第26話 私の青春
女子生徒A「シドニーちゃん運動神経良すぎない!?」
男子生徒A「最初から14点くらいハンデあっても勝てるかわからん」
女子生徒B「かっこいい!めちゃくちゃ美人だし!」
女子生徒C「シドニー、はいこれ、タオル」
「あぁ、ありがとう」
男子生徒B「今度俺にもバレーボール教えてよ」
「いいよ」
男子生徒C「これから姉御と呼ばせて頂きます!」
「?まぁかまわないけど、」
女子生徒D「今度一緒に遊び行こう!」
「いいよ」
ナイル「シドニーすごいね、私のクラスまで噂してたよ!なんかめちゃくちゃ美人でかっこいい女子が転校してきたって!」
「これも全部君のお父さんのおかげだよ、」
ナイル「またまたそんなこと言っちゃって、とりあえず、シドニーの高校デビュー大成功記念にパフェ食べ行こ?」
パフェか
なんか女子高生みたいなことしちゃって、
私の外見は永遠に16の時のままだから違和感ないけど
実年齢確実に30は超えてるね、100行くか行かないか
何年くらい前だろう、孤児だった私はこのグレイヘイブンで居場所がなくて、ある日突然黒いスーツの人に連れていかれ、孤児っていう都合のいい身分から国にスパイとして養成されることになった
ナイル「シドニーはパフェ食べないの?」
「私は君が食べてるのを見てるだけでも十分だよ」
ナイル「急にイケメンなセリフを言うね」
私はもちろんそれが異常と知らないし、日常だと思っていた。毎日朝早く起きて他の子たちと上官に怒鳴られ訓練をし、寝る前に少しだけベッドで他の子と談笑する、これが私の日常だった。
ナイル「…それでね!その先生が怖くてさ、私たちもう顔を見られなければお咎めなし!って一目散に逃げたよ!」
「確かにそれは怖い」
ナイル「でしょでしょ!」
私には特に仲良かった女の子がいた、今振り返って見ると多分私はあの子のことが好きだった、当時は上官以外男性がいない環境だったし、仕方ないっちゃ仕方ないけど、でその子とあと何人かくらいでよく一緒にいた、
「…それでね!その上官が怖くてさ、とりあえず顔見られなければお咎めなし!ってことで一目散に逃げたんだよね!」「いやその後カメラでバレたじゃん」「ボクは知らないぞ!」「またまた、ビビっちゃって!」
今でも何となくみんなとの会話の内容を思い出せる、だけど何故かその子の名前だけは思い出せない、
そして、肝心なのはその後だ
ナイル「それで今日初めて行ってみてどうだった?気になる子とか?さっき一緒に歩いてた男の子は?」
「確かにイケメンだね」
ナイル「でしょでしょ、実はね!私幼なじみなんだよね!」
結局私たちは長い訓練を何年も受け、実務をこなすことになった。その時やってたのは確か、国内に潜入する他国のスパイの中にスパイとして潜入する任務だったな。
それでそんなある日、情報交換をした帰りに私は楽しく談笑しながらパフェを食べる私と同じくらいの歳の女子高生の集団を見た。
で私は思った、私たちは日々必死に平和を維持するために自分の意思を無視して努力している、なのにこいつらは何もせず私たちが維持する平和の中で呑気に楽しく生きてられる、私は初めて自分の状況の方が異常と理解した。
その一週間後、少し任務に余裕が出来た、そして何を思ったのか、私は仲が良かった“彼女”とパフェを食べに行こうと誘った。もしかしたら少しだけでも普通で平和な日常を体験したかっただけかもしれない、ただ“彼女”はそれに乗ってくれた。
そして気づけばひったくった財布の中の金で1つのパフェを一緒に食べながら私は“彼女”と楽しく談笑していた、その時間はとても楽しかったのを覚えている。だが私たちはスパイ、平和な女子高生じゃない、所詮運命からは逃れられなかった、私たちが食べたそのパフェのなかに毒が入っていた。
ナイル「ありがとうシドニー、今日は楽しかったよ!」
「私も楽しかったよ」
ナイル「そういえばさっきパフェ食べなかったの、本当は私の財布のこと気遣ってくれてたんでしょ?」
「…」
ナイル「どうしたの?」
「ナイルは可愛いなって」
ナイル「え!?そういうセリフって一日に何個も真顔で言えるものじゃないよ!?」
“彼女”はその毒ですぐに死んでしまった、私はもう返事をしてくれない“彼女”を必死に揺さぶり起こそうとした、どんなに訓練で死んだかどうか確認する方法を習ったとしても私は諦められなかった。
自分の体の臓器の内側から痛みを感じ、同じものを食べた私もそろそろかと思った、もし私が誘わなかったらこんなことにはならなかったのでは、そんな思いが渦巻いた、でも私は逃げた、その現実から私は逃げた、「全ては虚しい」、自分にそう言い聞かせた、そして静かに死ぬのを待った。
ナイル「ただいま」
「ただいま」
ヴェネツィア卿「おかえりナイル、シドニー」
だが私は生きていた、
人間から魔族であるヴァレティナ・ノワールになって、
そしてシドニーは私の本名だ
なんかこの話書いてて当たり前の毎日に感謝しないとってちょっと思った、今回も最後まで読んでくれてありがとうございます!




