表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/84

その2

 既に101,104,109中隊は出動していたが、 東京117中隊は一番遅い出発だった。


 美緖達4人は官舎から直接自分達が乗り込む指揮車へと向かっていた。


 駐車場へ向かう途中、旅団本部に入っていく見慣れない集団に出会した。


 腕章を見ると東京114中隊で、美亜達が所属する部隊だった。


 東京114中隊は北東京旅団の所属だったが、南東京旅団の応援に来たのだった。


「みんな!」

 そう叫び声が聞こえると、美亜達4人が美緖達の方へ駆け寄ってきた。


「ご苦労様、あなた達が援軍として選ばれたのね」

 美緖は美亜達にそう言葉を掛けた。


「ええ。

 それにしても、大変な事になっているみたいね」

 美亜はやれやれといった感じでそう言った。


「うん、見た事ないぐらいの数の妖人がウジャウジャしてたのだ」

 美紅は何故か嬉しそうに言った。


「美紅、あんた、本当に緊張感というものには無縁ね」

 美恵は相変わらず口が悪いようだ。


「だって、ウジャウジャなのだ!」

 美紅は美紅で皮肉を言われている事が分からないようで、目を輝かせていた。


「やっぱり、美恵も美紅には適わないわね」

 美羽は美恵と美紅のやり取りを見ていて笑いを堪えていた。


 そんな美羽と目が合った美恵は不機嫌そうにそっぽを向いた。


「みんなぁ、仲良くていいですねぇ」

「ええ、本当に」

 そんな光景を傍らで見ていた美佳と美衣が微笑んでいた。


「みんな、積もる話はあるのは分かるのですが、私達4人は急がなくてはいけないのです」

 ほわーんと雰囲気の中、美希がいつもの冷静な口調で言った。


「そうね、残念だけど、私達は行くわ。

 留守はお願いね」

 美緖は美亜達にそう言った。


「ええ、任せておいて。

 あなた達の方こそ、気を付けてね」

 今度は美亜が美緖達にそう声を掛けた。


 この言葉のやり取りに8人はお互いに頷くと、美緖達4人は再び歩き始めた。


「特に、美紅、あんたは調子に乗るんじゃないのよ!」

 美恵は去っていく4人にそう声を掛けた。


「分かってるのだ」

 美紅は歩きながら振り返ってそう言うと、手を振っていた。


「あいつ、本当に分かっているのかな?」

 美恵は美紅の態度を見て、心配になった。


「意外に気にするよね、美恵は」

 美羽は悪戯っぽくからかうように言った。


 美恵はちょっと向きになって美羽に突っかかろうとしたが、

「はいはい、みんな、心配なんだから素直になりましょうね」

と言った美衣に止められた。


「そうだね。

 今回の妖人の数は尋常ではないからね。

 無事戻ってきてくれる事を祈ろう」

 美亜は美衣の言葉にしみじみと同意するように言った。


 それを聞いた美羽と美恵も諍いを止めて、美緖達4人が去っていく姿をじっと見詰めていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ