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腫瘍専門医

 腫瘍専門医


 腫瘍専門医のドクターBの予約が入っていた。 11時のアポで名前を呼ばれたのは12時だった。

このドクターは高齢男性で表情も言い方もとにかく暗かった。


 放射線医と話してやっと楽になった気持ちがまた沈む。そして医学生が一緒に居て訓練だとかでこれまでの経過を聞かれた。


 「……え~リンパ腺には転移していると思うけれど、あ~全部取ると腕が腫れる、一生注意しなければならないよ……」とボソボソと話す。会っていると具合が悪くなりそうだった。質問も出てこない。

病院側は最高のドクターだという。

本当だろうか?部屋もぐちゃぐちゃで書類もあちこちにある。時間にもルーズだ。何よりも患者の気持ちを暗くさせるのは良いドクターといえるだろうか?どんどん気が重くなっていった。



挿絵(By みてみん)



 手術は1週間後くらいだ。

怖い、すごく怖い。手術まではせめて息子に楽しい思いをさせたいと思い動物園に行った。 

3人で歩く動物園。まるで何もかもが普通でバケーションに来ているような気持ちになる。息子も楽しそうだ。


 「キリンがいるよ~!」と汗をかいて真っ赤な顔で走ってくる。また涙が出そうになる。夫が手をギュッと握ってくれた。


 ホテルの部屋は狭いなりに快適だったけど、自分のコンピューターがなかった。今のようなノートパソコンやタブレットもなくホテルのロビーに有料のコンピューターが置いてあった。これで10分いくらというようにネット接続できるのだけど、日本語が出てこない。

日本語で情報が読みたかった。もっと本を買って来るべきだった。乳がん情報などの。「なんでもない、帰れる」と思いこみたくて、わざと探してこなかったのだった。手術の方法など聞き取れないことも多かった。


 フィジカル・エクササイズのアポイントもあった。

手術後は腕が上がらなくなるそうなので体操の仕方などを習う。

その後またショックな話を聞いた。私の場合は再建手術は乳がん手術をした後のほうが良いと言われた。同時再建ではなく。 


 「きちんと全部治してから、それから1年後くらいのほうが良いと思う」と。それほどのリスクなのかと大ショックだった。


 「胸の中に腫瘍がいくつかあってリンパにも転移していると思うし、それから石灰化している所もあるし、とにかく治療が先ね」と。


毎回のことだがやはり泣く。


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