その7
妖人拠点の痕跡は驚くほど簡単に発見された。
拠点の入口は先に見付けた拠点の入口同様に、地下の天井付近にあり、狭い通路、というよりは穴が下に続いていた。
その中に、美緖隊が入ると、一気に滑り降り、旧地下鉄の線路へと到達した。
美緖達4人は穴の入口で、周囲を警戒した。
辺りは暗く、何も見えなかった。
美緖達以外の気配を感じなかったが、方々をライトで照らしてそれを確認した。
安全の確認中に、山吹隊が次々と滑り降りてきた。
「痛たた……」
山吹はどこか打ち付けたのか、しゃがんだままだった。
「お姉様方、ここはお願いします」
美緖は山吹隊が到着したと同時に、拠点とも思われる東側にある駅へと歩き出した。
その後を残りの3人が追った。
「え?ええ、任せて」
山吹はそう言ったが、しゃがんだままだったので様になっていなかった。
「しっかりしなさい」
蜜柑が呆れながら山吹を引っ張り起こした。
「しかし、凄く成長したね、美緖達」
山吹は助け起こされながら感心したように言った。
「凄いと思いますが、山吹もああなってくれる事を望みますね」
蜜柑は更に呆れたように山吹に苦言を言った。
「どういう事?」
山吹には自覚がないらしかった。
「リーダーらしく振る舞えって事よ」
柚葉はやれやれと言った感じで山吹に自覚を促した。
「え?私、立派なリーダーよね?」
山吹はびっくりして、2人に問うた。
蜜柑と柚葉は即座に首を横に振った。
「ええっ!」
山吹は更に驚いていた。
「はいはい、そんな事より、逆側から妖人が攻めてくるかも知れないのよ。
美緖達の為にもここを死守しなくては!」
小豆はともすれば任務が疎かになりそうな雰囲気を諫めた。
それを聞いた他の3人は口を噤んで、任務に専念する事となった。




