1章9話 後悔と旅立ち
「なんだかんだ村に1人で行くのって初めてだな…いつもはマナか師匠の付き添いだったからな」
そう考えたらなんか緊張してきたぞ…まず僕村の人に嫌われてるんだよね…まぁマナに謝ったら早く町に行こ
「そういえば僕…マナの家知らない……」
まぁ!ロイドさんは村長だって言ってたしこの村で一番大きな建物を探せば見つかるんじゃないかな
なんかいつもより見られてる気がする…やっぱり嫌われてるんだな僕…
そんなこと考えながら歩いていると人影が僕の方へと歩いてきた
「……」
僕はあまりの驚きに声が出なかった。
そこには、僕の記憶の中の彼が嘘だというような痩せこけた姿をしたロイドさんがそこにはいた。
「ロイドさん、お久しぶりです。だいぶ痩せましたね、何かあったのですか?」
僕はロイドさんの異常さを感じながらそれを騙すように普通に話した。
「……」
ロイドさんはそれに対して無言で返した。
「あのー僕、師匠を探すためにも町に行こうと思いましてその前にマナさんに挨拶をと思ったのですが、」
その言葉を聞いたロイドさんの瞳孔が開き僕の目の前まで進んできた彼は僕の頬を思いっきり殴った。
「えっ?急になんですか!」
その言葉でロイドさんの瞳孔はさらに開き今まで開かなかった重い口を開けた
「……お前3年前の祭りの日マナに何をした。」
3年前?なんのことだ…祭り…あ!あの喧嘩からもう3年も経ってたのか!ほんとに時間の感覚がなくなっていてわからなかった
「すみません、僕は3年前の祭りでマナさんと喧嘩してしまい遅くなってしまいましたが今日はそのことを謝りにきました。」
「お前はふざけているのか!…3年前のあの日!マナは泣きながら家に帰ってきて私たちが話を聞く暇もなく部屋にこもってしまった、そして次の日部屋から出てきたと思ったらいつも通り君のところに向かったその時のマナの姿があまりに苦しそうで私は……
話すことすらできなかった。それからマナは帰ってくることはなかった…そして部屋には私は冒険者になってアキトのために師匠を連れてくる!ロンロンの町まではキリルさんに乗せてもらえないか頼むつもりだから安心して!と書いてある紙が一枚あるだけだった。私たちが止めるまもなくマナは旅に出て行ってしまった。村の人たちでロンロンの町を探したら行方不明の冒険者のリストにマナの名前があった。冒険者を雇ったり私たちでできる限りクエストの目的地だった森を探索したが森の魔物による被害者が出るだけで見つからなかった。冒険者ですら帰ってこなかった!さらに森ではゴブリンが大量発生し始めた…そんな中お前はマナに謝りに来るどころかずっと修行でもしてたんだろ?今更謝りにきた?お前はふざけてるのか?なんでお前はすぐに謝りに来なかった!お前のせいで…こんなことはいいたくないがやはりお前は厄災の種だったようだあの時善意でヒナさんとお前を村に迎えるべきではなかった!……お願いだ…今すぐ出ていってくれこの村から、」
ロイドさんはカセが外れたように言葉を吐き終えると膝から崩れ落ちて号泣し始めた
マナが…行方不明?なぜ?なんで?わからない?僕のせい?3年前から?なぜ気づかなかった?なぜ謝りに行かなかった?僕があの時すぐ謝ってたら、そもそも僕があそこで喧嘩しなければ……マナは生きているのか?もしかして死んでしまってるのか?僕のせいで…僕のせいで僕のせいで……
「………………」
僕の心が壊れていくのを感じ、自分の心を守るためにも叫びたかったのだが、目の前で泣き続けるロイドさんの姿を見ると自分には叫ぶ資格もないとわかり俺は走って村を出ていつも修行で使っている西の森ではなくロンロンの町のある方の北の森へと向かった。