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コケッコー御結婚【完結】【ハッピーエンド】  作者: 尻鳥雅晶
私は如何にして心配するのを止めて
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ありのままの姿

「このご条件では、少し難しいかも知れませんね」

「……もし年収がこのくらいなら、どうですか?」

「確認してまいります。少々お待ちください」


 平成15年。私はZに入会するため、新宿の支店を訪れていました。


 Zのシステムには、大きく分けて2種類の支援プログラムがあります。

 そのひとつは、大小のパーティ。よくあるイメージですが、このころの私には少しハードルが高いと感じました。大がかりなパーティには別途費用がかかります。


 もうひとつは、実はこちらがZのメイン(成婚率の高い)だそうなのですが、マッチングというシステムです。これは会員があらかじめ申告した自己データを元に、コンピュータで選んだ会員同士を紹介するものです。


 ところで、婚活について意見を持っている人の中には、他人からパートナー候補を紹介してもらうことに難色を示す方がおられます。自分の相手ぐらい自分で見つけろ、というスパルタ的な意味ですね。


 実際にそう言うのは、なぜか当事者以外の方が多いようですが!


 私はそうは思いません。なぜなら、自分自身よりも他人のほうが、自分のことをよく判っている場合があるからです。情の入らないコンピュータも同様だと思います。もちろん、最終的に判断を下すのは、自分であるべきですが。


 話はもどって、Zのカウンセラーさん(年配の女性)に難色を示されたのは、そのマッチングに関する保証の問題でした。マッチングは2年間に毎月3人以上のお相手を紹介する保証をしているのですが、逆に言えばその保証ができない場合は、マッチングをメインにするプランでは入会できません。

 マッチングはお互いの条件で決まるので、お相手に求める条件を低くするか、逆に自分の条件が高くなれば、保証の可能性が高まる訳です。


 ※ご注意 Zのシステムは当時のものであり、会話や記憶には主観(そう言われたような気がした)が混じっていることをご了承ください。


「お待たせしました。問題ありませんよ」

「ええと、実はですね……」


 私はカウンセラーさんに家業の事情を話しました。

 自営業であり、自分で自分に給料を出しているので、額面だけなら年収を上げられること。

(事実、私はこの直後に給料の額面を上げました)

 社用車など、融通の利く資産もあること。ただし、景気の悪いときは補てんする場合があること、厚生年金ではなく国保も割高なこと。つまり、年収の捉え方によっては多くも少なくもなること。


「……嘘をついているわけじゃないんですけど、誠実とは言えないかも」

「嘘でないなら、よろしいかと思いますよ」


 カウンセラーさんは、ごく普通のこととして「目に見えるデータ(イコール)本来のステータス」ではない、という趣旨の話をしてくれました。


「もし気になられるようなら、おつきあいが進行したとき、ご自分の口でお相手に説明されればよいのでは」


 なるほど。

 考えてみれば、奨学金ローンや介護や親の資産等もその「見えないデータ」の範疇に含まれる訳ですね。そんなことを最初に提示するデータに含める人はいないでしょうし、含めていなかったとしても、不誠実と感じる人は少ないでしょう。

 これは確かに普通のことです。


 ああっ、いま気付いた! ハニー、君に説明するの忘れてた!


(ホントに説明されなかったよ~、まあ、そんなヒマなかったけどね)


 カウンセラーさんは、他にもホームページやパンフレットには載っていない興味深い話を色々教えてくれました。


 たとえば、入会する人の中には、公序良俗に反する御商売の集客が目的の人がいるため、これを排除していること。


 また、写真だけで決めないで、できるだけお相手と会おうとする人が上手くいきやすいこと。確かに、写真だけで決める人については、私自身もあまり好感を持てないし、私もそうするつもりはありません。


 もちろん、世の中は見た目がほとんどを決めることは判っていますとも。えーえー、よーく判っていますとも。チクショー。

 ただし私自身は、「見た目」だけで人を判断することについて、それほど不合理なことだとは思っていません。


 これは私の独自の理論なのですが、そもそも「見た目」による他人の評価というものは、経験や他の五感なども含めた莫大な情報が、脳内で視覚情報に変換された結果に過ぎない、と思うのです。

 ただ、その正確さとか、変換効率とかは、個人や人生経験によって差があるのは仕方ない、と思っているのですよ。


 話を戻して。


 カウンセラーさんの話で、最も印象に残ったのは、最後に教えてくれた「会員の女性の、とある傾向」でした。


「他に何かご質問は」


「あのですね、私は商売をやっているものですから、お客さんに時々思うことがあるんですよね。こっちから立場上言い出しにくいことでも、もう少し踏み込んで頼んでくれたら、してあげるのになあ、とか」


「はい」

「そこでお聞きするんですが、こういう点に気をつけたほうがいいんだよね、聞いてくれないと言えないけど、というようなコツというかポイントというか、心構えとかじゃなくて、具体的なことで、もし、そんなものがあったとしたら、教えてほしいんですが」

「ああ、それは……」

「まあ、なかなか、そういうのはないでしょうね(笑)」


「ございます」

「えっ」


 続きは次回!


(えっ、ここで引くの!? つづきー!)


 待っててね。ハニー、愛してる。

ご愛読、ありがとうございます。

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