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第14話 墓前の涙

 ゴールデンウィークの前日、杏奈は亡くなった弟の墓参りに行くため、重い気持ちを抱えていた。彼女の弟は昨年、自動車事故で亡くなり、その犯人はまだ見つかっていなかった。杏奈の心には、犯人の逮捕を願う思いと、過去の痛みから抜け出して平穏に過ごしたいという思いが交錯していた。


 墓地に到着した杏奈は、花を手に持ちながら弟の墓前にしんと立ち止まった。感謝と悲しみが入り混じった思いで、弟に対して話しかけた。

「ごめんね、最近来れなくて。でも、結構元気になってきたから安心してね。」

そして、数秒の静寂が続く。いつの間にか、彼女は涙を流していた。その涙は、杏奈の様々な感情を溶かし、頬を伝った。

「私、好きな人ができたよ。」



 杏奈は深い呼吸をして、心の中で弟との絆を感じながら墓地を後にした。家に帰る途中、曲がり角で男とぶつかった。

「うおっ」

「あ、ごめんなさ…って、秀くん!?」

「なんだ、お前か。」

それは塾から帰る途中の秀だった。

杏奈は秀に向かって微笑みながら、翌日のバイトについて話し始めた。

「秀くん、明日のバイト、少し早く上がらないといけないんだけど、どうしようかな?」

杏奈が悩んで口にする。

「わかった。俺がバイトのシフトを調整しておくよ。」

杏奈は心から安心した表情で秀を見つめた。

「ありがとう、秀くん。本当に助かるよ。」

二人は一緒に歩きながら、笑顔でバイトの話や日常の些細な出来事を交換した。杏奈の心には、弟への思いと秀への想いが交錯し、新たな感情が生まれつつあった。


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