迷い道
これは、私に起きた実体験をほぼノンフィクションで投稿しています。
……これは、私が二十代前半の時の話です。
当時の私は、まだ実家に暮らしていて、その日は友人の一人が泊まりに来てくれました。
私は、今は譲ってしまったのですが車を持っていて、その友人と一緒にいつものドライブに行くことに決まりました。
私の地元は田舎で、山や海が大体三十分から一時間で車で走れば着いてしまうのです。
私と友人達はドライブに行くときの道はいつも決まっていました。今日は、時間もあるので山と海の両方に行こうと決めたのです。
本来なら、私達の他にもう一人友人がいたのですがその友人が都合で遊べなくなり、私達二人で行くことになったのです。
最初の目的地の山は、私達以外の人はいなく、暫く友人と街の夜景を眺めて他愛の無い話をしていました。
いつか彼氏が出来たら行きたいね、そういえばこの間行ったらカップルがいたよ、と。
そして、次の目的地である、海に着いたのです。
季節は冬だったのですが、私と友人は冬の海も好きでしたので、海水を手につけたり、浜辺の砂を触ったり、寒さにはしゃいだり、とても楽しい時間を過ごしました。
体も冷えてきたので車に乗って、暖房を掛けて、お気に入りの曲を車の中で流しながら帰りました。
だけど、暫くしてからでしょうか……私達が異変に気づいたのは…
私達は、そこの海に行く道は何度も行っていて、道も当然覚えているんです。私は方向音痴で中々覚えられないのですが、友人はその道をしっかり把握しています。それなのに……
車を走らせても走らせても、目的地である私の家に着かないのです。
最初に異変に気づいたのが私でした。だけど、私は自分が方向音痴であるからきっと気のせいだと思ってそのまま走らせていたのですが、段々と友人もそのおかしさに気付いてきました。
私は、真っ直ぐに走ったり、右に行ったりしましたが同じ道路に出てしまう、左に行ったり来た道を戻っても、同じ道路にでてしまうのですのです。
それでも諦めずに何度もその道を走り続けていました。
このまま、ずっと帰れないんじゃないのか……と不安に思っていました。
まるで、漫画やアニメのように森の中をグルグルと回っている気分になりました。
最初は話しながら走っていましたが、段々口数も少なくなり、私達は気味の悪さと不安を抱えながら車を走らせます。
車の中は、曲が流れるだけで、他の音は何も聞こえない……コンクリートの道路に立っている電気が、どうしようもないくらい恐ろしく感じてしまいます。
ずっと、この道に居たら私達はどうなるのだろう?
このまま、帰れなくなったら、どうしよう?
どこかに 連れて行かれて しまうのだろうか ?
そんな、気持ちを抱えたまま走らせて、不意に見つけた曲がり角に車を走らせると……
見慣れた、私達がよく知っている道に出れたのです。
あの道に入った時の時間は確か午前二時…そして出れたのが午前三時だったのです。
やっと知っている道に出れた私達は喜びました。そして、やっとの事で私の家について、お風呂に入り、私の部屋で寝る準備を支度をして、布団に横になった時に、友人が言ったのです……
でも、おかしかったよね?あの道は何度も行ったりしたのに、迷うなんて……
私は、その問いに確かにと思いましたが、友人に
そういう事もあるよ…だけど、ちゃんと出れて安心したよね…
と言って、その日はそのまま眠りました。
そして、数年後…私は、ネットの怖い話を暇つぶしに読んでいました。
ある怖い話を読み終わった後に、とある話をなんとなく読んでいました……
その話は、その人も私達と同じで道を歩いていて辿り着けないという物です。そして、その人もやっとの思いで出れたと書かれてて私は、ある事を思い出しました……
それは、数年前に友人とドライブに行ったときと似ていたのです。
その事実に私は、寒気を感じて、ネットで他にも似たようなケースを探しました。私が調べた何件かが同じような体験をしていました……そして、その中である人がこの例をこう言っていました。私達や他の人達が体験した、その名前は……
神隠し。
神隠しは子供が神様に気に入られて連れて行かれてしまうというのはきっと、誰もが知っている事です。だから、数年前から既に成人して私にも起きるなんて、驚きました。
今では、その友人とは離れていて私は県外で暮らしています。だけど、たまに道に迷ったり、分からなくなると時々思うのです。
あの時は、もしかしたら本当に迷っていただけかもしれない。
道が暗くて、分からないだけだったかもしれない。
だけど、本当に…神隠しだったのなら………
あの時の、私と友人は……もし、あのまま、あの道にいたら……何処へ連れて行かれていたのでしょうか?
皆さんも、どうかお気をつけて下さい。