題名「見えない探偵をつかまえるはなし」
探偵「あなたが犯人です!」
僕は最近流行りの探偵ドラマを見ていた
秋(ふーん。あんまり斬新ではないな。)
僕の名前は秋。もちろん独り身ではなく、お嫁さんもいる。
私「秋くーん!ちょっと手が離せないからーーー!びでおとっておいてーーー!」
僕は言われるがままにリモコンを手に取り、録画ボタンを押した。
ピッ!
Blu-rayレコーダーが動き出す。
秋(よかった。録画はされてるみたいだ)
僕は機械には疎いのでちゃんと録画できるか不安ではあった
私「ふんふん、ふふーん。」
秋(鼻歌なんて歌ってるよ...機嫌がいいのかな?)
私はフローリングを滑りながらトイレへと行った
ガチャリ!
秋「ふー。終わった終った。課題でもやるかー。」
僕は、というか”僕らは”まだ大学生だ。学生婚ってやつだった
私ちゃんの貯えで楽に暮らせている
そんな彼女の仕事はと言うと・・・。
『霊媒師』
イタコとかそういう関連の仕事だ。彼女にそれを言うと
『いっしょにしないで』 だそうだ。
実際そこら辺の違いはよくわからないので反論することもできずにゴメンとあやまった
秋(そういえば明日だっけ?)
明日は彼女の結婚して初めての誕生日にあたる日。
プレゼントを買いに行かなくては。と思いつついつの間にか明日に迫っていた。
手作りでもいいのだが、こういうのは自分が貰って嬉しいものを贈るという。
僕は手作りの品をもらってもなんら嬉しくはない。
秋「そういえばもう冬だよな。スノードームとかどうだろう?」
私「なに?なんか買いたいものでもあるの?」
いつの間にか彼女がトイレから帰ってきていた。
秋「い、いや?ナンデモナイヨー。」
私「ふーん。それならいいんだけどね?」
彼女とは幼稚園の時からの幼馴染である。
遡ること10年前———
秋「僕くん!大きくなったらお嫁さんにしてね!」
僕は不本意ながらも怒らせると怖いので乗ってあげることにした。
「うん。まあいいよ。」
僕の返事に喜びを隠せない秋ちゃん。
「じゃあちょっと遊んでくるね。」
秋「いってらっしゃーい」
そうして今・・・いま?その前に何かあったような・・・?
「だから!ほんとに何もないんだってば!」
秋「うそだあ!〇〇ちゃんとキスしてたでしょ!?ほら!ほっぺにキスマークが」
僕はほっぺたを袖で拭いた。
そのあと口論になって、秋ちゃんが包丁を持ってきて・・・。
それを取り上げた拍子に秋ちゃんの胸に包丁が・・・。
それから?それから僕はどうしたんだっけ?
弁護士『以上の証拠から被告人が犯人であることは明白です。無期懲役を求刑します。」
裁判長『わかりました。被告人も罪を認めますね?』
秋「・・・はい。」
僕の罪は決定した。かに思えたそのとき法廷の扉が開いて
探偵「おっと、まだ判決を下すにはちょーっと早いんじゃないかい?」
ざわざわ
カンカン!と裁判長が木づちを打つ。
裁判官「静粛に。彼は探偵。私が雇ったものです。さて、証拠を提示してください。」
探偵「ああ。まずは彼の名前からいこう。彼の名前は”秋 信也”そして被害者の名前も”秋 千鶴”どういうことか分かるかね?裁判長。」
裁判長「ふむ。資料によると彼の名前は”枯木 信也”となっていますが・・・。」
弁護士「ばかばかしい。仮に同じ名前だったとしてそれが何だっていうんだ!!」
裁判長「まあ落ち着いて。私は彼の言うことに興味があります。続けてください。」
探偵「じゃあ、続けるぜ。彼の名前はこの事件が起きる前に代わっていたんだ。彼は結婚している。」
弁護士「ほう。一体誰とですか?」
少し貯めてこう言い放った。
探偵「被害者の女性とですよ。つまり彼らは恋仲だったわけです。」
弁護士「つまり、恋仲だから彼には殺す動機がない。そう言いたいわけですね?」
裁判長「それでは殺意がないという証拠にはなりませんね。他に証拠は?」
懐からごそごそと何かを取り出した。
秋「!?」
弁護士「スノードーム?」
探偵「そう!彼が彼女に贈る筈だった大切なものをお借りしてきました。」
コツコツ。
スノードームを小突いて見せる。
探偵「事件があった日は丁度彼女の誕生日だったそうです。つまり事件があった時にこのスノードームも部屋にあったことになります。しかし見てください汚れひとつない。一応鑑識に調べさせましたがルミノール反応(血のあった形跡)は出ませんでした。おかしいでしょう。現場を見ると大量の血痕が残されていました。そんな中、このスノードームだけが血にあたらなかった、なんてことがあり得るのでしょうか?」
カンカン!裁判長が木づちを打つ。
裁判長「弁護側は反論はないですね?判決を言い渡します。」
『 『 ” ” 無 罪 ” ” 』 』
秋は涙を流していた。そしてエンドロールが流れ始めた。
ピッ!『録画が完了しました。』
秋「はっ!いつのまにか寝てたのか。」
私「Zzz......Zzz......」
秋も隣で眠っていた。
外では赤い雪が降ったとかなんとか。
秋「どうか、幸せな夢を」
完