」
雄二が勝斗に言うと勝斗は頷き歩き始める。
「一旦大将に報告と…どうにか釈明をしてうちに入隊させるか…」
そう言いながら勝斗達は林と田村が待機している京都のホテルへと歩みを進めて行った。
ーー二条城二の丸ーー
「ったくあの餓鬼ども俺を置いて行きやがった…まぁそれはそれとしてどーでもいいんだが…」
充は殺した数多の妖怪の死体を見ながら煙草を蒸し呟く。
「…あの鬼の死体が見当たらないって事は逃げたか…これはまた厄介な事になりそうだ…」
数日後…
ーーネオ・プリズム本部評定の間ーー
「ーと言うことなのですが…」
勝斗はヒナと共に光一に二条城での戦闘と戦争を引き起こしたヒナの釈明を行っていた。
光一は目を閉じるその顔は何かを考えているようであった。
「勝斗君…」
「…はっ…」
「正直彼女が起こしたこの戦争は下手をしたら民間の人々も多く亡くなる可能性がありました…それを鑑みると私は到底許せる気がしません。」
返ってきたのは拒絶の一言だった勝斗が苦い顔をして口を噛み締める。
「ーですが」
光一が口を開くと勝斗は顔をあげる
「勝斗君が命をかけてまで助けたのであるなら…私は許可をしますし、入隊許可をも出します。」
「…では!」
「はい、石川ヒナさんは今日今この時、私達の一員となりました。どうか勝斗君お願いしますね、そして…ヒナさんも」
「「はい!」」
2人は顔を見合わせ微笑み合い退出する。
「…あれを見るとなると許したくなくても許してしまうのが人って事なのですかね…」
光一は呟き、微笑んだ。
次は後日譚を書いて第2章を書こうと思います。




