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【ホラー 怪異】

悪魔のコレクション

作者: 小雨川蛙
掲載日:2024/12/11

 

 突如現れた私を見てあなたは暫し呆然とする。

「一体どこから?」

 当たり前の問いだ。

 何せ、彼は閉じ切られた自室にいるのだから。

「どうやって入った?」

 慌てた様子でそう問いかけるあなたに私は告げる。

「死にたいのですか」

 問いかける必要もないと思った。

 何せ、あなたの左腕には幾本もの切り傷が出来ていたから。

 カッターナイフを持つあなたの手が震えていた。

「死神か」

 あなたの問いかけに私は答えない。

 しかし、あなたは勝手に納得した。

「僕は死ねるんだな」

 都合良く解釈を続けていく。

「ようやく僕は死ねるんだ」

 きっと、あなたはずっとそうして生きてきたのだろうと私は思った。

 故にこんな状態においても、自分自身の望む通りになると思っている。

「あなたの命をくれますか?」

 故にこんな怪しげな問いにさえ、あなたはあっさりと首を縦に振る。

「あぁ、持って行けよ。この命」

 死にたくて、死にたくて仕方ない。

 そんな死にたがりの命に触れ、私は微笑んだ。

「ありがとうございます。これでまたコレクションが増えました」

 怪訝な顔をしたあなたは一瞬で一つの可能性に気づいたが、もう遅い。

 あなたはもう私に命をくれたのだから。


「出せ! 出せって!!」

 牢屋の中であなたが叫ぶ。

「出しませんよ。あなたは命をくれたのだから」

 あなたは言葉に詰まる。

 その様と思いはあなたが本当は生きていたかったことの証明だ。

 しかし、あなたは認めずに言う。

「なら殺せ! 殺してくれ!」

「殺しませんよ。殺人は悪い事だから」

 私の言葉にあなたは歯ぎしりをする。

 今更悔いても遅い。

 あなたは私に命をくれた。

 だから、あなたはもう私の物だ。

 私は伸びをして立ち上がり、新たなコレクションをしまっている部屋から出た。


 そう。

 ここは私のコレクションをしまう空間なのだ。

 我ながら悪趣味だと思う。

 自殺をしたいのに死ねない者達を集めるなんて。

「さて、次のコレクションを探すか」

 そう言って、私は黒々とした悪魔の羽を開いて再び人間の世界へ降りて行った。

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