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AI世界図書館

 この世全ての書籍がネットワーク上でAIによって管理されている図書館。それがAI世界図書館。


 世界中の人々がパソコンやスマホからいつでもどこでもAI世界図書館を利用し、専門書を読んで勉強に役立てたり、漫画を読んで楽しんだりしている。書籍がAI世界図書館に並べばどんな言語でも翻訳されて誰でも読むことが出来る。

 そんな私も利用者のひとり。寧ろ利用していない人などきっと存在しない。


 私はAI世界図書館で漫画や小説などを読み漁っていて楽しむタイプだ。


 もちろんAIが浸透している今の時代ではAIで作成された作品も数多くある。


 今日も何度見たか分からないAI世界図書館のトップページを眺める。このレイアウトも流石に見飽きて来た。


「そろそろ読みたいものが無くなってきたなぁ」


 物語を読み漁っていると、私自身の好みが段々と固定化されてくる。それに加えて刺激の強いものを読みたくなってきてしまった。AI世界図書館の触り始めはAI作品も楽しめたのに、今では人間が作って尖った作品でないと楽しめなくなってきた。多分、変な方に目が肥えてしまった。


 AI世界図書館には様々な分類が存在していて、これらの分類はAIが全て判定しているらしい。

 そしてその分類のひとつに"全て人間が作った作品"と"AIが作った作品"、"AIを活用した作品"が存在する。


 "人間が作った作品"は非常に個性的な本や、予想外で刺激的な本が数多く存在している。

 何故か原稿用紙に手書きの小説や、紙に書かれた漫画やイラスト本のデータ化もかなり多いけれど、それはそれで味がある。


 いろんな時代の作品をこれまでAI世界図書館で見て来たが、不思議な事にAIが無かった頃よりも、今の時代の方がずっと個性豊かな作品が多い。


 けれども読み尽くしてしまった。


 私好みの物語を探せなくなってきてしまった。


「いっそのこと私も作ってみようかな」


 ふと思いついたそんな案がとても良い案に思えた。

 絵はすぐに描けないだろうけど、文字なら今すぐ書ける。

 突然の衝動に突き動かされるようにして、スマホで文字を書き連ねる。


 そして完成した私の作品。


 私は早速AI世界図書館に登録してみた。


 AI世界図書館には誰でも蔵書登録出来る。完成する事が出来た達成感と嬉しさでいっぱいになる。


 早速AI世界図書館に先ほど登録した私の作品を見にページ検索をした。


 どこにも無い。


 ちゃんとアマチュアの分類で探しているのに無い。焦りを感じながら、慣れ親しんだ検索画面の隅々まで弄り、そして見つけた。ちゃんと登録はされていた。

 単純に、AI世界図書館の分類が間違っていただけだった。


 私の作品は全てAIで作成されたものとして分類されていた。


 全て私の手で書いた作品だから訂正して貰わないと。AI世界図書館のお問い合わせ欄をクリック。AI司書にメッセージで問い合わせをする。


 そして帰ってきた返事。

 そこには分類変更不可の文字。


『無個性で平均的な物語の為、人による作品ではなくAIによる作製と判断しました』

「誰が無個性で平均的な人間よ」


 AI世界図書館のAIシステムを燃やしてやろうか。


 私の怒りに釣られてより一層燃えたぎる創作意欲。


 私はスマホを放り投げ、原稿用紙に手書きで小説を書くことにした。

腱鞘炎には気をつけておくれ……

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