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学校のウワサ

 ある中学校での出来事です。古くからあるその学校は歴史とともに多くの奇妙な話が伝えられていました。その中の一つに準備室の古い顕微鏡を覗くと、見えないはずの「何か」が見えるという噂があったそうです。


 中学一年生の宮野は入学して早々にその噂に深い興味を持ちました。ある日、放課後にその顕微鏡を試すために準備室に忍び込むことにしました。準備室は薄暗く、静まり返っていました。宮野は古い顕微鏡を取り出し、覗いてみました。しかし、特に異常はありませんでした。


 その夜、宮野は何故か夢見が悪く、何度も目を覚ました。翌朝、目を覚ますとスマートフォンに不明な番号からの着言が何件もありました。宮野は少し気味が悪いと思いつつも気にせず学校へ向かいました。


 放課後、宮野は急いで教室を飛び出し、再び準備室の顕微鏡を覗いてみました。すると、顕微鏡の中にぼんやりとした人影が見えました。それは女性の姿で、彼女は何かを言おうとしているようでした。宮野はその場で足が凍りつくような恐怖を感じました。


 その夜、再び不明な番号からの着信がありました。宮野は怯えながらもその電話を取ってみることにしました。すると


 「知らない方がいい....」


 と低い声が電話越しに聞こえてきました。宮野は恐怖で言葉を失いました。しかしその声はどこか馴染み深い、それでいて悲しげな声をしていました。


 翌日、図書館で調べてみると、一〇年前に一人の女性教師が事故で亡くなっていたことが分かりました。交通事故で亡くなったらしくお腹の中の赤ん坊も一緒に亡くなってしまったようでした。


 その女性教師の名前は「宮野恵子」でした。宮野は自分の名字と同じことに違和感を覚えました。というのも宮野は幼い頃に母親を亡くし、祖父母に育てられていたためです。


 その夜、宮野はますます眠れない夜を過ごしました。不明な番号からの着信が再びありましたが、もう恐怖のあまり電話に出ることもできませんでした。部屋の隅にあるスマートフォンが鳴り続ける音が、まるで彼に何かを伝えようとしているように感じられました。


 次の日、宮野は学校に行き扉を開けると友人たちが宮野の方を不思議そうに見つめていました。誰もが何かを言おうととするものの、言葉にできずにいました。宮野はその視線を気にせずに授業を受け、放課後になるとまた理科準備室に向かいました。


 準備室に入ると、古い頭微鏡が彼を待っているかのように静かに佇んでいました。宮野は顕微鏡を覗き込みました。再び、ぼんやりとした女性の姿が見えました。しかし、今度はその顔がはっきりと見えました。彼女は涙を流しながら何かを訴えていました。


 宮野は驚き慌てふためいて準備室を出て荷物を取りに教室へ戻りました。また先程の友人達が何か言いたそうにこちらを見つめていましたが宮野は構わずその場を立ち去りました。


 ある中学校での出来事です。古くからあるその学校は歴史とともに多くの奇妙な話が伝えられていました。その中の一つに一年三組の教室は閉めても閉めても気づくと扉が開いていて、幽霊が悪戯をしているという噂があったそうです。

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