ゆいこのトライアングルレッスンB〜ドキドキはディナーのあとで〜
トライアングルレッスンウィーク!
最終日!!
今日はレストランでディナー!
ひろしとたくみが、誕生日会を開いてくれた。
「これも美味しー! 2人ともホントありがとう!」
「ゆいこのためなら、これくらい当たり前だ」
ひろしがわたしを見て微笑んだ。
「こういう時は、高級なものが食べられるからなぁー」
たくみは、食事に夢中なようだ。
突然、店内の照明が消えた。
「えっ、なになに!? まさか、停電!?」
焦っていると、バースデーソングが流れ、ケーキがわたしのもとへ運ばれてきた。
「ええっ!? わ、わたし!?」
「ほらほら、ろうそく!」
たくみに言われるがまま、わたしはろうそくの火を吹き消した。
店内から拍手が起こる。
「あ、ありがとうございます!」
「これは、俺から」
ひろしはわたしにプレゼントをくれた。
「これって!」
「ゆいこが気になるって言ってたミステリー小説。まぁ、俺はゆいこも気になるけど……」
「へっ!?」
今なんて!?
店内の雑音にかき消され、ひろしの言葉をうまく聞き取れなかった。
「俺からはこれ!」
続けて、たくみからもプレゼントを貰う。
「マグカップ……ん? 2つ!?」
「ゆいこと俺で、お揃いだぜ?」
「えっ!?」
「俺が遊びに行った時は、それで頼むわ!」
それは、2つのカップを並べると、ハートの形になるペアマグカップだった。
「お揃いか、やってくれるな」
ひろしがボソッと呟いた。
待って! これって、そういうこと!?
急激に顔が熱くなった。
ディナーを終え、わたし達は家路につく。
ひろしが、不意に口をひらいた。
「なぁ、ゆいこ、付き合ってくれないか?」
「へっ……!?」
「コンビニ、寄ろうと思って」
「コ、コンビニ……?」
びっくりしたぁ!
わたしったら、何動揺しちゃってんのよ! もう!
心臓がバクバクして、落ち着かなかった。
「俺も行こー! アイスでも食べるかぁ?」
わたし達は3人でコンビニに寄り、アイスを食べた。
「9月でも、まだまだあちーなぁ。ほれ!」
「ひゃっ!!」
アイスで冷えたたくみの両手が、わたしの頬に触れる。
「ちょっとぉー! 冷たいってばー!」
「ゆいこは、やっぱ可愛いなぁ」
たくみは上機嫌だった。
お腹を満たし、体も冷やしたわたし達は、夜道を並んで歩いた。
「ゆいこ、知ってるか? 人間は手を繋ぐために二足歩行になったんだぜ!」
「えっ? そうなの?」
「たくみがテキトーなこと言ってるだけだ」
「えっ? そうなの?」
「どっちでもいいだろ? おかげで繋げるんだから!」
そう言うと、たくみはわたしの手を握った。
「それもそうか」
ひろしはわたしの反対の手を握った。
街灯に照らされてできた影は、繋がれた3人を映す。
いつか、どちらかの手を、離さなければならないのだろうか……。
ねえ、もう少しの間、わがままでもいい?
トライアングルレッスンウィーク!
ありがとうございました。
これからも、日々修業、素敵な作品を書けるように精進致します。
明日はおまけ、『夏だ!ワッショイ!なろラジ演日!』の、幻のお品書き。
興味がある方は見てやってください。