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異世界鳥獣人物戯画  作者: エンペツ
16/34

c-15「ガッジーラ」


「お前その体のどこにそんなにケーキが入るんだよ、体の大きさに対して食ってる量がおかしいだろ、お前の体に対して結構でかめのケーキだぞ」


 山田は新しく出した苺のショートケーキを幸せそうに食べているアリーを見ながら呆れた様に呟く。


「知らないの?甘い物は別腹なのよ」


 アリーはそう言いながらスプーンでケーキを掬い口へと運ぶ。


「別腹でかいな〜、てかケーキしか食ってないだろ」


 アリーはスプーンでまたケーキを掬うとそれを山田の前へと差し出す。


「はい、あ〜んして、あ〜ん」


「いや、いいよ、てかスプーン小さいし」


「はい、あ〜ん」


「いや、飯食ってるのにケーキ挟むのはちょっと」


「あ〜ん」


「いや」

「あ〜ん」

「いや」

「あ〜ん」


「・・・・・あ〜ん」


 しつこく差し出してくるアリーにこれは終わらないなと嫌々口を開ける山田。


「うっそ〜、あ〜げない」


 ぷいっとスプーンを自分の口に持っていき、すました顔で食べるアリー。


「分かってたわ!うっすら分かってたわ!でももしかしてとかちょっと考えたわ!なんなんだよ!」


 そう言うと少しヤケクソ気味にご飯を掻っ込み味噌汁を啜り、口から少しはみ出たワカメを乱暴にチュルッと吸うとワカメについていた汁が飛び散る。


「で、おまえは何しに来たんだよ」


 さっきのやり取りのせいか聞き方が少しぶっきらぼうな山田だが、アリーは気にした様子もなく相変わらずケーキに夢中だった。ケーキをスプーンで掬い口に運びながら山田の方を見ずに答える。


「まあ、あたしはあんたのサポート兼お目付け役ってやつね」


「世界樹が寄越したのか?」


 アリーは口の中のケーキを飲み込みスプーンを山田へビシッと向ける。


「そうよ、お母様に感謝しなさいよ。こんなに可愛くて優秀なあたしがあんたをサポートしてあげるんだから」


 腰に手を置き自信満々に胸を張るアリー。


「どこから出てくるのか、とにかくたいした自信だな」


「何か文句があるの?」


「い、いえ、至れり尽くせりで」


 ギロッと山田を睨むアリーに山田は少し焦りながら返す。ごまかす様に湯呑に口をつけて上目遣いでアリーの様子を窺う。


「しっかし、会ってみたら、いくら精神が体に引っ張られて幼くなってるからって馬鹿みたいな事してるし、あんたから出てる膨大なオーラのプレッシャーで周辺の魔物がいなくなるはで、この辺結構大変な事になってるんだからねそこんとこ分かってんの?まあそれはあんたのせいであってそうじゃないところもあるけど」


「ん?ちょ、ちょっと待て、色々聞き捨てならないぞ、まずなんだ精神が体に引っ張られるって」


「言葉通りよ、まあ多分どうしようもないから気合で頑張ってね。良いじゃないその姿だったら何か馬鹿な事やっても、子供のやった事だからって言い訳が堂々と使えるんだから」


 苺は最後に食べる派なのか、そこを残しながらスプーンで掬いパクリとケーキを美味しそうに食べながら

どうでも良い事の様に話すアリー。


「子供はそんな言い訳しないだろ。大人が子供をかばう時に使うやつだろそれ、なんだよ体だけじゃなく精神もそういう感じかよ。これ完全に子供にならないだろうな?」


「まあ、魂はおっさんだから気を付けてれば大丈夫なんじゃない?まあ、せいぜいやる事がちょっと子供っぽくなっちゃうってだけなんじゃないの?」


「なんだよ断言できないのかよ・・・・・あと俺から出てる膨大なオーラって何だよ」


 アリーは口直しに紅茶を一口飲み、カップをゆっくりソーサに置いてから山田の方を見て


「あんたはお母様と魂で繋がってるのよ、だからお母様が生み出し保有する膨大なマナを使えるんじゃない。その影響であんたからもそのお母様の膨大なマナのオーラが立ち昇ってるのよ、魔力を感知できて少しでも知性がある者ならそんなやばい奴からは逃げ出すわよ」


「そ、そうなのか?そうだったのか、自分じゃ良く分からないけど」


 そう言いながら自分の体を見回す山田。


「街中に急にガッジーラが現れたらあんただって我先に逃げ出すでしょ?まあ、動画を撮ろうとしたり度胸試ししようとするバカもいるだろうけどそう言う奴は大体先に死ぬしね」


「俺はゴジラかよ!俺はそんな所構わず暴れないし、お前のゴジラの発音は英語的なんだな。てかそれだったら世界樹の周りには魔物がいなくなりそうだけど」


「お母様がコントロールできない訳ないじゃない。まあ、その為だけってわけじゃないけど、大賢者の結界もあるからね」


「結界ってあれか、あの膜みたいなやつか」


 山田はその結界に出たり入ったりした事を思い出していた。


「コントロールできるなら俺から漏れてるらしいオーラもなんとかして欲しいんだけどな」


「あんたね〜あんたみたいなチンチクリンがそのまま野面で出てたら襲われてたわよ、色んな魔物に次から次へと、一応この森はやばいんだから」


 山田が出会ったのは金太郎達だけなのであまりピンと来ていなかった。

 

「なんだよそれ、この辺大変なことになってるって俺じゃどうしようもないじゃないかよ」


「そうね。だからさっきあんたのせいであってあんたのせいじゃないところもあるって言ったじゃない」


「・・・・・まあいいや、なんだか、ありがとうとごめんなさいが同時にきて変な感じだけど、金太郎達もだけどお前はそんな俺に良く近づけたな」


「そりゃあたしにとってはむしろ心地のいいもんだもの、今の金太郎達はあんたの眷属だし気にならないわよ、むしろ凄く調子が良いんじゃないかしら」


 金太郎達を見るととっくに食べ終わりそれぞれにくつろいでいた。


「そういうものか」


 そう言いつつ自分の体をまたキョロキョロと何かを探すように見回す山田、その様子に何か思い至ったアリー


「そういえば、魔力感知出来ないんだっけ?」


「す、すみません。どうやってやれば良いんでしょうか?」


 アリーは腰に手を当て1度溜息を吐き頭を振り、しょうがないなとジェスチャーをして椅子から浮かび上がると


「目を閉じて」


「何でだ?」


「良いから、早く」


 アリーに言われて持っていた茶碗や箸を置き、素直に目を閉じる山田。アリーは一歩二歩と山田から距離を取る


「こうやるんじゃああああああ」


 アリーの矢のようなドロップキックが山田の眉間に突き刺さる


「ぐへ!」


 変な声を漏らし飛んで行き勢い良く地面にぶつかると一回転してから地面に大の字になって止まる山田。

それに驚く金太郎達だがもう慣れたもののようで、チラッと見た後触らぬ神に祟りなしとばかりにそれぞれの時間に戻っていった。



挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

少し時間が出来たのでちょっと絵も描いてみました。

違うかな~と思ったら変えます。それはもうあっさりと。文章と同じです。

何か色々どんな容姿とか色とか書いたような気もしますが、思い出しつついい加減です。ちょいちょい挿絵みたいなのも挟んでいけたらな~なんて思ったり思わなかったりです。

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