不動の強さを求めたわたくしの動かぬ物語
陸なるみ様のフォトから産まれた物語です。陸なるみ様のお宅は↓
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頭を空っぽにして読んでください。ツッコミどころ満載ですが、こういうお話なのです！
参考文献、ハムレット
ノニノニノンニィ、ヘイノンニィ、さようなら愛しい人。
キンポウゲ、イラクサ、ヒナギク、それから、口さがない羊飼いたちが卑しい名前で呼ぶけれど、純潔な乙女たちは死人の指と呼んでいる、シランの花を摘んだのよ。
ふ……、わたくし知らなかったの。尼寺に行けと言われて……、お父様が不幸になられて。心が壊れた。わたくしの容易く割れる硝子の心。
ノニノニノンニィ、ヘイノンニィ、さようなら愛しい人。
キンポウゲ、イラクサ、ヒナギク、それから、口さがない羊飼いたちが卑しい名前で呼ぶけれど、純潔な乙女たちは死人の指と呼んでいる、シランの花輪を編んだのよ。
わたくしは……流れたの。流れたの。流れたの。花輪を抱いて川を流れて……。
ノニノニノンニィ、ヘイノンニィ、さようなら愛しい人。
そしてブクブク……沈んだの。人間って沈むのね、最後におもったわ。石みたいに沈むんだって。石って……、硬くて何者にも屈しないイメージがあるの。壊れないイメージがあるの。だから……。
来世は何事にもめげない岩の如く、不動の心がほしいと、願ったの……。
ノニノニノンニィ、ヘイノンニィ、さようなら愛しい人。
それが悪かったのよ。きっとそうよ、だからなの？生まれ変わって岩って何！柔肌の乙女の肌が、ゴツゴツってどういう事？
岩の如く不動と願ったけど、心よ！心。全てがそうとは願ってないの！今の姿は。
岩よ！岩！神様何という無慈悲な……、うら若き乙女を岩に転生させるなんて……。クッ……わたくしは、あまりの事に、極々細かく打ち震えてましたの。
毎日、毎日。毎日。意識が戻ってから、毎日、毎日……。するとある日のことでしてよ。何という巡り合わせなのでしょう……。
あのお方が。
あのお方が。
あのお方が来たー！そうですわね。思い悩む舞台としてはバッチリですもの。声が聞こえますわ！そしてお姿も！
「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
わたくしの側で呟いておりましてよ！しかも！ミーアキャットなる生物に転生なさっておられましてよ！ズルイですわ！動けるなんて！
ピシピシピシ………、ピシピシピシ………、ヒビが震えましてよ！
「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
生前、彼女に婚約破棄を言い渡した彼。敢え無く時を終え、その御霊は、闇を漂い光を漂いフラフラと過ごしていた。そして……、
なんと！珍妙なる動物に……、これも前世の悪行のせいか！ああ、空腹だ。ん？母親がこれを食べなさいと勧めてくる。
虫！虫を喰うのか！虫！旨い！しかし嫌だ！口の中は旨い！頭の中は嫌だぁぁぁ！しかし喰わねば、喰わねば……
「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
今日も今日とて彼は苦悩のセリフを述べる。フラフラと庭に入り込み彷徨い、偶然辿り着いた、生前、尼寺に行け！と言い放った女の御霊の側で……
ノニノニノンニィ、ヘイノンニィ、さようなら愛しい人。
ピピ！ピシピシピシピシ………ああ……日々身を揺すっていたのか、わたくしの肌に走るヒビが大きくなりますの……その近くでは、ミーアキャット様
「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
ほうほう、問題ですってぇ？呟いておられますわ！ミーアキャット様！
「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
どっちになるかは、神様のみが知ってますの！わたくしのヒビがどうなるのかも……。
ミーアキャット様がどうなるのかも！
「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」
そうですわね。ミーアキャット様。貴方の運命は立ち位置と、このゴツゴツの岩肌に走るヒビに掛かっておりますのよ。落ちる方向を！全知全能の我らが父に祈らなければ……。
ホーホホホ！ピシッ！ピシピシピシピシ………。
フォト提供、陸なるみ様
参考資料 ハムレット
