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生者と死者の、小さな境目  作者: 仲島香保里
8/9

日本人形の正体は

あと1話で完結予定です!

ぜひお付き合いください。

 お化け屋敷には絶対に行かないし、ホラー映画は絶対に見ない美世なのに、妙に今日はオカルトに興味津々だ。

 「そうだな……知識ではないんだけど、塾の先輩先生の実体験なんだけど、いい?」

 「いい!聞かせて」

 「その先生、俺の三歳くらい年上なんだけど、その先生が高校生のとき、先生のご両親と、おばあさんの四人で一軒家に住んでたんだって。お父さんはサラリーマン、お母さんは専業主婦、おばあさんは趣味で日本人形を作って売ったり、知り合いに譲ったりしてたんだって。

 で、先生が高校に上がったタイミングで自分の部屋が欲しいって言って、家の中の一つの部屋を分けてもらったらしいんだけど、その部屋っていうのがおばあさんの作った日本人形を保管しておくための部屋だったんだって」

 「――すでに怖いんですけど……」

 自分から聞きたいと言っておきながら、美世は両手で耳を塞ぐ仕草をする。真壁は美世の右手だけ耳から離してやった。

 ――ん? ……まぁいいか。

 「何日か使っているうちに、何体もある人形に囲まれているのが不気味になってきたんだって。じっと見つめられているようで、落ち着かなくなったんだって。人形はみんな、本棚のような棚に並べられていたから、棚の前にカーテンレールを取り付けて、カーテンも付けて本棚を覆い隠したらしい。

 これで人形たちの視線を感じずに過ごせると思って、上機嫌でいつものように布団を敷いて堂々と眠ったらしい」

 真壁は一旦言葉を切った。

 「めでたしめでたし?」

 「そんなわけあるかい。全然怖いこと言ってないのに。で、カーテンを付けてしばらく経ったころ、寝ていたときに金縛りにあったらしい。動くのは目だけ。半分パニックになりながらキョロキョロしてたら、何かに見られてるって思って、目だけ動かして部屋の中を見たんだ。そしたら……カーテンで隠してたはずなのに、一体だけ、カーテンの外に出てて、正面を向いているはずなのに斜めを向いて、先生の方をじっと見ていた――」

 「あーやだ!めちゃくちゃ怖いじゃん!」

 美世は両耳を塞いで、子供のように首を左右に振って拒否の意を示す。

 ――んん?やっぱり……?いや……

 「いやいや、本番はこれから。人形と目があった直後から先生は記憶がないんだって。たぶん寝ちゃったんだろうね。で、次の日の朝起きてみると、確かに一体だけカーテンの外に出て、正面を向いていなくて、先生と目が合う位置に置かれてたんだって。それだけだったら、たまたま寝ている間にカーテンを足で動かしちゃったとか、カーテンを取り付けた時に人形に当たって正面を向いていない状態になっちゃった、とか、色々考えられるだろ?

 だから先生も、金縛りにあって、本気で怖がったことを恥ずかしく思ったくらいだった。それでも一応、おばあさんに確認したらしい。何気なく、この人形はいつ作ったもの?とか聞いたんだって。

 そしたらね、先生のおばあさん、きょとんとした感じで、私はそんな人形を作ってないって言ったんだって」

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