その2
「はいはい、そんな怖い顔しないの!
折角食事係の人達が美味しいお弁当を作ってくれたのだから、和やかに美味しく頂かないとね」
仏頂面をしている美希を前にして、和香が朗らかに言った。
美希に影響されていた他の特戦隊員達3人も何だか気まずい顔をしていた。
「いい、戦いにはきっちりとした準備が必要よ。
それは戦いの歴史から論理的に立証されているのではないのかしら?」
和香の理論的という言葉に美希が鋭く反応した。
和香は石橋を叩いて渡るというタイプの人間ではないようだった。
突っつくかなくてはならない藪がある場合は、まずはきちんと準備をしてからというタイプの人間だった。
今回の藪には絶対敵が潜んでいる、あるいは、いなくても戦闘に直結するものだという確信があるのだろう。
「きちんとした準備をする為には、今は美味しく食事を摂る事が肝要よ」
和香は続けてそう言った。
美希は和香にそう言われて、出されていた食事をじっと見詰めた。
そして、気分を切り替えるかのように、大きな深呼吸をした。
一呼吸置いた事により、美希は冷静さを取り戻したかのように、ゆっくりと食事を始めた。
そんな美希を見て、他の3人も安心したかのように和やかに食事を始めた。