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支配された世界の英雄は仲間の不幸に涙する  作者: ラード
1章 マナ編
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1章 20話 早すぎるスランプ

 ヒナさんに魔法を教わり始めてから2か月が過ぎた今……私は予想通りのスランプに襲われていた。


 「ヒナ……そう落ち込むな火魔法や水属性が使えるようになるにはやはり使える者に教わるか文献を探すしかないんだろう……よし!ロイドに頼んで文献か家庭教師を探してもらうか!」


 「嫌です!ヒナさん以外の人に教わるなんて!」


 「そうか……じゃあ文献を探してもらうか……」


 「それも嫌です!パパにここで頼ったら結局親の力じゃないですか!私は自分で強くなりたいです!」


 「そういってもな……これ以上私がマナにできるのは魔力量の増やす訓練と魔力操作の訓練くらいだ……それじゃあもったいないじゃないか。ヒナは魔力量だって多いしこんなに早く基礎を習得できたんだから。」


 「わかってます!だからこそ私は自分で魔法を使ってみせます!なのでお願いします!ヒナさんが風魔法と土魔法を使う時のこと詳しく教えてください!」


 「前も言ったが風魔法はまず使う魔法をイメージして魔力を必要な量押し出せばそれが風になり発動する。土魔法もまずは使う魔法をイメージして地面に魔力を流し魔力を固めると発動する。こんなかんじだな」


 うーん……どちらの魔法も魔法をイメージするのは一緒で魔力の使い方が違う……火と水の場合は……そもそも私火魔法も水魔法も見たことないからイメージがなー。


 「ヒナさんは火属性の魔法と水属性の魔法って見たことありますか?」


 「あぁ見たことあるぞ」


 「どんな感じでした?」


 「確か火属性と水属性の初期魔法は似ていて確かどちらも手のひらの先に火の球や水の球をを浮かべて前に放つって感じだったな」


 「ありがとうございます!そのイメージでやってみます!」


 とりあえず魔法のイメージとしては火の球を浮かべて……魔法適性を調べる儀式のときもヒナさんの記憶も頼りにするなら左手に魔法を集めて放つ感じかな?よし!左手を前に出して魔力を集めて放つ。


 結果として私の手の先から魔力が抜けていくだけで火の球は作れなかった。


 「はぁ……私才能ないのかな……」


 「いや!そんなことないぞ!やはりいちから魔法を使うことが無謀なんだ!大人しくロイドに頼もう!」


 「ヒナさん……もう少し待ってください!もう少しな気がするんです!」


 「まぁ私はいくらでも待つが……あんまり無理はするなよ!」


 そしてその日から私は自力で火魔法や水魔法の使い方を考えつつヒナさんの指導で魔力量と魔力操作を鍛える日々が続いた。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「どうやったらできるんだろう……」


 私は今考え事をするために初めて魔女の森に入った。

 

 この魔女の森西側はヒナさんやアキトが魔物を退治しているので魔物の数は少なく比較的安全だ。


 「あーもう!魔女の森ってこんなに歩きづらいの?私の服汚れちゃったしあーここなんて破れてる!お忍び用の服でよかった!もしこれがいつもの服だったら……ママに……ふぅ……免れたんだから考えるのはやめとこ……」


 そんなこんなで私が魔女の森を歩いているとひとつの開けた場所についた。


 「ここどこだろう?」


 その場所には一本の大木があり、その周りは開けた土地になっていた。


 私はなぜかこの場所に懐かしさを感じた。


 「おい!ガキ!こんなところで何してるんだ?魔女の森は魔物が出るんだからお前ひとりじゃ危ないだろ!てか!師匠が探してたぞ!」

 

 「なんだ……アキトか……」


 「なんだとは何だよ!お前弟弟子……いや!妹弟子だろ!」


 「はいはい……てか!あんたこの場所のこと何かわかる?」

 

 「なんだよ急に……この場所は師匠が言うには魔物が来ない場所らしい……あとは師匠のお気に入りの場所らしい……」


 「なんかヒナさんの気持ちわかるな~なんか懐かしい感じしない?」


 「懐かしいかんじね~わかんないなーどっちかというと嫌な感じがする」


 「やっぱりあんたと私は価値観が違うのね……いや!私とヒナさんの価値観とあんたの価値観が違うのか!」


 「なんだと!兄弟子に向かってその態度はおかしいんじゃない?」


 「さっきから兄弟子だの妹弟子だのほんと小っちゃいわね!そういうとこがアキトはまだガキなのよ」


 「なんだと!師匠にマナが悩んでるようだから話聞いてやれって言われてたけど聞いてあげない!」


 「なんでヒナさんはこんな奴に私の相談相手を……まぁそうね……私は今猫の手も借りたいの!私の相談聞いてくれる?兄弟子さん!」

 

 「そうだね!この兄弟子様がお前のずっと悩んでるちっぽけな悩みを解決してあげるよ」


 「はぁ……ムカつくけど……お願いするわ!」

 

 そして、私は魔法の使えないアキトに火属性と水属性のことを話した。


 この時の私はアキトから答えが出るなんて思ってはおらずただただ頭の中で絡まった情報を吐き出すことで情報の整理とストレスの発散がしたかっただけだと思う。


 「僕は魔法使えないから良くわかんないけど難しく考えすぎなんじゃない?」


 「はぁ!?どうゆうこと?」


 「なんか魔法だからとか魔力をとかは知らないけど師匠の魔法はもっと自然的できれいな気がする?」


 「私だってそんな気はするけどそれを再現するのに困ってるんでしょ!」


 「師匠は風魔法使うのに押し出して土魔法使うのに固めるんでしょ?僕の感覚なんだけどさ僕が剣を振る時って小さな風ができるし!それに石とか土とか切ると細かくなるか逆に土を固めれば塊になるそれってすごく自然的で師匠の魔法に近い気がする。だからまずどうやったら魔法がつかえるかじゃなくてどうやったら火や水ができるかが大事なんじゃないか?」


 その時私の中の悩みの種が芽吹いた気がした。


 「……火や水がなんでできるか……」


 私は頭の中で新たな悩みがどんどん出てくるがそれが一歩進んだ証だった。


 「まぁそこらへんは師匠の方が詳しいんじゃないか?」


 確かにヒナさんなら!


 「そうだね!行ってくる!」


 私の体が答えを求めて突き進む!


 「おい!#$&%&%!」


 アキトが私に何かを言ったのだがその言葉が入ってこないほどに私の頭は魔法のことでパンパンだった。


 アキトに話しかけられたことで私の頭の中にアキトのおかげで魔法が使えるかもしれないなのにまだ感謝の言葉すら言えていないことを思い至り私は振り返る。


 「ありがと!あんたのおかげで分かった気がする!さっすが兄弟子さん!」


 思い出した……僕はこのころただただ必死だった……師匠のことしか見ておらず、この時のマナの満開に咲いたかわいい笑顔すら僕の記憶には残っていなかった。

 いや、今ならわかるがこのころの僕は師匠以外に抱いてしまったこの感情を封印したくて記憶から消し去っていたんだと思う……

 そのことを物語るようにこの時の僕はこの時マナを追うことなく放心していた。

2026/3/25:森→魔女の森に変更

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