雪遊びと魔法
そうこうしている内に半年が過ぎた。
首は完全に座り、ベッドに座れるようにもなった。
その為、喜んだ母はよく俺を連れて庭に行っていたりする。
ちなみに今、冬真っ只中。
一面の銀世界が視界に入り子供らしくテンションが上がる。
こんなの日本で体験するには旅行に行かなきゃいけなかったからな。
それにしても…火魔法使って欲しいな、寒過ぎる。
恨めしそうな顔で寒いと訴えると長い金髪を編み込んで艶やかさを抑えめの母は
「ヴィンくん、これから嫌という程雪に親しむんだから…慣れなきゃダメよ?」
と困った顔で優しく教えてくれた。
可愛い…こほん。
完全に余談だがこんな時にしなくてはいけない雪かき、これを我が家は…というかこの世界はほとんど火魔法と光魔法で済ませているらしい。
便利だ。正直日本にも欲しい。
おかげで家族皆暇でこうして遊べている。
「ビーチェの血が流れてるんだもん、すぐに慣れるさ。…僕はちょっと厳しいけどね……」
ガタガタと震えながら長いマフラーを巻いて現れた父親、カッコ悪い。
いやノースリーブで普通にしている母も可笑しいんだけどさ。
「さてと!ヴィンくん、これまでは首が座らなくて危険だったから出来なかったけど…今日からは遠慮なく魔法を見せてあげられるわ!」
未だハイハイも出来ない子供に何をしようと言うのか。
でもかなり楽しみで思わず声をあげる。
母が魔力を込め集中していると思えば雪の上に座る俺の下に魔法陣が出来、どんどん広がっていく。
そして、
「我が大いなる力を基軸に力を体現せよ 重力魔法 浮遊」
随分と偉そうな詠唱をしたと思えば下の魔法陣が光輝き俺を包み込んだその瞬間。
「ーーーーーッッ!!!」
浮かび上がった。
どこまで行くのかと思えば母の目線と同じ所で止まる。
びっくりした、心臓が止まるかと思った。
普通最初って水魔法からじゃない?
重力魔法から体験するなんて心臓に悪い。
そういえば母は吸血鬼、重力魔法は熾天人と吸血鬼だけにしか伝わっていない特別な魔法…それを最初に体験出来るなんて凄く貴重な事だな。
でも普通の子供なら絶対泣いてる。
怖えもん、これ。
「ほら、オリヴェル、貴方も良いとこ見せないと。」
「魔法はそんな得意じゃないんだけどな…ほら僕の手を見て、ヴィン。
水魔法 氷剣」
手の上に小さく魔法陣が浮かんだと思うと、激しく光輝いた。
そして魔法陣をゲートのようにして半透明の装飾もかなり施された剣が剣先から出てくる。
手から生えてきてるようで不思議だが、そこは魔法。当然手を貫通しているわけではない。
全て出し終えると父はその剣を握った。
冷たくはないのだろうか。
そんな顔をしていると
「どうだ、カッコイ…んん?ああ、大丈夫。柄だけ冷たくない氷にしたからね。これを覚えられると剣のない万が一の時に作り出せるから便利なんだ。ヴィンが大きくなったら教えるつもりだよ。」
そう言いながら一振りして氷剣を消す父。
雪景色の中で振るわれた剣はとても美しくて早く教えて欲しいと思った。
「…んじゃあ普通に…雪だるまでも作るか!」
「そうね!ああ、おいでヴィン!」
未だにずっと浮いている俺を置いて雪の中に入っていく両親。
ハイハイもまだ出来ないしそもそも地に下ろしてくれないし、でどうやって行くのかと思案していると、身体が勝手に動いた。
そうだ、魔法発動者だったら動かせるか。
「ぁーうーーー♪」
早く魔法が学びたい、そう思いながら俺は年甲斐もなく雪だるまではしゃいでいた。
最初は…
生まれた→ハイハイ出来るようになった→はい、魔法の練習
という算段だったのに7ページも書いて未だにハイハイ出来てない。
どうした。
可笑しいな。
乳幼児の話書き過ぎだろ。
転生してバブバブやってますってタイトルに変えたいくらいだよ。
変えないけど。
何も話が浮かばないから赤ちゃんのこと調べてたら楽しくなってきちゃってなんかこんな暴走を……すみませぬ。
大丈夫、もういい加減魔法に入ります。頑張れ、私。
アクセス解析っていう機能を今日初めて知りました。Σ( ̄。 ̄ノ)ノ
誰も見てくれねーわ、はっ、と思いのんべんだらりと書いていたら…皆さんあんなに読んで下さっていたんですね。
心から感謝致します。
これからも宜しければお願いします。m(_ _)m