その2
美緖達が現場に駆け付けた時には、妖人は既にいなくなった後だった。
念の為、周辺の探索と警戒を行った。
だが、妖人を発見できなかったので、早々に引き上げる事となった。
引き上げ途中、美希はまたブツブツ言い始めたので、美緖は警戒を怠らなかった。
しかし、当の美希はブツブツ言いながらも戻ってからの検診を真面目に受けた。
その後、分析室には向かわずに美緖達と一緒に自室へと戻った。
自室には戻ったがまだブツブツと言っていた。
「美希ちゃんのブツブツがまた始まったのだ」
美紅は美希の様子を見てからかうようにお気楽にそう言った。
言われた美希はその事を全く気にしない様子で、ブツブツ言い続けていた。
何の反応もなかったので言った方の美紅が当惑していた。
「こうなるとぉ、ダメですねぇ」
美佳はニッコリしながらそう言った。
たぶん呆れているのだと思う。
「でもぉ、美緖ちゃんはぁ、心配そうにしていますけどぉ……」
美佳は何気なく見た美緖の表情を見てそう言った。
今度は意外でびっくりしているのだと思う。
「美緖ちゃんはいつも通りの心配性が出たのだ」
美紅は美緖の表情を見てお気楽そうに言った。
美希の反応がなかったので、美緖も反応がないと思っていたのか、美緖にキッと睨まれて、慌てて目を逸らした。
「からかってはダメですよぉ、美紅ちゃん。
2人とも真剣なのですからぁ」
美佳はホワホワ口調で美紅をそう窘めると、美紅は大きく頷いた。
そして、この雰囲気のまま、時が過ぎていった。




