しあわせは、雨の降る日にやってくる。
雨の混じった風に吹かれていた。
私も、あなたも。
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この世の中には、知らないことがたくさんあるようだ。
ずっと遠くまで、行ける気がする雲が霧散している様子を見ながら
とある少女は自室の四角い窓に張り付いて、寂しそうに空を見ていた。
青く青く澄み渡り、どこまでも続いている青空には曇りがほとんどない。
その大きな空の下、少女の両親は洗濯物を取り込みながら時折窓辺の娘を心配げに見つめていた。
彼らは、子育てに失敗したと考えている。
それは彼ら自身が少女を甘やかしてきた自覚があったからであり、
娘の器量に見切りをつけていたせいでもある。
それを少女自身も感じ取っていたのだ。
少女はライン・ガードナーと「名乗っている」。
『名前を教えると、危険だから。』
あとで彼女はそう言っていた。
極度に人間が怖い、視線も怖い、失敗が怖い。他人から嫌われたくもない。
つまり、引きこもっていた。
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親が嫌いだ。
あいつらは私のことなんて何一つわかっていないんだ。
私が失敗すると「もうやめなさい」って言う。
私が成功するとむやみやたらに褒めるだけで、嬉しくない。
誉め言葉も嫌い。どんな反応したらいいのかもわからないんだもの。
ただ、そっとしておいてほしいのに。何もしないでほしいのに。
集団行動、ペースの良い会話、もちろん勉強もできる限りはやってきたつもりだ。
ただ私は自分の「分」を弁えていなかった。
他を顧みない行動や自己中心的な思考回路、足りないものをあげればきりが無かった。
友人は一人だっていたことが無い。
こんなことがあった。
あるクラスメイトが私に関してデマを流したのだ。
多分、私が信用されているかされていないかを見せつけたかったんだろう。
結果。私は「嫌われ者」ってやつになった。
そんな状況になりながらも、私は私で抵抗した。
自分がされたことを、人にもやった。
するとどうだ。
教師は私に「自分のやったことはいつか自分に帰ってくる」なんて言い出したんだ。
私を、「ろくに他人のことを考えない奴」だって見下げているってことだろう?ふざけんな。
どうだっていいんだよ。もう何もかも。
私には私さえいれば、それでいいんだ。
いつかの冬の「いい子」の私は、もう死んだ。
「お前は、僕の大っ嫌いな人間だから、助けてやる」
あの気味悪い男から言われた、言葉だ。
私は一度、そいつに「助けられた」。
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とある地底の話
行き場のない者たちが蠢いていた。
その者たちは恨む
その者たちは蔑む
その者たちは羨む
時間の流れもなければ、音のない場所で、彼らはひたすら何かを探す。
探す?何を?そんなものはじめからないんじゃないのか。わからない。
何も無いところから、何を探す?
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少女は雨の日にしか安らぎを得られない。。
これから織りなしていく彼女の、雨と過ごした物語がどんな風だったか。
彼女のことを知る私は語らないといけないだろう。
時折、蛇足がはいるかもしれない、いや。
それを言うと、この物語の大半が「蛇足」なのかもしれないが。
それでも、たとえ独り言であっても話さずにはいられない。
とにかく
聞いてください。
出来損ないの、私たちの話を。
ゆっくり書いていこうと思いますので、どうか暖かい目でお願いします。
良ければ感想もくれると嬉しいです。