突然に
とにかく。
震度7の熊本地震があった時、私は福岡県柳川市で仕事中でした。
川下りを終えて、船頭部屋と呼ばれる休憩所でひと息をつきながら片付けをしていた時に、スマホから突然に、
ビョーン、ビョーン、ビョーン。
地震です。
大きな揺れにご注意ください。
と、例のけたたましい緊急警報音とともに知らせが入ります。
まさか言うほどのことはないだろうと思いましたが、過去の経験もあり念のため咄嗟にその場に伏せて待機します。
すると、すぐに揺れがはじまり、部屋が回りだし立ってはいられなくなりました。
ビョーン、ビョーン、ビョーン。
地震です。
大きな揺れにご注意ください。
その警報音はずっと鳴り続けます。
私はすぐに、やべぇと這って机の下へと潜り込みました。
が、ここは古い建物でしたので、ぐるぐる揺れて、柱が軋む音が幾度も聞こえ、ひょっとしたら倒壊してしまうのではないかと思うほどでした。
ああ、止まれ、早く止まってくれと心の中でひたすらお願いしていました。
もしもこのまま揺れがおさまらなかったら、どうしよう、家族はみんなはお客様はと不安が頭の中を駆け巡ります。
1分くらい長い間揺れ続け、ようやくおさまってもなお、揺れが続いているようで私は放心状態・・・。
だけどあっと気づき、外に飛び出すと、お客様たちは他のスタッフから声かけを受けて外に避難していました。
うちの桟橋にある外灯がズレててり、近くの家の窓ガラスが割れたりとかなりの揺れだったようです。
外はもう騒然となっていました。
「大丈夫?」
「大丈夫!」
みんなと無事をたしかめあって改めて安心し、少しゆとりができ、スマホで震源地を調べてみると熊本でした。
震度は7。
10年前も同じような地震があったのを即座に思いだし身震いしました。
あの時は翌日にもう一度強い地震があったなと。
絶対に油断は出来ないぞと自分に言い聞かせます。
余震は続く中、川下りにでていたお客様、船頭も帰って、みんなの無事も確認することで次第に周りが落ち着きを取り戻しはじめます。
そうなると今度は気になる家族の安否状況をスマホで確認します。
奥さん電話、実家に電話、それから・・・。
「大丈夫?」
「めっちゃ揺れたけど、こっちは無事そっちは」
「こっちも大丈夫」
「よかった」
幸いスタッフの家族は皆さん無事で互いにほっとしました。
柳川の震度は5弱でした。 私が住んでいる熊本に隣接する大牟田市では震度4でしたが、さらにおよそ20km離れた柳川の方が今回揺れがひどかったようです。 これは柳川が干拓地が多くて地盤が緩いのも関係してそうです。
強く揺れた時、舟をおしていた同僚に話を聞くと、舟自体はそこまで揺れなかったそうです。
ただし、周りの建物は激しくゆれ、電柱の電線は大きくたわみ、水面は波だち、それを目の当たりにしたお子様が泣きだしたそうです。
次第にネット、ニュース等で被害状況が少しずつ分かり始めると、改めて大きな地震だという事が分かりました。
正直、まったく思っていませんでした。
考えようともしてませんでした。
でも起きました。
これは決して対岸の火事ではないことを、強く強く心に留めおく必要を感じました。
今はなにがあってもおかしくない世の中だと。
だけど・・・。
災害が起きた時は、そう思うのですが時間が経つにつれ、その意識が薄くなるのが人間の性です。
だから気をつけましょうといいたいのですが、天邪鬼な私は注意喚起でまとめればいいのに、本音ではきっといつのように日常に流されて、今ここで思ったことすら、心の奥にしまい込むことが確実だと知っています。
それは多くの人たちが、そうだろうと思います。
だから、書いてみました。
こうする事で、思いだすきっかけになればいいなと。
書いてみました。




