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第23話 ペナルティの代償

 ソウタたちが北の広場に着くと、そこには攻略パーティへの参加者希望者とメインダンジョン発見を聞きつけた野次馬で芋を洗うような人だかりが出来ていた。

 二人はなんとかパーティリーダーと話をするべく、人の隙間を縫って人だかりの中心へと進んで行く。人混み嫌いのソウタとしてはある意味ダンジョンを突き進むよりもきついシチュエーションだったが、なんとか中心部へと辿り着いた。


 そこにはプレイヤーたちを取りまとめているガタイのいい斧使いの中年プレイヤーがいた。おそらくこのプレイヤーがリーダーだろうと推測し、ソウタは声をかけた。


「あのー、すみません。攻略パーティに参加したくて来たんですけど……」


「お、また新たな参加者が来たか。ぜひ参加してくれい。いやー、積極的なプレイヤーが多くて助かるねえ。あ、俺は今回の攻略パーティのリーダーを務めさせてもらうジェラルドだ。よろしくな」


「俺はソウタです。よろしくお願いします」


「リーナです。よろしくお願いします」


「さて、じゃあ早速パーティ申請といこうじゃねえか……ん?」


 簡単な自己紹介を済ましたところで、ふとソウタの頭の上に視線を移したジェラルドは目を細めた。


「おいちょっと待て。ソウタ、その黄色いアイコンとCマーク。おめえ、クラペナの期間中じゃねえか」


 指摘を受けたソウタは少しバツの悪そうな顔となり、


「あー……、そう、ですね。ちょっと今日いざこざがあってペナルティくらっちゃったんです。それが何か?」


 まさかペナルティをくらうような危険なプレイヤーはパーティに入れたくないとか言い出すのではとソウタは不安になったが、ジェラルドの口から出て来た言葉は完全に想定外なものだった。


「もしかして知らないのか? FLOではペナルティ期間中のプレイヤーはメインクエストに参加できない決まりになってるんだぞ」


「何だって!!?」


 ソウタは広場全体に響かんばかりの大声を上げた。博識なリーナもそのルールは知らなかったのか口を両手で覆い驚きを隠せない様子となっている。

 そんな二人の様子を見て、ジェラルドはFLO大全を取り出しソウタたちに記載ページを見せる。


「ほら、ここに書いてるだろう?」


 ソウタとリーナはページを覗き込む。

 そこには確かにペナルティ期間中のメインクエスト参加不可の規定が記載してあった。


「マジだ……」


「ちなみにいつペナルティをくらったんだ?」


「えーっと、数時間前に……」


 ソウタが答えるとジェラルドは難しい顔になり、


「うーん、となるとあと一週間続くのか……。悪いな、そうなると参加を認めることはできねえ。残念だが諦めてくれ」


 ソウタの肩をポンと叩くと、ジェラルドはリーナとパーティ申請を始める。

 そんな光景を虚ろな目で見つつソウタは踵を返した。一人とぼとぼと歩き出し、もはやいる意味がなくなった広場を後にする。


 重い足取りでいくらか広場から離れたところで、後ろから誰かが駆けて来る足音が聞こえてきた。


「ち、ちょっと待ってよソウタ君!!」


 その足音の主は慌てて追いかけてきたリーナだったようで、ソウタは歩みを止めた。


「ん? どうしたリーナ?」


「どうしたじゃないわよ……。何も言わずに歩いて行っちゃうんだもん。そりゃ追いかけるわよ」


「……ああ、悪い」


 ソウタは力なく声を出す。その様子を見てリーナは心配そうにソウタを見つめる。


「その……、パーティのこと……、残念だったね。まさかこんなことになるなんて……」


「しょうがないさ。ルールはルールだしさ。あの時カッとなってプレイヤーを攻撃した俺が悪いんだ」


「そんな……、別にソウタ君は悪くないよ。悪いのはその原因を作ったジル達のパーティだもの。自分を責める必要なんてないわ」


「……………………」


「あのねソウタ君、今回のメインクエストなんだけどね。今パーティ参加の申請は済ませたけど、私やっぱりパスしようかなーって思うの。どうせなら挑むならソウタ君と二人で挑みたいし。だから……」


「……えっ、パスする……?」


 驚いたソウタが言葉を遮った。


「……うん」


「ま、待ってくれリーナ。気を使ってくれて凄く嬉しいけど、それは駄目だ。メインクエストはきっと相当な難易度だろうし、特にメインボスは想像を超える強さのはずだ。だから、ユニークスキルを持ってるプレイヤーの参加が間違いなくキーになる。俺が参加できない以上、絶対にリーナの力が必要なんだ。俺のことは気にしなくていい。リーナだけでも参加してくれ」


「で、でも……! それじゃソウタ君が……」


「いいんだ。そりゃあボス攻略に参加できないのは残念だけど、まだまだこの先も島はたくさん残ってるだろ? ボス攻略に参加する機会なんていくらでもあるさ。だから今回参加できなくっても全然オッケーってな。ハハハ……」


「ソウタ君……」


 悲しげな表情となったリーナにソウタは間髪入れずに声をかける。


「そんな顔すんなって。まああれだ。短い間だったけど、パーティ組めて凄く楽しかったぜ。今度会うことがあったらその時はまた一緒にクエストにでも挑戦しよう。メインダンジョンとボスの攻略、頑張ってくれよ。朗報を待ってるぜ、じゃあ」


 ソウタは軽く手を振ると、すぐにその場を後にした。リーナが後ろから何かを言っていた気がしたが、特に振り返りはしなかった。

 ソウタは無心でただひたすらに宿へと歩いていく。

 そんな最中、ソウタの胸のあたりがズキリと妙な痛みを発していた。

 その痛みがパーティに参加できなかった悔しさから来るものなのか、それともリーナと別れることになった寂しさから来るものなのか、ソウタには分からなかった。

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