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支配された世界の英雄は仲間の不幸に涙する  作者: ラード
1章 マナ編
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1章30話 商人と村

 「どうぞ」


 部屋の中からマスターと呼ばれる男の声が聞こえたので、私はドアノブに手をかけてゆっくりと扉を開いた。

 部屋の中を見ると部屋の奥にある机にはマスターと呼ばる男が座っていてその前にイザベラさんがいて何かを話してるようだった。


 「あぁ!君か!ちょうどよかった!今君の話をイザベラ君と話していたんだ!おっとその前に謝らないといけないね!すまなかった!私としたことがいろいろ取り乱してしまった。もう一度しっかり話を聞かせてくれないかい?」


 マスターと呼ばれる男は私の前まで来るとしっかりと頭を下げてくれた。


 「だ!大丈夫です!こちらこそ汚してしまって申し訳ございませんでした。」


 「そのことなら気にしなくていいですよ!もとはと言えば私が悪いんですから。」


 「ありがとうございます。」


 「っと!まだ自己紹介もしていなかったね!私の名前はデュークと言います。冒険者ギルドロンロン街支部のギルドマスターをしています。ギルドのみんなはマスターだったりデュークさんだったり呼ばれてるからマリちゃんも好きに呼んでくれていいからそんなに硬くならなくてもいいからね。」


 「よろしくお願いします。デュークさん!」


 「これからよろしく!マリ君!っと!その前にマリ君はまだ冒険者登録終わってなかったんだったね!じゃあまずはそっちに座って冒険者登録をしようか。」


 デュークさんに案内されて部屋の左側にある来客用っぽい四角いテーブルの周りにある見るからにふかふかそうな椅子にすわるとデュークさんが対面に座り、その隣にイザベラさんが立っていた。

 テーブルの上には明らかに今さっき買ってきたであろう子供が好きそうなお菓子が置いてあり私はデュークさんからの謝罪の気持ちなのだろうと受け止め、何となくデュークさんが優しい人だとわかった。


 「イザベラ君……別にマリ君の冒険者登録をするだけなんだからそんなにかしこまらなくてもいいだろう!イザベラ君も座りたまえ。」


 イザベラさんはデュークさんに耳打ちをしてそのあと少しふたりでこそこそ話始めた。

 

 「はい!失礼します。」


 話はついたのかイザベラさんは大人しくデュークさんの隣に座った。


 「じゃあまず身分証を見せてくれるかい?」


 「はい!」


 そういって私はロンロンの街で作った身分証を渡した。


 ……………………


 デュークさんは私の身分証を見ると凍ったかのように動かなくなり、それを不思議に思ったのであろうイザベラさんがデュークさんの手にある私の身分証を見て動かなくなった。


 「えっと……私の身分証……なにかおかしいところありました?」


 「あぁ……すまない……そうだな……ツッコミどころは何個かあるが……じゃあまず身分証明者の部分だが……このキリルっていうのは商業ギルド本部監査部門長キリル・バーンテッドであっているかい?」


 私はデュークさんの言っていることがわからなくてポカンとしてしまう。


 「えっと……わたしの身分を証明してくれたのはフォルンの村によく来るただの商人のキリルさんですけど。」


 「はぁ……この感じだとあいつこの子になんも教えてないのかよ!まったくあいつは変わらねーなー!」


 「マスター……起こる気持ちをわかりますが口調が……」


 「んんっ……次にだが……マリ君はフォルン村出身であっているかい?」


 「は……はい!」


 「そうか……このロンロンの街ではフォルン村のことを不思議村と呼んでいるのだけれどそのことはしっているかい?」


 フォルン村が不思議な村?私は何のことかわからず首を左右に振った。


 「10年前勇者が敗北宣言をしたのは知ってるかい?」


「はい…私が生まれた時のことなので実際に見たわけではないですけどパパとママには聞きました。」


「そうだね…あれは凄まじかった…あの時から魔王城のあるエルフの森フォーレを中心に魔法国家メジィーと魔族国家ディモンが魔王と和平協定を結んだことによって私たちが住むリア大国は経済難に陥り謎の魔物の大量発生も重なったことによって小さな村はどこも崩壊し、それぞれある程度大きな街に避難するという流れが国内で5年くらい前から続々行われています。」


「そうなんですね…私…知りませんでした。」

 私がフォルンの村に生き悩んでいたことはとても小さく私は世界のことを何も知らないのだと思い知らせれた


「フォルンの村から出たことなかったのだから仕方ないことですよ。実際このロンロンの街でも5年前くらいから周辺の村が崩壊して村民が流れ込んだことによる人口増加が問題になったくらいだったんだよ。」


「大変でしたね…」


「そんな時でした…キリルが大量の魔物の素材を持ってきたのは…」


「キリルさんが…大量の素材ですか…」


「そうだ…その素材の仲介料金を元手に商業ギルドと冒険者ギルドを中心にして街の経済を回し人口増加の問題解決を成功させこのロンロンの街での商業ギルドと冒険者ギルドの立ち位置が上がりキリルに関しては監査部門長まで出世しました。」


「キリルさんってやっぱりすごいですね。」


「そしてキリルは権力を使い大量の素材を仕入れた場所を自分専属にして他の商人の立ち入りを禁止したのです。」


「キリルさんが専属に…」


「その場所はロンロンの街復興の鍵となったことで注目を浴びていたがキリルはその場所のことを黙秘していてキリル専属になったことでその場所の名前が好評されました。」


「もしかして….その場所って…」


 この話の流れで私の頭に明確な答えが出てきていた。


「そうですあなたが住んでいたフォルン村です。」


 私の推測が確信を得たことでデュークさんが知らない部分まで私の中で明確になってくる。


 そして目の前のデュークさんの顔を見て私は唾を飲みここまでのことを思い出し、ここにいる2人が信用できる人だと私の中で決定した。

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