隣の彼女
この話で完結します。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
「うそ! ……おばあさんの勘違いとかじゃないの?」
「先生もそう思った。おばあさんに言ったんだって、勘違いとか忘れてるだけじゃないの?って。先生のおばあさん、職人を舐めるなって言ったんだって。そのおばあさん、自分が作った人形は全部覚えてるらしい。どの人形をいつ作ったかも全部」
「そんなおばあさんが、作ってないって言い切ったの?」
「そ。さて、あの人形はなんなんでしょう?」
「やだやだ!背中がゾクゾクしてきた!どうしてくれるの~!」
「聞かせてって言ったの美世だろ」
図星だった美世は耳を塞いで唇を突き出した。
「他に聞きたいことは?」
意地悪そうな笑みを浮かべていそうだ、と真壁は自己分析する。
「怖い話じゃなくて、幽霊との見分け方!」
「よしよし。まぁこれも、オタクの生徒から聞いた話だけど――」
それから二つ三つ、オタクの生徒からの受け売りではあるが、幽霊の特徴と見分け方なるものを美世に教えてやった。
ホラー話ではないせいだろう、美世は耳を塞ぐこともなく聞いている。
真壁の話した内容が、美世にとっては新発見で目下新しい情報だったのだろう。
「としくんの生徒さんも物知りだけど、内容を全部覚えてるとしくんもすごいね」
と、手の甲と甲を合わせるように拍手をして、美世は飛び切りの笑顔を見せてくれた。
――本日十九時三十分頃、S県I市内を走る市営地下鉄の線路内に、ホームから若い女性が落ち、死亡するという事故が起きました。現場はI市営地下鉄のG駅で、目撃者の証言によりますと、女性は混雑していたホームの線路側を歩いて移動していた際、何かに躓いたようだということです。転落に気付いた電車の運転士が急ブレーキをかけましたが間に合わず女性は轢かれ、その後、女性の死亡が確認されました。死亡したのは、I市内に住む会社員、ウエノ ミヨさん、二十七です。ウエノさんは、事故当時……