表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界鳥獣人物戯画  作者: エンペツ
20/34

Cー19「むか〜しむかし」

 山田は自分のした事とはいえその変わりように驚いていた。

 アリーがスプーンを置いて紅茶を一口飲みゆっくりとカップを受け皿へ戻す。カチャリと音がする。山田のによって姿形だけではなく、スキルや種族をゴブリンからラブリンへと変えられてしまった姉妹を見てから、山田へと視線を移す。



「あんた相手を自分好みに変えちゃうとか、かなりのマッチョね」


 山田は姉妹からアリーの方へ振り向く。


「何だよマッチョって、てか好みとかそういう事じゃないし、お前も鼻唄を歌ってノリノリだったじゃないか」


「私は苺のケーキの美味しさをハミングで表現していただけよ」


「それにしてはバッチリなタイミングだったけどな」


「あんたに通り名付けてあげないとね、イキリアニメ太郎かイキリ山田太郎。どっちが良い?」


「いや片方はドカ○ンじゃねーかよ、両方やめて下さい」


 そんな抗議には耳を貸さず、テーブルの近くで寝そべっている金太郎へと視線を移すアリー。山田も釣られる様に自然とそちらへ視線を移す。金太郎は相変わらずの寝相でフガフガ言っている。


『ブッ』


「あ、屁こいた」


 金太郎の尻尾の辺りから臭そうな音がした。<魔力感知>のおかげでマナが象る匂いまで知覚できる様になった山田は、すかさず<作画>スキルで煙のエフェクトの様に広がる臭いの塊を金太郎の鼻へと移動させる、匂いの塊が鼻に吸われるとクシャミをしたが起きる気配はない。


「しかし成る程どうりで、金太郎達が可愛い容姿をしてる理由が分かったわ、そうだろうとは思ってたけど」


「何だ、どうゆう事だ」


「魔獣や神獣がこんな可愛らしい容姿をしてるわけないでしょ。あんたこの子達にスキルを使ったでしょ」


「そう言えば何度か使った記憶があるかな」


「そうでしょ、あんたが<修正>スキルを使ってこんなに可愛らしくしたんでしょ、見てみなさいよ、まるでゴールデンレトリバーじゃない、かっわいらしい顔してるじゃない。黒い方も何かそんな感じの犬だし、威厳も武田信玄もへったくれもないわよ」


「いやーそんな修正はして無いけどなー」


「じゃあ何、無自覚?修正した事に気が付いていない?まあ恐ろしいわ」


 口元に手を持って行き、某少女漫画ばりにわざとらしく大袈裟に驚くアリー。


「出会った時より何かちょっと、いや、結構可愛くなっちゃてるな〜って思ってはいたんだけど、異世界だしファンタジー要素的なもんかな〜って思ってた。てへへ」


 片目を瞑りペロッと舌を出し自分の頭をポカリとやる山田。


「ぶっ殺すぞ」


「怖っ。そしてシンプル」


 山田へとガンを飛ばすアリーは何か閃いたのか手をポンと1つ叩き。


「はっは〜ん。あんた金太郎達の容姿にビビったでしょ、いや、この森にビビってるでしょ、だから金太郎達やゴブリンの姉妹を無意識にこんな可愛らしい姿にしたのね」


「ビ、ビビ、ビビってねーし」


「ふ〜ん」


 疑いの目で山田を見つめるアリーの視線から誤魔化す様に話題を変えようとする山田。


「で、でも何で種族やスキル称号が変わったり、眷属になってるんだ?」


「露骨に話題を変えたわね。まあ良いわ。それはあんたがお母様と繋がってるからよ。種族がゴブリンからラブリンなんてくだらない事はあんた位しか考えないだろうけど、眷属化に関しては何かスキルを使うと眷属になっちゃうんじゃないの?知らないけど」


「くだらない事って、まあ仰る通りだけど。眷属化に関してはまあ、よく分からんけど試すとかじゃないからちょっと置いておこう。しかし何で世界樹と繋がってたらそんな事になるんだ?」


「そりゃそうよお母様だもの、だからあんたは色んな事が出来るわけなのよ」


「何だかよく分からんけど、そのお母様だからって言っておけば大丈夫みたいなの何だよ。ダサイ服着てても有名な高級ブランドだからってだけで黙らす感じのやつだろそれ・・・・・ちょっと違うか」


 そんなツッコミは知らんとばかりに、アリーは紅茶を一口飲む。


「そういや世界樹って栄養とかどうしてんだ?あんだけでかいと周りの土地がどんどん痩せそうだけどそんな事もないみたいだし」


「そりゃ世界そのものだもの」


「世界そのもの?」


 山田のいる場所は広場とはいえ背の高い木々に覆われているのでその姿を確認することはできないが、そちらにあるだろう方へ向いて世界樹の事を思い出す。が、ピンとは来ていなかった為アリーの言葉をおうむ返しをする。


「むか〜しむかし」


「え?急に何?」




 そんなやりとりの間にゴブリン達、いや、ラブリン達は自分の変わり様に驚き自分の体や着ているものを一通り確認すると、お互いに向き合い容姿を確認する


「誰?」


「だれ?」


 まるでガラスを爪で引っ掻いた時のように不快な音を響かせていたその声は、姉は鈴の様に涼しく澄み通った凛とした声、妹は小鳥の囀りの様な無邪気な声、お互いの姿や声になれない様で戸惑っているみたいだが、それでも手を繋ぎながら山田の方へ向き話が終わるのを待っている。

 姉妹は山田の前に来た時の様な恐怖や緊張等といった震えは全くなく、今までこの弱肉強食の森で生きていた時の様な気を張り続けた怯えもなく、全てが鮮明になり心は穏やかで何の力みも必要無く、絶対的な安心感。暖かさを感じていた。姉妹には家族の暖かさと言ったものは分からなかったがそんな暖かさを感じていた。



「むか〜しむかし太古の昔、世界がまだ平らだった神々の時代。創造神様がお姿をお隠しになり、神々は好き放題する様になってしまった」


「あ、続けるのね」


 目をつぶって自分の世界に入っているアリー。山田は姉妹へと向き声を掛ける。


「ちょっと待っててね、こいつの話の長さが分かんないから椅子にでも座って、紅茶と・・・よりジュースの方が良いか、それとお菓子でも出すからさ」


 そう言うが早いか<デザイン>スキルで、姉妹のサイズ感に合わせたヨーロッパのアンティーク調の2人がけソファーを、テーブルの近くに生み出す。


「い、いえ、そんな、私達の事はお気になさらずお続け下さい」

「ください」


 そう言って姉妹は跪きそうになるが、山田が慌ててやめさせる。


「ちょ、ちょ、ちょ、良いよ良いよもうそういうのは、その姿だとなんか俺がきついし、膝とか汚れちゃうでしょ、良いから座って座って」


 姉妹は遠慮していたが、山田が良いから良いからと無理やり座らせる。おずおずと座る姉妹はソファーの肌触りと柔らかさに驚いていた。森の広場でアンティーク調のソファーに遠慮がちにちょこんと座る姉妹は人形みたいで不思議と絵になっていた。

 山田は最初紅茶とケーキを出そうかと思ったが、アリーが煩くなりそうな予感と、おじさん特有の、子供はジュースの方が良いだろうという思い込みでジュースとお菓子に変更した。

 <デザイン>スキルでガラスのコップを出し、ジュースは自分で好きな物をコップに注げる様にと林檎、オレンジ、ミックスジュース、コーラをピッチャーに分け、、お菓子は各種ポテチ、煎餅やチョコレート、クッキー等を皿にこんもりと盛りテーブルへ出す。


「私たちの事はお気になさらずにお続け下さい」


「ください」


「まあまあ、そう言わずに、何飲む?っても分かんないよな〜、適当に注ぐからな」


 そう言うと<作画>スキルで林檎ジュース、ミックスジュースのピッチャーを同時に動かしてコップに注いき姉妹の前に動かす。姉には林檎、妹にはミックスジュースを渡す。

 ジュースもお菓子もテーブルからだと取りにくいだろうと、手ファンネルを出してピッチャーと皿を持たせて姉妹の近くに待機させる。ついでにとお盆に山盛りのおしぼりを出しそれも手ファンネルに持たせ待機させる。


「手が汚れたと思ったらそのおしぼりを使ってくれ、この黒い飲み物はシュワシュワしてるから最初びっくりするかもだから気を付けてな」


 コップをちょこんと手に持った姉妹は視線をおしぼりの山からコーラの入ったピッチャーへと動かす。


「それぞれの手ファンネルにコップを持ってけば注いでくれるから、あんま遠慮するなよ」


 妹の方は我慢ができなかったのか、その言葉に口へとコップを恐る恐る持って行き一口ゴクリと飲む。すると目が大きく開かれそのままゴクゴクと一気に飲み干し、ぷは〜とひと息つく。


「つめたくて、おいしい」


「お、良い飲みっぷりだね〜あんたいける口だな」


 いつの時代の何処の飲み屋のおっさんか手でお猪口を持つ様な仕草でクイっと口に持っていく山田。その様子を見ていた姉の方もコップに口をつけ一口飲む、すると目が開かれこちらも一気に飲み干す。


「お、美味しい」


「おうおう、姉妹揃っていける口かい」


 そんな姉の様子を見ていた妹だったが、一度山田へと視線を移す。山田は笑顔で頷き、サムズアップする。すると妹は笑顔になり、ミックスジュースのピッチャーを持つ手ファンネルの前にコップを動かす。透明なコップに注がれる淡い桃色の少しトロッとした液体に視線は釘付け、コップに満たされると笑顔でまたその小さな口へと運ぶ。姉もその様子を見つつ自分もおかわりをする。


「お菓子も食いねえ食いねえ」


 山田のその言葉に、はいと一言返事をすると、ポテチを1切れ遠慮がちに摘み口へと持って行く妹。パリっと音がして手に持っていたポテチが瞬く間に無くなった。手にはもう次のポテチが待機している。姉はチョコチップクッキーを手に取り恐る恐るサクリと口にする。


「あ、甘くて美味しい。こんなの食べた事無いです」


 姉は口元に左手を当て目を見開き可愛らしく驚く。視線は手に持ったチョコチップクッキーを捉えている。


「ゴクン、ないです」


 妹は左手にコップ右手いっぱいにお菓子を持ち、口元に食べカスを付け、次々と口へ運んでいたが、姉の言葉に満面の笑顔で追従する。


「そうでしょそうでしょ。た〜んとお食べ」


「あ、ありがとうございます」


「ございま~す」


 アリーは時々薄目を開けながら山田達の様子をチラチラ見ていた。自分も食べたいのかタイミングを計っていたのかは分からないが、落ち着いたと思われる所で声を掛ける。


「ゴホンッ。良いかしら?」


「お待たせしました。先生どうぞ続きをお願いします。君達は食べながら聞いていなさい。」


「「はい」」


 一つ咳払いしたアリーに続きを促す山田、アリーは目を瞑る事をやめ普通に話し出す。


「何だかねー、まあ良いわ。それで、神々は自分達で産み出した色々な生き物を自分の暇つぶしや娯楽の為におもちゃの様に扱ったの。戦争をさせたり、大地を荒廃させたり、災害を起こしたり、そりゃもう色々よ、そのお菓子やジュースを私にも頂戴よ」


 山田はそういわれる事が分かっていたのか、新たに<デザイン>スキルでアリーのテーブルにアリーの大きさに合わせたお菓子を山盛りにした皿やジュースの入ったピッチャーやストロー入りのコップ、おしぼりを出す。山田がアリーのコップに<作画>スキルを使い適当にジュースを入れてあげると早速手に取り食べ始めるアリー。


「ケーキには負けるけど悪くないわね、このジュースもフレッシュね」


 コップを両手で持ちゴクリゴクリと一気に飲み干すアリー。


「しかし滅茶苦茶してんな〜地球の神話でも滅茶苦茶してるけど、良く反乱みたいなのが起きなかったな」

 

 さっきまであれだけケーキや紅茶を飲んでいたのに、アリーの胃袋はどうなってんだと思いながら、空になったコップにアリーのリクエスト通りのジュースを入れてあげ先を促す山田。


「この世界の人間ではこの世界の神に抗う事が出来ないからね〜、諦めと共に受け入れるしかなかったのよ、中にはそんな人間もいたそうだけど、尽く無惨に殺されたらしいわね、しかも面白半分で、そんな現状に憂いを抱いた三柱の神。大地と生命の神、魔法の神、鍛冶と武の神と他の神同士で争いが起こったの、で、色々あって苦労の末に見事に邪な神達を倒し」


 ボリボリとお菓子を頬張りストローでジュースを飲みながら喋るアリーの話には何の緊張感もなかった。


「色々多いな〜、その色々の部分を色々と聞きたいけど」


「それはまた別のお話よ」


「何だよ~便利なやつだろそれ」


「他の傍観していた神も2度とこの世界に手出し出来ない様に締め出して、めでたしめでたし。とはいかず、元々神々からの影響で疲弊してた世界はその戦いでのダメージが深刻で、マナは枯渇寸前、草木は枯れて大地も荒廃し割れ、空は雲が覆い、竜巻や地震、津波、火山の噴火と、いつ崩壊してもおかしくない状態だったの」


「生き残った人達っていうか生き物とかいたのかよ」


「大分減っちゃったわね、というかその前に神々に大分減らされてたんだけど」


「ひゃ〜恐ろしいな」


「それで残った三柱は世界を救うために決断するの、まず地球からのちに大賢者と呼ばれる様になる死にたてほやほやだった男に肉体や能力、道具や武器といった物を用意して転生させたの」


「うげ、あいつか」


 山田は何か思い出したのか頬をさする。


「男は異世界に転生できると知って初め喜んでたそうだけど、転生させてからは詐欺だ騙されたってずっと言ってたらしいわ」


「そりゃそうだろうな〜、転生したら世界が崩壊寸前だった件って感じだもんな、ちょっぴり同情しちゃうぜ」


 頬をさすっていた腕を胸の前で組み、何かに思いを馳せるかのように少し上の方を向き、広場の先にある木々を見ることもなく見つめる山田。


「そして大賢者に色々説明して頼んだ後、魔法の神はその身をマナに変え世界を覆い枯渇寸前のマナや荒廃した大地や海や川、自然災害を収め安定させ、鍛治と武の神は、神がいなくなった世界で生き物達が生きられるようスキルが発現する世界へとその身をもって改変し、大地と生命の神は、崩壊する大地をつなぎとめ支えマナを産み出し世界を安定させる為にその身を世界樹の種に変え、大賢者に世界の中心へと植えさせ根を張り世界を管理してるの、その時世界は丸くなったのよ」


「しかしよくそんなポッと出の男を信用できるな」


「そこはちゃんと選んでるわよ」


 そう言うとお菓子を食べストローからジュースをゴクリゴクリと飲むアリー。


「まあそりゃそうか、あの大賢者、何処か他人事みたいに軽い感じで言ってたけど案外ヘビーじゃないか、当時の生き物や巻き込まれた大賢者には同情するけど、神に関しては何とも言えないな」


「ちなみにスキルの魔法とスキルじゃない魔法があるんだけど、それはその名残りね。スキルの魔法は定形型、スキルじゃない魔法は自由型ってかんじね。で、大賢者は生き残った人々を集めて国を作って、色々やって大賢者と呼ばれる様になったってわけ」


「俺が色々滅茶苦茶出来るのは元神様の世界樹のおかげって事は分かったよ」


 そう言って手を合わせありがたやーありがたやーと呟く山田。


「それでお母様がどうやってその身を支えているのかって事だったけど、祈りね」


 コップをテーブルへ置きおしぼりで手を拭きながら話すアリー。


「あの教会とかでやるお祈りってやつか」


「そうよ、神のいなくなった世界で人々の信仰心や祈りといったエネルギーみたいな物は、唯一生き残ったとも言えるお母様へと集まって、栄養って言っていいかわからないけどその身を支えてるのよ、まあ世界が安定した所で役目を終えるつもりだったらしいけど、何故だかそうなっちゃったってわけ、だからと言ってお母様が世界に何か干渉するって事はよっぽどの事が起きない限りは無いけど」


「なるほどな〜あれだな、不出来なファンタジーっぽいな」


「身も蓋もない感想ね」


 アリーの置いたコップに陽の光が当たりキラキラとした影がテーブルで揺れていた。









凄くぼやかした無理やりの後付け、後乗せサクサクです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ