プロローグ
この世には数多の物語が溢れている。
後世にまで語り継がれる名作から陽の目を見ない駄作まで、それはもうありとあらゆる物語が溢れている。
そんな物語に必ず在るもの。それが、プロローグだ。
物語の産声とも呼べるそれ。
残念ながら産まれて間もなく散らす命があるように、プロローグのみ書き上げられ、筆を置かれた物語たちもまた多い。
私はそれらを追い求め、陽の下に届けようと思い立った。
荒々しくも瑞瑞しいプロローグの数々を墓場より掘り起こし、陽の目に晒すこの行為は、或いは神への冒涜に当たるのかも知れない。そこまでの行為には当たらずとも、作者の古傷を抉る事になるだろう。
それほどまでに深い業を背負ってでも、私は止まることが出来ない。
きっかけは一つのプロローグとの出会いだった。
そこから紡がれる筈で在った物語に懸想し、その甘美なる果実のようなそれに味を占めてしまった私は、プロローグを求めずにはいられなかった。
そして、どのプロローグも私を魅了し、ついにはプロローグを愛すに至った。
あぁ、知って欲しい。
ただ、知って欲しい。
私を魅了して止まない、そのプロローグの数々を。
ひっそりと墓で眠るそれらを白日の下に晒す、私の罪をあなたへ。
これから紹介する全ては、プロローグのみの物語。
そこから先は、貴方の想像力にのみ存在する物語。
さあ
それでは
はじまり
はじまり。