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しあわせは、雨の降る日にやってくる。  作者: 恵比寿 ヒナタ
8/11

わたしのはなし

さあ、それじゃあライン・ガードナー、『雨漏り』の少女のことを語ろう。

何かの才能があるわけではない。

友人さえも作れなかった。

本当に「出来損ない」の話。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

また、会おうね。テル。


私には知りたいことがたくさんある。

例えば、そう「心」とか。

効率良い読書の方法とか。

上手な話し方とか。

友達の作り方とか。

あとは、そうだなあ。

「幸福が知りたいかな。」


私の話は正直言ってつまらない。

だから、自分単体で語るのはよしておこうと思う。

テル。君のことを都合のいいサブキャラのように扱って

しまうかもしれないし、もしくは

主人公として捉えてしまうかもしれないけれど、

許せ。


0000000000000000000000000000000


ぐさぐさぐさぐさぐさぐさぐぐさぐさぐさぐぅぅぅぅううう・・・・・・

からだに、いくつもいくつも刃物がつきささる。

背中にばかりむかってきて。

痛みはまるで感じない。

意識がまどろんで、

なにもわからない。

まわりがだんだん黒くなっていく。

どこかに、下に落ちていく。

わたしが

なくなる。

消えていく意識の中で、ふと。

むかしのことをおもいだす。

だあれ?あなたは。

意識に浮かんだ妙な感情。

これは、何?

つきささった刃物たちが

わたしのからだをばらばらにしていく

みえないだれかがわたしをつかむ

ひとつずつ

ひとつずつ

わかれたからだを

やさしく

あつめる

わたしのしってるひと?

それとも、しらないひと?

「そのひと」はわたしを

だきしめてくれた。

え、え、え、え、え

なん、で

きえたはずのいしきが

熱くなってきて

なみだがながれてきた

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、


ラインは目を覚ました。

真っ暗な部屋、天井の照明。

なんだ?いまの夢。

変に頭がずきずきする。

時計を見て時間をたしかめる。

4時20分、朝か。

目元がひりひりする。

「寝てる間に泣いちゃったのかな」

カーテンのすきまから光が流れ込んできた。

今日はどうしようか。

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、


過去に囚われ、捕らわれた。


こんな文句が通用するのは、ごくわずかな特別な人間だけだろう。

間違いなく私なんかがこんなことを口にすれば

とたんにみんな、私に白い目を向けてくる。

当然だ。私の分はそんなにないもの。

私の言葉は重くは取られないのだから

言葉に失礼。

無論、意思とやらを「分かち合う」こともできないわけなのだから

わたしのはなしを分かってもらえないのも無理はない。

いったい私に分はどれだけあって

どこからが「身勝手」なのか。

そんなことも自分だけでは理解できない。

私はいつまでたっても大人になれない。


「い・や・だぁあああああああ!!!!!」

頭を掻きむしった。

体をかきむしった。

頬を叩いた。

何度も何度も何度も。

痛い。助けて。


勿論、助けはこなかった。


真っ暗な部屋にどっしりと構えたテレビに

ニュースが流れている。

「・・ただいま死傷者23人が確認、今回のテロに対して各国首脳は

 徹底抗戦するとの意思をしめしており・・・」

紛争・・・。

画面の隅に、所々破れたぼろ服を着た少年がうずくまっている。

目に感情が伴ってなかった。

「・・・!!」

なに、それ。

『お前は楽でいいよな』

声が聞こえた気がした、

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

外に向かって走り出した。

「うわああああああああああああ!」

この時、たしか外は台風だったと思う。

「あああああああああああああああ!!」

みもふらないで走る。

「ううゥううゥうううう」

森まで。

あとちょっと。

「はあ、はあ」

ついた。

木に手を当てる。冷たい。

ねようかな。ここで。


ラインは意味もなく「また」眠った。


笑ってもらえたら、どれだけうれしかっただろう。

そればかり考えている子どもほど面倒くさいのに。


それでも。

笑顔だけは忘れてはいなかった。










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