表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/44

第8話 EXPフィーバー

「…………はい?」


 書かれていたのは三十文字にも満たない短くて簡潔な文章。しかも小学生でも瞬時に理解できる簡単な内容だ。

 にもかかわらず、あまりに突然のこと過ぎてソウタはメッセージの内容が上手く頭に入ってこない。

 ソウタは今一度ゆっくりとメッセージを脳内で反芻する。そして、


「うおおおおおお!! ユニークスキルじゃん!!!」


 ようやく脳がメッセージ内容を理解し、ソウタは大声で叫んだ。


「こんないきなり手に入っちゃうもんなの……? 【EXPフィーバー】か。名前からある程度は察しが付くけど、効果を見てみよう」


 ソウタはメニューを操作してスキル画面を開く。


【EXPフィーバー】

 このスキルを持ったプレイヤーは、モンスターからの獲得経験値が五十倍になる。ただし、島のメインボスは経験値が膨大なため、その獲得経験値のみ等倍とする。


「ご、五十倍……!? ちょっとサービス良すぎじゃないですかフィフティさん! あんた神か!! あ、神なのか」


 少し戸惑いながらも圧倒的な成長速度を手に入れたソウタは、その場で大きくガッツポーズした。


「……あれ? このユニークスキルって、獲得条件を満たせば手に入るフラグタイプって奴だよな。条件は何だったんだろう?」


 ソウタは【EXPフィーバー】の説明項目欄を下にスクロールする。


<獲得条件>

 全FLOプレイヤーの中で、最初にレベル10に到達した者にこのスキルは与えられる。


「そういう事か。今俺がレベルアップしてレベル10になったから、これをゲットできたってわけね。……あれ、ちょっと待て……? 最初に到達ってことは、あれか。現時点で俺が全プレイヤーの中で一番レベルが高いって事じゃん!!」


 MMORPGというのはプレイヤースキルももちろん大事だが、何だかんだでレベルの高さが

ものをいう。

 いくら魔法が使えないとはいえ、レベルが全プレイヤー中一位となったソウタの強さは

かなり高水準なものになったと言ってよい。

 それに加え【EXPフィーバー】によるチート級の成長速度が手に入ったのだ。長いゲーム人生で一番嬉しい瞬間と言っても過言ではなかった。


「よっしゃー! 俺のFLO生活にもようやく希望の光が差し込んできたみたいだな。なんかみなぎってきたぜ! 今日はとことんレベル上げだ!」


 そう言ってソウタはすぐに移動を開始した。


 ちなみにもしもレベル10になるのがあと五分遅かったら、とある別のプレイヤーが先

にレベル10に到達しており、ソウタがこのユニークスキルを得ることはなかったのだが、それはまた別のお話である。




 その後、レベルの急上昇で一段階強くなったソウタは、先ほど倒すことを諦めたスマイルラクーンにリベンジを挑んだ。

 レベル10になったこともあり、今度はさほど苦戦せずに戦うことが出来た。

 スマイルラクーンを次々と倒してぐんぐんレベルが上がったソウタは、あっという間にレベル15に到達。その頃にはスマイルラクーンを一撃で葬れるまでになっていた。

 ちなみにステータスはこんな感じである。


-----------------------------------


【名前】ソウタ

【レベル】15

【職業】魔法使い

【所持金】2389フィース


【HP】523/523

【MP】0/0

【STR】276

【DEF】230

【INT】406

【MDF】380

【DEX】242

【AGI】239

【LUK】218


------------------------------------



「いやー、かなりレベル上がったなー。15でキリもいいし、そろそろ日も暮れる。今日のところは帰るとしよう」


 満足げな笑みを浮かべつつ、ソウタは始まりの街の方へと歩を進める。

 今夜はいい夢が見れそうだなと思うソウタなのだった。





 そしてその日の夜のこと。

 再びFLO掲示板にてソウタのことが話題に上がっていた。



【速報】変な魔法使いプレイヤーを見かけたんだが


23名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 おい! ID変わってるが、この前このスレを立てた者だ!

 誰かいないか!?


24名前:名無しのFLOプレイヤー ID:D79kkCep

 いるぞー

 この間のスレにいた者だ


25名前:名無しのFLOプレイヤー ID:xtAA9j4g

 俺もこの間会話に参加してた者だ

 どうしたんだ? そんなに慌てて

 もしかして例の少年の続報来たか?


26名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 ああ、その通りだ!

 今日またあの魔法使い少年を見かけたんだが、とにかくヤバいんだよ!


27名前:名無しのFLOプレイヤー ID:D79kkCep

 ヤバいって今更だな。

 初日の時点でヤバいプレイングしてたじゃねえか


28名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 それはそうだが、その時とは違う系統のヤバさなんだよ!


29名前:名無しのFLOプレイヤー ID:xtAA9j4g

 どういう事だよ?

 勿体ぶらずに早く言えよ


30名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 俺、そいつがスマイルラクーンと戦ってるとこを見てたんだ


31名無しのFLOプレイヤー ID:xtAA9j4g

 へえ、なかなか強いモンスターと戦ってるんだなそいつ

 俺、この前戦ってみたら普通にやられそうになってよ、尻尾巻いて逃げ出しちまったぜ

 で、その少年はちゃんと戦えてたのか?


32名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 ああ、戦えてた

 いや、戦えてたなんでもんじゃねえ……

 いいか、驚くなよ?

 そいつ素手でスマイルラクーンを一撃で倒してたんだよ!


33名無しのFLOプレイヤー ID:xtAA9j4g

 はあっ!? 冗談だろ!? そんなのあり得ねえだろ!!


34名前:名無しのFLOプレイヤー ID:D79kkCep

 そうだよ! 出来るわけねえ!

 一撃とか魔法使いの攻撃力じゃねえぞ!!


35名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 だからヤバいって言ったんだよ……


36名無しのFLOプレイヤー ID:xtAA9j4g

 それはマジでヤバイな……

 一体レベルがいくつになればそんな事できるんだよ……


37名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 あ、それなんだけどな

 俺この前、ラコルの実っていう視力のパラメーターが一定時間上昇する木の実のアイテムを手に入れたんだ。

 そんでその魔法使い少年が帰る前にステータス確認してたから、それを食べて遠くから見てみたんだ。


38名無しのFLOプレイヤー ID:D79kkCep

 おいおい、覗きとか趣味が悪いなー


39名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 まあいいじゃないか バレなきゃ問題ナッシングってね

 そんでさ、すぐに閉じちゃったから一瞬しか見えなかったんだけど、レベルだけは何とか見えたんだ


40名無しのFLOプレイヤー ID:xtAA9j4g

 おお、そんでいくつだったんだ?


41名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 15だった……


42名無しのFLOプレイヤー ID:xtAA9j4g

 はあっ!? 15だとお!? 高過ぎだろ!!

 俺まだ6だぞ!!


43名無しのFLOプレイヤー ID:D79kkCep

 無茶苦茶すぎる…… どうなってんだ……

 でも、何で魔法使わないんだろう? 縛りプレイでもしてんのか?


44名前:名無しのFLOプレイヤー ID:hSrn8Lbv

 さあな……

 まあ兎にも角にも、レベルを上げて物理で殴る魔法使いが爆誕しちまったって訳だ

 まったく……、この間は馬鹿にしてたが、とんでもないプレイヤーだぜホント……

 くっそー、なんか俺も負けてらんねえ!

 今日はもう寝て明日からレベル上げ頑張るわノシ


45名無しのFLOプレイヤー ID:xtAA9j4g

 おう、俺もがんばろっとノシ


46名無しのFLOプレイヤー ID:D79kkCep

 ノシ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ヒロインがいない代わりにスレがその役目を果たしていて、主人公が凄いことがわかり、とてもイイと思いました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ