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異世界鳥獣人物戯画  作者: エンペツ
10/34

C–9「洗い終わって」


「痒いところはありませんか〜?」


そんな冗談を言いつつ洗って行く。


母フェンリルは泡まみれになりながら、強者であるはずの自分が身動きも何も出来ず、どんな攻撃も跳ね返し、ドラゴンのブレスにも耐える自慢の毛皮が、ヘンテコな手の化け物に、好きなようにされている様に、驚き凹んでいた。

それらを生み出した、ひと噛みどころかひと撫でするだけで、いともたやすく命を奪えそうなピンク色の毛皮を被った小さき生き物が放つ、圧倒的なマナと力の気配に、この方が自分の、自分達の主人なのだと強く感じていた。

絶対的な強者。いや、神がごとき力を前に、恐怖や不安より何故か凄く安心感を覚えていた。


「じゃあ、魔狼達がずっと動けないのも可哀想だし、どんどんやっちゃいますか」


そう言うと山田はさらに魔狼の数だけ手のセットを生み出し、魔狼達を少し地上から上げ、それぞれ温水球で包み、母フェンリルに行った様に洗って行く。


魔狼達も始めは驚いたみたいだが、その気持ちよさにトローンとしていた。


「おいおい、野生的なものはどうしたよ」



◇◇◇


ブオ〜とドライヤーの音が響く。


「このドライヤーって何で動いてんだ?今更だけど」


<鑑定>スキルを使ってみる


<ドライヤーを持った手>

(山田によって生み出されたドライヤーを上手に使う手)

<ドライヤー>

(温風、冷風、風量調節は勿論。なな何とターボ付き!なのに魔力消費は驚くほど少量。しかも周辺のマナを勝手に集めて使用出来るモードへとボタン一つで切り替え可能な優れもの。さらに魔力量の少ない方や、お子さんなどが使っても、魔力消費が危険域に達する前に、自動でマナモードへと移行してくれるセーフティー付き)


「なるほどね、自分の作った物も鑑定できるんだな。適当に作ったけど案外しっかりしてるんだな〜。やっぱり魔力だかマナ的な何か不思議力で動いてんだな。てか魔力とかマナって何だ?・・・・・まあいいか、しかし、何だこのTVショッピング的な説明文は」


ドライヤーを持った手が母フェンリルや魔狼達を乾かしながらを、ブラシを持った手が綺麗にブラッシングして行くと、見事な黄金の毛並みが現れ、魔狼達の漆黒のような毛並みもつやつやしていた。


「あら〜綺麗になったね〜綺麗になったけど、やっぱ毛がちょっと長いかね、このまま地面に降ろすと擦りそうだな」


そう言うと、何も持っていない手達にハサミと櫛を持たせて、チョキチョキと切らせていく。

 母フェンリルは、またもや大抵の攻撃は跳ね返せる自分の毛が簡単に切られる事に驚きながら、魔狼達と共に終わるのを待つしかなかった。

 空いてる手達に毛を集めさせて、母フェンリルと魔狼達、ついでに金太郎の毛も切ってしまえと切り、それぞれで分けて丸めてお腹の道具袋に仕舞う。

それぞれの周りを囲っていた手達がどくと、母フェンリルと魔狼達、ついでに金太郎の見た目も良くなり、さっぱりとして賢そうに見えた。<作画>スキルを解き地上に降ろすと、母フェンリルも魔狼達も体をブルブルと振り、様子の変わった自分とお互いの匂いを嗅ぎあいながら確認しているようだった。

山田はうんうんと頷きながら、綺麗になった母フェンリルの毛並みを手で楽しんだ後に。指をパチンと鳴らし、お腹にある何次元ポケットかのような道具袋を開くと、沢山あった手達が自分からそれに吸い込まれるように入っていく。


「せっかく作ったし、勿体ないからな~次何時使うか分からないけど」


 とお腹の道具袋を閉じて


「お手」


と、急に右手を母フェンリルの前に出す。母フェンリルは不思議そうな顔をして、その手と山田を交互に見つめていた。が、何を思ったのかそろそろと右前足を手の上にポスっと乗せた。


「お、お〜、おおおおおおおお!賢いな〜」


まさか出来るとは思っていなかった山田は、興奮して母フェンリルに抱きつき、わしゃわしゃと撫で回した。その勢いに腰を上げて逃げ出そうとした母フェンリルだったが何とか堪えて、されるがままになっている。山田はひとしきり撫で回して満足したのかポンポンと叩きながら母フェンリルの左横に移動して、首に右腕を回し肩を組む様にして


「おい。やるじゃないか。おい、おい」


と揺すりながら声をかける。母フェンリルはそんな山田の顔をペロペロと舐めていた。その様子を少し離れた位置で見ていた金太郎が寄ってきて山田の前にちょこんと座った。山田は何だ?と思ったがすぐに思い至り


「お手」


と右手を出した。金太郎の右前足がポスっと乗った。山田は右手を下げて左手を出した


「おかわり」


すると金太郎は迷った表情をした後に左前足をポスっと乗せた


「おおおお〜金太郎も賢いな〜」


と金太郎に抱きつきわしゃわしゃと体や頭を撫で回すと、金太郎の尻尾は大きくブンブンと揺れていた。満足した山田は「さてと」と呟き母フェンリル達の方へと振り向く


「お前の名前も決めないと不便だな・・・うーん、金色、黄金、山吹色の小判・・・」


顎に手を当て考える、うーんうーんと唸っていると突然頭の上に電球が現れピカっと光る。


「よし!ヤマブキに決めた!」


ビシっと人差し指を指す。その指を不思議そうに眺めた母フェンリル、もといヤマブキは、山田の指先をクンクンと臭った後に恐る恐るペロペロとなめる。


「そうかそうか気に入ったか、自分のネーミングセンスが恐ろしいぜ、ビビっちまうってやつよ」


山田は満足した様子で、ポンと1つ手を叩くと


「じゃあお前にもこれを付けるか」


山田が金太郎が付けている首輪と同じ物を作ると、ヤマブキは山田が首輪をはめやすいように自分から首を下げる。


「これで良しっと、色くらい変えた方がよかったかね、まあいいか。さてと、ステータスを見せていただこうかね。その間、君達はこれでも食べてなさい」


そう言ってバスケットボール大の骨つき肉をそれぞれの前に出す。金太郎、ヤマブキや魔狼達はちゃんとおすわりをして視線を骨つき肉と山田を行ったり来たりして落ち着かない様子で待っている。


「良し」


という山田の掛け声とともに一斉にかぶりつく。美味そうに食べる様子に満足しながら


「あ、犬の食事って何か順位あるんだっけ?群れのボスがまず食ってからとか・・・・・」


自分のせいで 喧嘩になったらやだし、怒ってるのも怒られてしゅんとするのを見るのも嫌なので、一瞬やっちまったかと思うが、気にした様子もなく仲良くかぶりつく様子に


「まあこいつらが気にしてないならいいか」


と気を取り直し


「それじゃあレッツ鑑定」


名前ーヤマブキ

種族ーフェンリル

職業ー南のヌシ


≪装備≫

<山田の首輪>

設定=人語理解・サイズ調整・身体調整・強化


≪魔法≫

<風魔法> <雷魔法>


≪オリジナルスキル≫

<超嗅覚> <黄金の毛皮> <群>


≪レアスキル≫

<成長> <剛力> <魔力探知> <超肉体> <超再生> <身体剛化> <疾風>


≪スキル≫

<忍耐> <追跡> <探索> <牙術> <吼術> <爪術> <尻尾術> <気配察知> <気配遮断>


≪耐性≫

<風> <雷> <状態異常> <精神異常> <物理攻撃>


≪必殺技≫

<疾風迅雷> <疾風怒濤> <咆哮>


≪称号≫

<神獣> <長> <金太郎の母> <母は強し> <山田の眷属>



「やっぱり眷属になってるな、何か繋がりが出来た気がしたけど、名前付けるとそうなるのかね?もしかして首輪もか?職業は南のヌシ?じゃあ北西東にもヌシがいるのか?まあ金太郎と似てるけど少しスキルが多いか、称号は・・・母は強しって何だ?・・・・・まあいいか」


そう言ってヤマブキの方を見て


「なあ、お前が南のヌシって事は、北と西と東にもヌシがいるんだよな?てかお前俺にこんだけやられたい放題でヌシって大丈夫なのか?まあ、あんまり危険な生き物とかいなさそうだし、そういうのって、強さだけじゃないもんな多分」


ヤマブキは一旦肉にかぶりつくのをやめ、山田の方を向く。ヤマブキから何とも言えないという気持ちが伝わってくるが、それぞれにヌシがいると伝わってくる。


「ふーん。ちなみにどんな奴らがヌシなんだ?」


北や西や東は分からないが白虎、猪、ドラゴンが縄張りを作って大きな顔をしているとヤマブキから伝わってきた。


「おおーそうなのか、何か強そうだな、しかもドラゴンかー。そういえば、金太郎の試練だか何だかって、ドラゴン倒さないといけないんだっけか」


 金太郎の方を向くと、一旦かぶりつくのをやめた金太郎がワンと返事をする。その目はまだ闘志を失ってはいなかった。がすぐに骨つき肉へとかぶりつく金太郎に、山田は金太郎の目に宿っている闘志は骨つき肉への闘志なんじゃないかとよぎったが気のせいだと思う事にした。


「そっか、じゃあそれぞれに挨拶に行かないとな。あれだな戦いの予感ってやつだな」


山田はパシパシと拳を合わせる。が、ふがふがと骨つき肉を夢中になって貪る金太郎にヤマブキ、魔狼達を見て、盛り上がってる自分が虚しくなってきたので、丸いテーブルと椅子を出し座り、コーヒーカップにコーヒーを入れて一息つく。


「魔狼達にも名前付けてやらないとな〜でも数が多いからな〜そのうち気が向いたらでいいだろ」


そんな様子を見るともなく見ながら椅子にもたれてボーッとしていると、バリバリ、ゴリゴリと凄い音が聞こえてきた。そちらに意識を向けると一生懸命骨をかじっていた。すっごい牙と顎の力だなぁなんて思っていると、食べ終わり、のそのそとおすわりをしだす金太郎達、その口周りや前足はベトベトに汚れていた。


「あ、お前ら、せっかく洗ったのに、ベットベトじゃないかよ〜」


自分達の汚れを見て申し訳なさそうにする金太郎達。


「ま、しょうがないよな」


と言いながらスキルで一瞬にして綺麗にする。ヤマブキと魔狼達はさっきまで洗われてた自分達は何だったのか、さっきもそれで綺麗にすればよかったんじゃないかと思ったが、気持ちよかったし、まあいいかと気を取り直す


「よっしゃ!そんじゃ、そろそろ行くか〜。金太郎、母ちゃんへの挨拶は済ませたか?」


ワンと返事をじ山田を乗せる金太郎。山田は金太郎の上からヤマブキに向かって


「ヤマブキよ、お前の子供は任せておけって、え?あ、お前達もついてくるのね。いやいや全然良いよ、むしろ一緒に行こうって思ってたし、え?あれ、でも南のヌシは・・・あ、え?俺の物?俺がいるからいいの?ああ〜そうなのか、心配なら半分くらい魔狼を残して置くって?じゃあ、まあそれならそれでいいか、良くわかんないけど」


ワンと返事をするヤマブキ


「じゃあ、気を取り直して。レッツゴー」







適当が過ぎますが、良い気分転換になります。

齟齬が生じ修正しても色々破綻してきたら・・・諦めよう。


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[良い点] 面白いです。 [一言] 主人公の能力が便利すぎる ここまで便利だと何かしらの制約が無いか気になります。
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