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コケッコー御結婚【完結】【ハッピーエンド】  作者: 尻鳥雅晶
婚活ヘン マイ・マリッジ
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はじめに クックー!クックー!

皆様、私のセキララなる実体験の世界にようこそ。

 それは結婚して、ちょうど一年目。平成19年のことです。


「お約束どおり、結婚一周年目の記念日に無料で一泊ご招待します」


 結婚式を挙げたマスカレード・ホテルからの電話です。そのサービスはもともと式のプランに含まれていたので、本当はご招待ではなくて料金のうちなのですが。


「あの……それで……実は……その……」

「はあ(何だか歯切れが悪いなあ)」

「……ベッドはダブルでよろしいでしょうか」


「えっ」

「そのっ、ツインもお選びになれますが」


 私の声に懸念を聞き取ったせいか、少し慌てたように担当の人が言い足しました。


「えっ、記念日で、当時と同じ部屋というのがウリですよね。なのに、わざわざツインを選ぶ人がいるんですか?」

「それが、結構いらっしゃいまして」


 これが身の回りで聞いた話なら、「そういう新婚さんもいるんだね」と思っただけでしょう。しかし、これは、沢山(統計的に意味があるだろう数)の利用客を見てきたホテルの人が言ったことなのです。


 もちろん、寝相が悪い、とかイビキがすごい、などと理由があってツインを選ぶ人もいるでしょう。

 でも、おそらく一番多いパターンは、結婚したときとは二人の気持ちが変わってしまったという事でしょう。ホテルの人の歯切れが悪いのは、夫婦仲が現在険悪になってしまった場合がありうるから、と考えると納得がいきます。


 腫れ物にさわるがごとく。


 一流ホテルに泊まりたい、でも、記念日の一晩ですら、もう同じベッドで寝たくない。多数の新婚さんが、たった一年で、そう変わってしまった……

 現代における結婚の、真実のひとつを私は知ったのです。





「一生結婚できないだろう」と、かつての自分は思っていました。


 結婚「しない」ではなく、結婚「できない」です。なぜなら、客観的に見て、婚活市場における私のスペックはヒドイものでしたから。

 そう……


 オタク・チビ・デブ・中年・長男・自営業・高卒・低年収・両親同居の婚活9重苦(クックー)


 クックー!クックー!!

 失礼。自虐のあまり少し変になりました。


 ※ご注意 不幸自慢ではありません。そもそも不幸な要素などひとつもありません。

 どれも見ようによっては、時と場合や国によっては、幸運になり得るんですから。

 これらは、あくまでも日本の婚活市場だけのマイナス点ですからね!


 えーと、なのに私は、現在(平成28年7月23日の結婚10年目に執筆開始)も、幸せな結婚生活が出来ていることを、とても不思議に思っています。

 なぜなら、もし他人の目で自分自身を見ることができるなら、きっと私は私のことをこう思うはずだからです。

 そう、婚活9重苦(クックー)お前(わたし)に、結婚なんか絶対できるはずないのに、「なぜ結婚できたのか」と。


 どうやって? 早く教えてプリーズ!!


 そして、手に入れた手段はどうあれ、私はやっとの思いでつかんだこの幸せを、決して失くしたくありません。


 私の心配は、杞憂なのでしょうか?

 いえいえ。TVにも、新聞に、ネットにも、愛し合って結婚したはずの二人が、いともたやすく別れてしまう話にあふれているではありませんか!


(考えすぎなんじゃないの?)


 おっと。この声は私のハニー、私の愛する奥様の意見です。

 私はこのテキストを書くにあたって、すべて我が愛しき奥様に読んで差し上げております。

 括弧内のセリフは、そのときの彼女の意見ツッコミと思ってください。


(よろしく~)


 私の幸せを失くさないために、私に何が出来るだろう?


「幸せな結婚を維持するために、出来ることをいつも考える必要がある」


 私のこの思い・持論に、反論をいただいたことがあります。平成21年、私の住む自治体が主催した、結婚がテーマのディスカッション「マイ・マリッジ」に出席したときのことです。


「(幸せな結婚生活に必要な)愛情は自然に発生するもの、努力は必要ないと思う」

 という、とある未婚者の反論に、私は答えました。


「自然にまかせると自然に別れるのが現代ではないでしょうか」


 前述のホテルの話のように。

 そしてそれは、これを読んでくださる貴方の周囲でも、ありふれた普通の話だと思うのです。



 結婚生活における愛情の継続とは、「グライダー」で飛ぶようなものだ、と私は考えています。ご存知の通り、グライダーはエンジンのついていない飛行機です。グライダーは他の力を借りて飛び立ち、滑空して飛行、やがて着陸します。


 でも、自分の力で飛べないのなら、それは飛んでいるというより、ゆっくり落ち続けているのでは?


 いいえ。


 グライダーのパイロットは上昇気流や強い風の流れに乗ることで、飛行距離を自ら伸ばすことができるのです。

 結婚もまたグライダーと同じく、何もしなければ、新婚当時の熱さはやがて枯渇するでしょう。なぜなら私たちは老いるからです。

 しかし、愛が完全に蘇ることは無いのだとしても、すり減るのを遅らせることは出来るのではないでしょうか?

 ゆっくりゆっくり落ち続ける方法があるのではないのでしょうか?


 どうやって? 誰か教えてプリーズ!!


 次回は、結婚とは何か、私なりの結論を書きます。


(2回目でもう結論?)


 ごめんね早くて。愛してる、ハニー。

お読みいただき、ありがとうございます。

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