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人語遣いの銃と銃使いの少女  作者: N様ちゃん
序章ムガーリアの街
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発掘ギルド

発掘ギルドは基本的な仕組みは冒険者ギルドと大差ない。

ギルド員は能力によってS~Eランク分けをされるが、冒険者ギルドや商業ギルドでの活動履歴を参考に初登録時のランクが決められる。

 求められる資質が同じではないので、仮にSランク冒険者でもSランク発掘員からスタートという訳ではないが、冒険者へ転向する際に冒険者と比べればまだ危険の少ない発掘員を足がかりにする者も少なくはない。


 アマネが受付に向かうと兎人(ラビットマン)の受付員が登録の案内を始める。

 兎人はヒト種と外見的な差は頭の上にある一対の大きな耳があり、脚力と魔力に秀でる者が多いが、こうして一般事務に従事する者も当然いる。

 説明の内容は依頼の受け方、精算方法、違反事項についてが主だったものだ。

「アマネ=セルさんは既にCランク冒険者でいらっしゃるのですね、戦闘経験も豊富ですし遺跡発掘物(ロストテック)の扱いも慣れてるいるようですし、Dランクの登録でも良さそうですねー」

 受付員であるラミーにとっては久しぶりの新規登録員の案内であった。そもそもこの街の発掘ギルドは人気が無い。

都市部とのアクセスが悪いのが大きな理由であろう。

冒険者の足がかりにするにも、もっと利便性の高い発掘エリアは幾らでもある。


尤もアマネはその逆である。より危険度の高い冒険者からの転向、しかも遺跡発掘物(ロストテック)の扱いにも慣れてるので待遇は悪くできない。

少々ランクは高めにでも確保しておきたい人材なのだ。


「では魔力波形の登録をしますので此方の水晶に手をかざして下さーい」

 そう言われアマネの顔は引きつった。魔力が全く存在しない以上、個人ごとに違う魔力波形登録ができないし、扱いが冒険者になった時にはそんなものは必要なかった。

 魔力を持たない人間をアマネは見たことも聞いたこともなく、迫害まで行かずともトラブルの種であったのだろう。

 無理のある引きつった笑顔を浮かべるしかなかった。

遺跡発掘物(ロストテック)は歴史を紐解く上で必要不可欠なものですし、紛失や盗難を防ぐ為に必要なものなのですー。勿論プライバシーに関わるものですからイヤなのは分かります!私も女ですから!」


アマネが思うこととは違うであろう懸念をラミーは同感とばかりにウンウンと頷く。

 腕を組み目をつぶって大袈裟なアクションをとってる隙にアマネはオロールを水晶に押し付けて魔力波形を登録してしまうことにしたようだ。

「登録しましたよ!」

「ああ!ありがとうございますー!」

オロールはこの間ずっと押し黙っていた。それが事前にアマネと交わしていた約束だった。

 曰わく、お前は魔力がないことを面倒だと思いはしても恥じてはいないかもしれないが、俺は身体を持たず中途半端に寄り代に降りた事を恥じているんだ。だから俺のことはただの武器とて扱え、話しかけるな。とのことだった。


 こうして登録が終わり発掘員になったアマネは辺りを見回しラミーに訪ねる。

「ところで所属している方って人間って今ここにいる人間の他にどれだけいます?」

 アマネが質問したのはギルドにいる人間の数が少ないからだろう。依頼で出ている者もいるだろうが、日も落ち夜になるにしてはアマネ、ラミー達を除けば4~5人ほどしかいない。

「ああ、それはですねー凄い規模であろう未踏遺跡が三日前に見つかりましてねー、あんまりにも規模が大きそうなものですから学者さんを含めたちょっとしたキャラバンみたいな大所帯でしてー」

アマネが詳しく説明を求めるとラミーは勢いよく語り出した。


 最初に発見したのはムガーリア発見ギルドの筆頭発掘員である鼠人(ラットマン)のアティクシュ。学者も兼ねる彼は自由探索をするうちに未調査エリアまで入ってしまっていた。

 強力な魔獣が生息する故に未調査になっていたエリアではあるが、そこでかつてない程の大きさだと思われる遺跡を発見、ギルドに戻った後に自らが依頼者となり、今朝方人を引き連れて行ったそうだ。


「そういう訳で、今残ってるのはその場に居合わせて無かったとか、アティクシュさんと馬の合わない人とかー」

「アイツの依頼を受けるなんてゴメンだかんね!」

聞こえていたのだろう、赤髪の人族(ヒューマン)の女が割って入ってきた。

「アイツが筆頭ならアタシはなんだってんだ?」

凄まれたラミーが手を振りなら必死に訂正する。

「いえいえー!ルイーズさんも筆頭です!お二人がウチのギルドの看板発掘員に違いありませんー!」

 同等扱いに納得は行かないまでも落とし所としたのだろう、冗談だよと笑って手をヒラヒラさせるルイーズ。

 二人のやり取りを見ていたアマネも笑顔を浮かべていた。そして何か思いついたのか指をピンっと立て、一つ提案をした。

「じゃあルイーズさん、私の依頼を受けてくれませか?」

ルイーズはチラとアマネを見る。その表情は呆けていた。

「その未踏遺跡の調査、私を連れて行って下さい。」


「「「はぁ!?」」」

驚くような声が3つ重なった。

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