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しあわせは、雨の降る日にやってくる。  作者: 恵比寿 ヒナタ
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無意味な葛藤なんて、あるのですか?

どうぞ拝見ください。

人間は悪である。みんながそれを認めるべきだ、と思う。

人はどうあがいたところで、やっぱり人でしかないのだから。神様にはなれないのだから。

私は悪い人間だから、出来損ないだから失敗したんだ。

理想なんて、あるわけないんだから。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

性悪説という考え方がある。

人は生まれながらにして悪であり、善ではない。だから、正しい方向へと「矯正」しなければならない。

というものである。

初めてこれを知ったのは、中学生の頃だった気がする。

人は悪。だから、私も悪。嫌なくらいにすうっと頭で理解ができたことだった。

ちょうど同じ時期に、性善説の存在も知った。

私には、とても人間の持つ善性など空想にしか感じられなかったから、「バカ」の考え方だと罵った。

だけど、今になって思う。

  あの頃にきっと、私が私を肯定できていたなら、もっと違う未来があったのだろう、と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


よくある平日の昼間、ラインは一人で苦しんでいる。

自分のセミロングの髪を両腕で抱えるようにして、自室の扉のそばで体操座りをしながら、

昔あった嫌なことー主に宿舎時代の思い出が脳の中を行ったり来たりしていた。

「死ねばいいのに」、「消えればいいのに」もしくは、あんたの人生詰んでる、などなど

いっぱいいっぱいの悪口が弱いラインの心を痛めつけている。

彼女はこれを「フラッシュバック」と呼んでいるが、本当に苦しい時間である。

実際に言った本人はもういないのに、「かわいそうな」少女は一人で傷つき続ける。


時計の太いほうの針が半周するくらいになってからラインは行動を始めた。



  このままはイヤだ。こんな詩的でも何でもないのはやめにしよう。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

とある地底にて


薄暗く、嫌な湿度でまわりは岩だらけ。ただ、雨がここに流れ込んでくるときに限って、

その「底」の世界は輝きを持ち、やがてーー、異界が「生じる」

そこには灰色の町がある。<グレー・ケイブリッジ>というらしい。

天使はそこで生活する。

どうもここからは出られなくなったらしい。無理もないだろう。

ここは、思念の世界。人生の正解を見つけたものにしか、出ることはかなわない、と

チェスのポーンのような恰好をした住人から教えてもらった。

一人の天使は椅子に座って腰を落ち着かせている。

「こんな変なところにも、ちゃんと名前があるのね。」

私には、名前と呼べるものが用意されていない。

だから、なんだということもないけれど。

それでも、もう少し番号でもいいから「区別」してほしい。

天使がそんなことを考えていると、急に騒がしい音が聞こえてきた。

ああまたか・・・。とみると

中肉中背の男が町の関所で取り押さえられていた。

「離せ!離せよ!クソォッ!!俺は、俺はただ楽になりたかっただけなんだぞお!」


ああ汚い。天使は思う。

もっと潔くはなれないのだろうか。あの男は。

何かを自分がやろうとして、それで失敗して、

「~~~したかっただけなのに。」

意地のない人間の考えそうなことだ。

人生なんてものは、所詮はその人間の行動の結果でしかないのだ。

それを他の誰かのせいにするなんて、自分の人生を自らの足で歩んでいない証拠。

まったく馬鹿げてる。

天使は頬杖をついて、運命の流れるさまを眺める。


:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


ねえ、あなた?

生きずらくないかな。

みんなが正しいという話が嘘に聞こえたり、

ひょっとしたらこの世界には自分の望むものはないのかもと考えたり、

ひたすら失敗の言い訳を探したり、さ。

いるでしょ?

私もなんだ。

毎日ずっと何かに悩んでいるんだ。つらいつらいって、わめいたりするんだ。

それでも、さ。あきらめなくてもいいじゃないか。

 

ラインはここで筆を置いた。

時々、自分を励ますために文章を書くことがある。

それでも、やっぱり思った。

  「あたしの文章、ちっともよくない。」


自分のことを完璧に受け入れるためには、もう少し時間が必要だとおもった。

勿論、今思えば滑稽でしかないけれど。


















どうも、つたない文章を読んでくれてありがとうございます。

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