修行。
悪魔を倒すために小早川の元で修行をする事になった翔。
格闘技経験もなく、喧嘩も弱く、意気地なしの翔が、どのように成長するのか。
『いつまで寝ている!早く起きろ!』
『はい。』
『布団をたため!』
『はい!』
これが修行?
俺は全く理解出来ない。
『掃除が終わったら片道10キロのランニングだ!一歩でも歩いたら戻った時に腕立て100回プラスだからな!』
『は…い…。』
ランニングが終わると5分だけ休憩が貰えた。
『はぁ…はぁ…しんどい…。』
『5分以内に呼吸を整えておけ!』
『そ…そんな…。』
『俺の言う事は絶対に、はいだけで返せ!』
『は…い…。』
小早川さんは一緒に走ってるのに息切れしていない。呼吸が全く乱れてないのだ。
休憩が終わると次は筋トレが始まった。
『腕立て、腹筋、背筋、スクワットを500回3セットだ!』
『。。。』
『返事は!!』
『はい!』
5時間後に筋トレが終わって、また5分の休憩があった。
『い…痛い…。』
『弱い自分に負けるなよ?翔。』
『は…い…。』
『お前に後から大事な話をしてやる。』
『は…は…い…。』
休憩の後に待っていたのは崖登りだった。もちろん命綱なんてない。
90度近い崖を小早川さんはジャンプだけで登っていった。高さは20メートルくらいある。
『登って来い!』
『はい!』
俺は疲れもあり2時間もかかってしまった。
登りきると小早川さんが、ふんどし姿で立っていた。
『次は滝行だ!』
『はぁ…はぁ…は…い…。』
『だが、その前に話がある。大事な話だ!』
『はぁ…はぁ…は…い…。』
「落ち着いて聞くんだぞ?』
『は…い…。』
『お前の両親は悪魔に殺されたんだ。』
『え…??』
『信じられんだろが本当だ!』
『事故なんじゃ?』
『じゃあ葬式で、お前は両親の姿を見たか?』
『・・・。見てないです。』
『お前の両親は悪魔よって殺された。しかも相手はサタンだ!』
『サタン…。』
『偶然にも、お前を病院送りにした奴だ!』
『サタンを倒したい!!』
『だったら滝に打たれろ!』
『はい!』
俺はヘトヘトになりながら滝に打たれた。
ただ、サタンを倒したい怒りを持ちながら。
『おい!無の感情になれ!』
『はい!』
でも、どうしてもサタンへの恨みが強くなってきてて怒りや悲しみが抑えられない。
『サタンを倒したいなら気持ちを落ち着かせろ!』
俺は深呼吸して少しずつ落ち着いてきた。
『今から2時間、滝に打たれろ!』
『はい!』
滝の水が打ちつける度に足や首が痛い。
腕も維持するのが、いっぱい、いっぱいだ。
滝行が終わると走って、お寺に帰った。
そこから、準備運動をして、また筋トレ。
『ブリッジ、1時間だ!』
『はい!』
『腕を使うな!首で支えろ!』
『はい!』
かなり苦しいながら、やり終えると5分の休憩がもらえた。
『翔、キツイだろ?』
『はい!』
『これを1年耐えれば、お前は、きっとサタンも倒せる!』
『はい!』
『さて、そろそろ本日、最後の練習だ!』
『はい!』
最後の練習はスパーリングだった。
ここまで一緒にトレーニングをして呼吸が乱れてない小早川さんと体中がボロボロの俺。
正直、死ぬかも知れない。しかも暗い時間で、ご飯も食べてないから視界が悪くて力も入らない。
『いくぞ!』
『はい!』
ドス!!
小早川さんの右のアッパーを、まともに食らってしまった。頭がふわふわして意識が飛びそうだ。
もう1発もらったら死ぬ。
『俺をサタンだと思え!』
『そ、そんな…。』
『次は、お前の姉ちゃんを殺すぞ!』
『そんな事させるかー!!』
ボロボロになりながら怒りの右ストレートを放った瞬間、全身の痛みや疲れが取れて腕が明るくなった。
力も、今までに感じた事ないくらい入って小早川さんの顎に拳がヒットした。
ズキューン
右ストレートを食らった小早川さんは物凄い勢いで塀まで飛ばされた。
ダーン!!
小早川さんが壁にぶつかった。
『あぁ…。』
パラパラパラ…。
ドスーン!!
壁が崩れ落ちた。
小早川さんは倒れたが俺も意識が飛びそうだ。
フラフラになりながら小早川さんに近づいた。
『こ、小早川さん!』
『だ、大丈夫だ。』
小早川さんは、フラフラになりながら、ゆっくり立ち上がった。
『さすが太陽の能力だな。』
『太陽の能力?』
『また明日、話してやる。ご飯にしよう。』
ご飯を食べると俺は寝てしまった。
太陽の能力って、どう言う意味なんだろうか。
修行初日で太陽の能力を出した翔。
小早川も倒した。
明日から1年間の修行が続く。
果たして太陽の能力とは。