C-6「金太郎のステータス」
山田は金太郎と名付けた犬?のリードを掴みまた森の中を進もうとする
「ちょっと待て、こいつの腹を抉った奴がこの辺にまだいるんじゃないか?」
と思い周囲を見渡すが、全く分からない。が、ペットにしたとはいえ、さっきまで野生丸出しだった金太郎が、何も警戒していない様子に大丈夫なのだろうと思い込むことにした。
「せっかくだし、金太郎背中に乗せてくれ」
一応、何が出てきても金太郎の方が足が速いから逃げやすいだろうと、金太郎に頼む。金太郎は言葉を理解したのか山田が乗りやすいようにと、その場に伏せる。山田がよいしょと金太郎の背中にまたがると、金太郎が立ち上がる。
「あら、いい手触り。良いお毛並みですね~」
金太郎の毛並みをしばらく手で楽しんだり顔をうずめたりする。金太郎はそんな山田の行動に黙ってやられたい放題にされている。一通り堪能して満足したのか、
「良し!進め!」
山田は前進せよと指を指す。と、金太郎は急に走り出した。山田はその勢いに対応出来ず、後ろへと転げ、強かに地面へと後頭部を打ち付ける。
「ぐおおおおおおおおお」
後頭部を抑えて転げ回る。金太郎は少し行ったところで止まり、申し訳なさそうに戻ってくる。耳も尻尾も下がっていた。
しばらく転げ回っていた山田は起き上がると<修正>スキルを使う
「大丈夫、大丈夫。全然痛くないし。ちょっと地面の感触を楽しんでただけだから。ごめんな心配かけて。いや〜まさか落っこちちゃうなんて、気をつけないとな」
ハハハハと笑いながら、心配そうに寄ってきた金太郎の頭を撫でる。頭を打ったせいか、さっき金太郎を治している時に、金太郎のステータス画面が出たのを思い出した。邪魔だったから振り払ったが、おそら<観察眼>スキルを使った時に出たのだろうと予想する。
「金太郎。お前のステータス見せて貰うぞ」
金太郎は首を傾げるが、一応声を掛けたからなと<観察眼>スキルを発動する。が、何も出ない。
「あれ?出ないぞ」
もう一度<観察眼>を使うが、金太郎が戸惑っているという事が分かるくらいだ
「そんなん使わなくても分かるわ。って、勘違いだったか?」
と思いつつ、自分のステータス画面を見てみる。
名前ー山田貴之
種族ー人?
職業ーアニメーター
《オリジナルスキル》
<作画> <修正> <デザイン>
《スキル》
<観察眼> <審美眼> <真贋> <理解> <分解> <再構成> <分析> <立体・空間把握> <時間感覚> <トレス・クリンナップ> <合成> <模写> <レイアウト> <圧縮> <拡大・縮小> <雑学> <鑑定>New
《耐性》
<状態異常> <精神異常> <属性>
《称号》
<異世界人> <縁の下の力持ち> <生まれ変わりし者> <絵描き> <職人> <世界樹と繋がりし者> <大賢者の加護 > <金太郎の飼い主>New
「おお、何か増えてるな。そっか<鑑定>スキルか、とりあえずスキルは増えるんだな。あと称号も。良かったー」
能力が増える事に少し安堵する。どうやらこの体だけが成長しない様だ。
「さて、ステータス見るには<鑑定>スキルってやつか、どれどれ」
そう言い、金太郎へ<鑑定>スキルを使う
名前ー金太郎
種族ーフェンリル
職業ー山田のペット
≪装備≫
<山田の首輪>
設定=人語理解・サイズ調整・身体調整・強化
≪魔法≫
<風魔法> <雷魔法>
≪オリジナルスキル≫
<超嗅覚> <黄金の毛皮>
≪レアスキル≫
<成長> <剛力> <魔力探知> <超肉体>new <超再生>new
≪スキル≫
<身体強化> <忍耐> <疾走> <追跡> <探索> <牙術> <吼術> <爪術> <尻尾術> <気配察知> <気配遮断>
≪耐性≫
<風> <雷> <状態異常> <精神異常> <物理攻撃>
≪必殺技≫
<疾風迅雷> <咆哮>
≪称号≫
<神獣> <山田の眷属>New <生還者>New <相棒>New
「おおー見える〜見える~。旦那~丸見えですぜ〜」
イッヒッヒッヒッヒと金太郎を見るが、金太郎は首を傾げ、自分を見つめるだけだ。<観察眼>スキルがまだ発動していたのか、金太郎が戸惑っている事が分かる。
「いや、見れば分かるわ」
と自分のスキルに突っ込みながら
「へー俺の時とはちょっと違うんだな、種族フェンリルって、聞いたことある気がするけど・・・犬の種類でそんなのがあったんだっけ。俺のペットてのは、職業なのかよ」
そういうの事もあるのかと読み進めると
「おお~魔法あるじゃん。お前魔法使えんのか~すげ~な」
と言いつつ頭をなでる。金太郎にとって魔法を使える事は当たり前なので、何故褒められているのか分からないが、尻尾をブンブン振っていた。山田は後で魔法を見せて貰おうとワクワクしつつまた読み進めていく。
「オリジナルスキルに・・・レアスキルってなんだ?俺の時はなかったぞ?いいな~って必殺技って!かっちょいい~!いいな~俺も作れるかな~・・・・・称号の神獣ってなんだ?・・・おいおい山田の眷属って、俺いつお前のこと眷属にしたんだよ、なんだよ眷属って」
分からない事に、ふと金太郎へ視線を写すと嬉しそうに尻尾を振っていた。
「まあ・・・いいか、考えても分からないし」
金太郎のステータス欄を消し、金太郎へと向く。
「よし!じゃあもう一回乗せてくれ」
金太郎はまた山田が乗りやすいように伏せる。山田がよいしょと乗ると、ゆっくり立ち上がる。
「おいゆっくりだぞ、急に走り出すなよ。ゆっくりだからな。ゆっくりだから、お前が思ってるよりゆっくりだからな」
山田はリードを手綱がわりにギュッとにぎり込み、少し前傾姿勢になりがら、これでもかという位に釘をさす。金太郎は分かってますよとばかりに、そろそろと歩き出す。
「よし!よ~し!いいぞ~いいぞ~」
ペシペシと金太郎の首元を叩く。
「そのまま順々にスピードを上げて行ってくれ。急には駄目だぞ。急には」
そうして騒々しく一人と一匹は森の中を進んでいく。
金太郎はゴールデンレトリーバーのイメージです