絶望と後悔と詭弁とあなた。
ねえ、君は知ってたのかな。
僕たちは限りなく空っぽだってこと。
何を学ぼうと、何を愛そうと君の呼ぶ「未来」は絶対にやってはこない。
そもそも君も、「皆」も肝心なところがわかってない。
いいかい?僕たちってのは苦しんで存在しているんだ。
自分の姿を見てみなよ。僕にはどうしてもね、
絶望に体を縛られてる君の姿が美しくってたまらないんだ。
つまりね、君ってやつはどうしても。
何もかも失わないと、始まらない。
探し物は、どこにあるんだろう?
私は昔から誰にも勝るものがなかった。
たくさん習い事をした。
人並みには勉強も頑張った。
でも、これまで誰かに勝ったと思ったことはない。
だけど、勝ちたかった。
いつか誰かに勝って、見返してやりたかったんだ。
だって。
「私は馬鹿なんかじゃ、ないんだから。」
私よりも弱い人がいるんだ。
私よりも楽に生きてる人がいるんだ。
私は人のためになれるんだ。
なのにどうして。
「敵がいるのが不思議か?」
森の奥のほうから声が聞こえてきた。
ショートボブの黒髪に血色のいい肌が日の光に浴びて輝く。
「百瀬さん・・・?」
いつも人を馬鹿にしたような目つきが印象的なその「女性」は
やはり私を嘲るように、言った。
「お前は脆いな。」
「・・・あなたは、頑丈じゃないですか。」
「うん?何を言ってんだよ。あたしは『普通』なんだぜ。」
「・・・・。」
「お前は馬鹿だよ。だってあんたは」
いつも通りの淡白な話し方。
「失敗したときにしか、正しくなれないんだから。」
私たちは、
雨空の下にいた。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
わかることは辛い。
知ることは悲しい。
それゆえに、この世界は美しく、醜い。
独りきりの少女のことも助けてはやれない。
一人だけのための青春群像劇も書いてはやれない。
だから。
僕が君に書くのは、小説なんかじゃない。手紙でもない。
ただの「日記」だ。
読んでくれてありがとう。