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その1

 戦闘後のメディカルチェック後、美緖達は聴取されることとなった。

 無論、今回の作戦行動に関してである。


「私達、やっぱり処分されるのかな?」

 美緖は不安そうにそう言うと、受診衣を脱いで脱衣かごに入れた。


 美佳・美希・美紅も次々と受診衣を脱いでいた。


「処分って何なの?」

 4人の主治医である谷山洋子たにやまようこがそう聞いてきた。

 椅子に座り、四人の着替えを凝視して真剣な顔をしていた。


「嫌らしい視線を感じるのです」

 美希は受診衣を脱いだが、脱衣かごに入れようとせずに、脱いだ受診衣で体を隠していた。


「これは診察の一環です」

 洋子先生は毅然とした口調できっぱりとそう言い切った。


 そして、洋子先生は真剣な眼差しのまま4人をガン見していた。

 ただ気のせいか、口元がややだらしなかった。


「洋子先生は変態さんなのだ!」

 美紅はパンツを履きながらそのものズバリの言葉を洋子先生に投げつけた。


 あまりの美紅の無邪気さに洋子先生は激しく動揺した。


「それはねぇ、こうすればいいのですよぉ」

 美佳はそう言うと、とびっきりの笑顔でパーティションを4人と先生の間にどんと置いた。


 洋子先生は椅子から崩れ落ちるばかりに落胆してしまった。


 しかし、わざとらしい咳払いをしてから、

「話を戻すけど、処分って何?」

とすぐに大人の威厳を保つような表情に変わって質問し直した。


「この後すぐに今回の作戦について聴取を受けることになっています」

 美緖は着替えながら真面目にそう答えた。


 変態だが主治医なので真面目に答えてしまう所がよく苦労性と言われる所以なのかもしれない。


「え?そうなの?」

 洋子先生はびっくりした顔をしてから、

「今回の作戦で何かやらかしたの?」

と再び真剣な顔つきに戻った。


「どうなんでしょうか?」

 美緖は周りで着替えている他の3人に確認を取るように聞いた。


「私には思い当たる節は全くないのです」

 美希はそう断言した。


「やらかしたと言うよりぃ、何の戦果も上げられませんでしたねぇ」

 美佳はいつも通りのホワホワと言った感じだった。

 当然ながら戦果が上がらなかったことは全く気にはしていなかった。


「今回もいつも通り惨敗だったのだ」

 美紅は悲壮感も何もなくあっけらかんと今回の戦闘結果をまとめてしまった。


 美紅のこの言葉に美緖はぐうの音も出ないといった感じで苦々しい表情になった。


 確かに学校での戦闘訓練でも勝った方が希だった。

 教官達も美緖達を卒業させるために一番苦労していて、歴代最低成績を叩きだしたほどだった。


「まあ、いつも通りなら大丈夫じゃない」

 洋子先生はホッとしたように言った。


 洋子先生は特殊戦闘訓練学校の校医だったが、美緖達と同時に南東京旅団所属に配置換えになっていた。

 つまり、美緖達とは旧知の仲だった。


「いつも通りだったら問題なんじゃないかと思うんですけど」

 美緖は一人憂いていた。

 周りは楽天家ばかりだったので、いつも一人で深刻な顔をしていた。

 この辺が周りから心配性だと言われる所以であった。


「心配ならお姉さんがついっていってあげましょう」

 洋子先生は椅子から立ち上がりながらそう言った。

 喜び勇んでいるようだった。


「36歳はもうお姉さんとは言わないのです」

 美希の口調はいつもの抑揚のないものだったので、余計酷い言葉に聞こえた。


 だた、美希本人はもっと毛嫌いしていたのであながち間違った印象ではなかった。


「そういう娘はお仕置きよ」

 洋子先生はそう言うと、チャンスとばかりにパーティションの奥へと突入していった。

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