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妖人 ~ ゲノム編集された私達が戦う相手  作者: 妄子《もうす》
12.パターン分析

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38/84

その1

「気になる事があるのです。

 ちょっと戦術情報ルームへ行ってくるのです」

 シャワーを済ませる(?)と美希はそのまま脱衣場をすり抜けていこうとしていた。


 先にシャワーから上がっていた他の3人は体を拭きながらポカンと美希の様子を見ていた。


「ちょっと、体ぐらい拭きなさいよ」

 美緖は美希の奇怪な行動に慌ててバスタオルを引っつかむと、美希の頭の上から被せた。


 しかし、美希はそんな事を気にも留めずに外に出ようとしていた。


「待った、待った」

 美緖は美希の前に回ってその奇怪な行動を制した。


「何なのです。

 急ぐのです」

 美希は迷惑そうにそう言った。


「美希、あんたねえ。

 考え始めるとすぐこうなるんだから」

 美緖はそう言いながら美希の体を拭き始めた。


 美希は突っ立ったまま微動だにしなかった。


 美希は作戦終了後からはずうっと押し黙っていた。


 口数が多い方ではなかったので、それほど気にはしていなかった。


 だが、あれからずっと考え事をしていたようだった。


「よし、これでいい」

 美緖は美希の体を拭き終わるとそう言った。


「では、行くのです」

 美希は迷惑そうにそう言うと、再びそのまま外に出ようとした。


「待ちなさい、裸のまま行くつもり?

 髪は乾かしていないし、作戦後の検診もあるのよ」

 美緖は美希の前に立ち塞がってそう言った。


「髪はタオルを巻いていくのです。

 検診は後でするのです」

 美希はまどろっこしいそうにそう言った。


「だったら、そうしなさい」

 美緖は呆れてそう言ったが、考え事をしている美希は動こうとしなかった。


「全く仕方がないな……」

 美緖はそう言いながら美希の支度を手伝った。


 というより、美希は美緖のなすがまま(?)になっていた。


 美緖は美希の下着を着けさせ、服も着せた。


 そして、最後には髪にタオルを巻いた。


 美緖は自分でも呆れるぐらいに美希の世話を焼いた。


「では、行くのです」

 支度が完了した美希は無表情のまま外へ出て行った。


「ちょっと待ちなさいよ、私も行く」

 美緖は慌てて美希の後を追おうとした。


 そして、

「美佳、美紅、洋子先生には適当に言っておいて」

と美佳と美紅の方を振り向いた。


「美緖ちゃん、裸のまま行くつもりですかぁ?」

 美佳がニタニタした表情でそう言った。


「美緖ちゃん、恥ずかしいのだ」

 美紅は笑いながらそう言った。


 美緖は2人に指摘されて、自分の姿を鏡で見た。


 すると、一糸まとわぬ姿だった。


 美希の世話ばかり焼いていて、自分の方が疎かになっていた事に初めて気付いて赤面するばかりだった。

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