1 始まり
痛い。
殴られ体が飛び、地面に落ちる衝撃が伝わる。
父親面をする男が罵声を浴びせてくる。何が気に食わなかった?そんな疑問が頭に走る。罵声の中から疑問に対する答えのようなものが聞こえてきた。
「俺の視界に入るな!!!」といういつもと変わらない理不尽な理由だった。だが、その嫌な日常は突然崩れた。
玄関のドアが叩かれる音が聞こえてくる。その音が聞こえた途端、男が私を奥の部屋へ押し込み玄関へ向かった。男が玄関に向かってすぐ怒声が聞こえてきた。なにやら来客者と男が揉めているようだ。
数分経ち、いきなり男の声が聞こえなくなったと同時に、数人が家の中へ入り込んでくる。乱暴に家の中でなにかを探し回っているようで色々なものが壊れる音が聞こえる。
怖い。
殺されてしまうのかと思うと体が恐怖で震える。そうこうしているうちに部屋のドアが開いた。
その時、私は死を覚悟した。だけども私に訪れたのは死ではなく救いだった。部屋に入ってきたよくわからない服装の人が優しい声色で言う。
「この状態を見て言うのもなんだが、、、。大丈夫か。」
あまり大丈夫とは言えなかったが頷くと、いきなり変な服装の人は私を抱きかかえ、歩きだした。
「お前はあの男に何をされた。少しだけでいいから教えてくれ。言い難い事は言わなくていい。」歩みを止め、聞いてくる。「、、、暴力、暴言。」そう答えると再び歩きだし、「そうか。」と言った。
安心。
この感情は久しぶり、いや初めてかもしれしれない。安心し緊張が解けたからか、いきなり強い眠気が襲ってきた。そのまま気絶するように寝てしまった。
今後も不定期で更新すると思います。...多分。