夢幻放浪
久しぶりの投稿です。またしても夢にみたことを元にしています。
「OKジュニア、いい子にしてるんだぞ。お土産を買って帰るからな」
「ほんと!?パパ、楽しみにしてるね!」
今回の仕事は開示されていないことが多いが、実入りは多いと聞いている。妻と別れてから寂しい思いをしている一人息子に、たまには父親らしいことをしてやれるだろう。
「これは画期的なことです」
説明会で会社の重役達が興奮していたのも無理もない。この星の深深度に、通常と違う時間の流れがある領域が発見されたらしい。
そこを調査し、コントロールできれば確かに人類史上画期的な成果を挙げられるだろう。
志願した俺たちは調査艇に入った。それはひどく狭苦しかった。自分たちはすでに宇宙服めいた装備を身に着けているから、今更だが。
潜っていくにつれて圧を感じるようになった。何の圧力だろう?わからない。ただ、身体が重苦しく、動かしづらくなったことだけはわかった。
それからのことは、よく覚えていない。目的深度まで潜った俺たちは調査のため調査艇から降り、空洞のような、それでいて不確かな空間を歩いて回った。
なぜか感覚に霞がかかったような、不思議な感覚を覚えた。
「これ以上は危険だ」
隊長が声を挙げた。それまでに数人が倒れていた、と思う。残った者たちはかろうじて調査艇に戻り、地上へ戻るシーケンスを起動した。後に残された者たちを助けるすべはなかった。
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「ここは?」
戻った俺は、病院のベッドに寝ていた。どうやら戻れたらしい・・・戻った?どこから?
俺は何をしていたんだ?
「気が付きましたか、よかった」
若い社員が声をかけてきた。どこかで見た顔な気がした。
(これは画期的なことです)
そうだ、潜る前に彼はそう言っていなかったか?
だが、潜る前とは一体いつのことだ?
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俺はその後何度か潜った。何のためか、それはもう覚えていない。潜るたびにともだちはわかくなっていった。ぼくも若くなっていった。
ぼんやりとだけど、ある時から鏡を見るのがこわくなったような気がする。それがなぜかはわからない。
どうしてだろう?
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きょうはパパが大事なしごとにでかける日だ。あぶない仕事らしいけど、きっとだいじょうぶ。ぼくはパパをそんけいしている。
大きくなったらパパと同じ仕事をやるんだ。
「OKジュニア、いい子にしてるんだぞ。お土産を買って帰るからな」
「ほんと!?パパ、楽しみにしてるね!」
読んでくださりありがとうございます。