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召集師団入隊

更新がだいぶ遅れました。

でも期末テストも終わって、夏休みも近いんでしばらくしたらまた続きが出るでしょう。多分

気づくと彼は2段ベッドの下段にいた。

「ここ……どこだ?」

彼の疑問はその直後に響いた起床ラッパの音で解決された。

つまりここは軍事施設で、今は午前6時前後である。

何はともあれ彼は厄介事に巻き込まれないように着替えて、それから記憶を確認しだした。

「まず昨日……一昨日の気もするけどその日の夜共和国がヒーサに攻め込んで、中尉さんとかと戦って、それで逃がしてもらって、それから夜通し歩いて……」

「で、俺たち第4召集師団第1連隊第2大隊第1中隊の装甲車がお前さんと美人な姉ちゃんを拾った、ってわけで、」

彼は向かい側のベッドの上段の主―長身の偉丈夫―から説明され虚を突かれた。

「それから、半日かけてこの基地へ来たってわけだ。」

そのまま話を続けたのはちょうど向かい側のベッドの主―機嫌の悪そうな顔の優男―だ

「ともかく、さっさと小隊長のとこ行って来い。話はそっからだ。」

「は、はぁ。」

上段の主が半ば命令口調に言った一言をしかし彼は疑問に思った。

「なぜ、小隊長何ですか?人事権は中隊長にあるはずなんですけど。」

「ああ。それか。まったくもってあの中隊長、兵舎の階段踏み外して鎖骨折ってんだ。」

「だから、後送。今は南の軍病院にいるはずだ。そして今、人が足りていないから小隊長が中隊長を兼任してるんだ。」

彼は話の大筋を掴むととりあえず部屋を出て隊長室へ向かった。



「来たか。」

その小隊長の執務室には小柄な、目つきの悪い、少尉と中尉の襟章―特務と書いてあるが―を着けた男がいた。

「先日拾って頂きましたフィデリオ・アルべリヒです。」

「ようこそ、クソッタレな臨時前線基地へ。

俺がそこの第1中隊臨時中隊長のニコライ・クルーガーだ。

 早速だがお前さんのことはすでに調べさせてもらった。残念ながらお前さん、予備役だからここに配属ということになった。」

そのくらいでは動じない。

「で、曲射武器の特技兵とのことだから第1小隊に組み込ませてもらうぞ。」

その時バタバタと立てつけの悪い扉の反対側から駆け足の音が入り込み、

「先日拾って頂いたアーニー・ブライトナーで……す。」

あいさつをしながら飛び込み、しかし入口の段差で転びかけた彼女がいた。

「とりあえずお前らは今日から第1小隊に合流しろ、以上。もどってよろしい!」


しばらくの後食事ラッパが鳴り2人は混雑に紛れ込み食堂へ入った。

「おう!新入り達。こっちだ。」

彼らを見つけ机を叩いたのは長身の偉丈夫だ。

「さてと、食いながら聞け。第2分隊最後の欠員補充はこの二人だ。

こっちのアルべリヒが短期下士官候補上がりてことで3等軍曹、こっちのブライトナーが召集ってことで1等兵だ。全員さよう心得るように。かかれ。」

空気を読むのは隊員にとっては簡単な事で、実際に食いながら聞いていたものはいなかった。

「ところで分隊長、あたしたちの自己紹介はいらないのかい?」

まず口を開いたのは偉丈夫に負けず劣らず体格の良い美女だ。

「おう、忘れてた。ってわけで自己紹介だ。

 俺はグスタフ・パーシウス。35歳。第2分隊の分隊長で、階級は曹長だ。」

「装甲車要員その1マクシミリアン・ギバルシュ3等軍曹。一応主砲担当だ。」

グスタフの右隣に座った優男が言う。

「あたしが装甲車要員その2のソニア・レイタス1等兵。操縦士で、そこのマクシミリアンの婚約者です。」

わざとらしい声で言ったのは優男の向かい側の美女だ。その言葉にマクシミリアンが難しい顔をする。

「ストラトス・ノーヴァ2等軍曹。おもにポイントマンをやってる。」

無表情な男が機嫌が悪そうに言う。

「ヘルマン・シベリウス1等兵。狙撃もできるが、下手だ。」

筋肉質な小男が謙遜しつつ言い、

「妹のローサ・シベリウス2等兵。一応スポッターってところかな。」

まるで似付かない少女が付け加える。

「俺は装甲車要員その3ヴィルフリート・ギバルシュ3等兵。機関砲手でマクシミリアンのいとこに当たるんだ。よろしく、ブライトナー1等兵。」

まだ10代に見える少年をけん制する意味でかマクシミリアンが睨みつける。

「僕が隊付衛生兵のリー・ウェーバー1等兵。できれば怪我しないように願います。」

気弱そうな青年が言う。

「で、自分が通信兵のブリアン・リージ3等兵。よろしくお願いいたします。」

生真面目そうなおっちゃんが締める。

「この11人でやっていく。いいな?」

「おう。」とか「はい。」とか「ええ。」といった賛同の声が響く。

その時である。

「あー、全員いるだろうか?」

臨時中隊長のニコライが食堂の端でマイクを使って話し出した。

「先日肋骨とか鎖骨とかを複雑骨折して全治数カ月のエンプレス中尉に代わる中隊長が赴任なさった。」

そう話す彼の右手にはアーニーもフィデリオも見知った男が立っていた。

「「……」」

二人の間には微妙な沈黙が挟まる。

「えー、私がヴィレム・ドールマン中尉だ。新しい中隊長として鋭意努力する所存だ。さよう心得るように。」

「「……ええええええええっ!」」

二人の絶叫が響き残念ながら中隊長新任式はいささか締まらないものとなった。


次は多分戦闘パートです。

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