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鬼の子達のカーテンコール  作者: 岩野匠鹿
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Introduction 新たな居場所

この作品に興味を示して頂き、誠にありがとうございます。

本作品は、ミュージカル小説と称しております。


基本、1話ずつでは文字数を少なくし、読みやすくする努力をして参ります。どうか、これからも宜しくお願いいたします。


この世に神などいない。

何故なら、世が腐っているからだ。












森の奥に買い手も持ち手もいない、古びてゴーストハウス見たくボロボロになった屋敷。怪奇な事か、中から幼い歌声が聞こえると言う。


中には、4人の子供が住み着いている。立派に生きている人間だ。……いや、世が言うなれば、鬼の子。またの名、魔女の子。





この世では鬼の子とは忌み嫌われる存在。


生まれつき、顔の一部に変わった形の痣がある。どこに出来るかは個々それぞれだが、人はそれを悪魔との契約の証だの根も葉もない噂だけを信じ、虐げては暴力、そして居場所を奪っていくのだ。



痣ができるだけならここまで忌むかは首を傾げるが、鬼の子は人であれば有り得ぬ異能力を持っており、軽く生物の息の音を止めてしまう。

過去にもその様な被害があるだけに、噂の一人歩きを止めることは出来ないのだ。



屋敷に住み着く幼い鬼の子達も、生まれ落ちた瞬間から捨てられては商人に売られ、生まれてはいけない存在だと言われて育ち、奴隷として、見世物として、そして商品としてたらい回し。


辛いかは分からない。だが、自由が欲しかった。


逃げるように脱し、行き着いたのが例の屋敷である。生まれや育ちが違う4人だったが、境遇は同じ。家族のように、兄弟のように、ただただ笑い合えた。

皆歌が好きで、自分たちでこんな歌を歌おうと作ったり、過去聴いた曲を歌ったりと、平和に暮らしていけるものだと……思い込んでいた。


































眠りから目が覚めて、眠気眼をゆっくり開く。


眼を開いているはずなのに、光を感じられない。顔には何かが触れている感覚があるし、下からの突き上げもある。どの方向からもガラガラと音も聞こえる。


何事かは、すぐに理解出来た。


眠っている間に4人とも拐われ、麻袋を被せて馬車に載せられ、これから売られに行くのだと…。

こうなれば、もう何も出来ることはない。ただただ馬車に行先を待つしかないと、哀しきかな分かってしまうのだ。










あれからどれだけ揺らされただろうか。突き上げと劣悪な環境で体が不調を訴えかける。どうせ治しても貰えないのに。


そんな時、馬車が急停止。中にいた4人が前方向に倒れ込んでしまう。

外からも音が聞こえない。商人が休憩に入ったかと思っていた。



そんな予想と反して、馬車のドアが開く音がした。直後、被せられてた麻袋が剥ぎ取られ、久しく見てなかった外の景色が闇夜となって飛び込んでくる。周囲を確認すると、ほかの3人もいて、顔を露わにされていた。


ふと見上げると、商人であろう丸々と肥えた髭面の中年と、白をベースとした装束を纏った仮面をつけた人がいた。どうやら買い手が現れたのだろう。


鬼の子を4人で商品化は珍しいだの今なら勉強しますよだの、この肉達磨は気に入られ文句ばかり並べて、いかにも富豪そうな客に媚びている。客も悪い感情を出してないので決まりそうだ。



商談が纏まり、早速引き取りの段階。すると客は、この4人を金貨20枚で買うと言い出す。

肉達磨は突然の申し出しに驚愕していたが、大金を払って貰えることへの喜びが隠し切れていない様子。


この国での金貨の価値はかなりの物で、1つの家に1枚あれば中々稼いでる人だと言われるほど。銀貨10枚分の価値と同等だが、東洋の日本と言う国の通貨を参考にすると、金貨1枚で100万円の価値がある。銀貨が10万、銅貨が1万、それより下は通常の貨幣紙幣が出回る……と言った具合。


そして目の前の客は、それだけの大金を叩いて鬼の子を買い取るろうと言うのだ。過去にも物好きはいたが、ここまでは初だ。



「フッ…」



気のせいか、客が鼻で小さく笑った。肉達磨以外全員聞こえた。



支払いの時が来て、4人は客の前に立たされた。縄はまだ後ろで持たれたままだ。金を貰うまで信用ならないという事だろうが、ぞんざいな掴み方をされてるので手首に跡が残りつつある。


そして客がお待ちかねの金貨20枚が入ってるであろう小袋を懐から出し、商人へと投げた。



すると……。



「フハハハハ!ではこの子達は貰っていくぞ!嬉々せよそのはした金で!」



袋に入っていたのはただの鉄の板数十枚。まんまと騙されたのだ。


しかし気づいてももう遅い!仮面と鬼の子は、瞬く間に姿を消したのだった。















突風が吹き荒れて、咄嗟に眼を閉じていた。また新しい主人の元に奴隷として行くことを理解していた。


ただ、足に接地感が無く、ふと目を開けてみると、なんと4人とも連れて、先程の仮面が空を飛んでいた。


驚きを隠せなかったが、絶対に痛くしないようにする意思を感じられるくらい、優しく包んでくれていて、とても暖かい…。



「怖かったかい? でももう大丈夫だよ。お家に帰ろう」



その優しい言葉に涙した4人だった。

今回は曲を入れる箇所を設けませんでしたが、次回以降で曲挿入箇所が来ましたら、お好きな曲を1曲選び、歌と一緒に物語をお楽しみ下さい。

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