ナダル様の心変わりと私の変化
恋はこんなにも人を変えます。
「サリー様、最近ますますお美しくなられましたね。恋は女性を美しくするとは、本当の事でしたのね。」
侍女のラーナがうっとりした表情で言いました。ええ、私もそう思います。
これまでお化粧やお洒落に興味のなかった私ですが、自分でも見事な変身をしたと思います。
彼に喜んでほしくて、お化粧やダイエット、髪のトリートメント、お洒落、話題作りの為の読書、礼儀作法、経済学を必死になって学びました。
最近少し素っ気ない彼の事を、少しでも振り向かせたくて、その一心で頑張りました。
そのおかげか、最近は他の男性からお声をかけて頂くことも少なくありません。
勿論私はナダル様一筋なので、どんなお誘いも華麗にスルーさせて頂きました。
誰にも見劣らない美しさを手に入れた私、これでナダル様も私の事を、もっと愛して下さるはずです。
さぁナダル様!私を見て!美しいと言って!私に触れて下さい!
ナダル様!!
‥‥恋は人を狂わせます。冷静さも失わせてしまいます。
いつしか私は全身全霊でナダル様を求めるようになっていました。
私はこんなにもナダル様を愛しているのだと必死にアピールしました。
そしてとうとう、、ナダル様の部屋で私達は一線を超えてしまいました。
女性慣れしているナダル様の事だから、とてもロマンチックなムードで甘い交わりになるのだと思ってましたが、、
初めての行為にまごつく私にイラついた態度を見せたり、痛いのに強引に貫かれたり、気付けば私は終始泣きながら、ナダル様のされるがままにされていました。
それでもこれでやっとナダル様を私のものにできたのだと、嬉しくて涙が出たのだと自分に言い聞かせました。
行為の後、冷たく私に背を向けてベッドから離れてどこかへ行ってしまったナダル様。。
出血が止まらず、立つこともままならない私はすぐに追うことも出来ず、泣きながらシーツを身体に巻き、床の上に落ちたドレスを拾い、なんとか自分で着る事が出来ると、、
明け方の外気の寒さに震えながら、歩いて屋敷へと戻りました。
出血と痛みで、立ちくらみがしましたが、そんな苦痛を与えたナダル様の事を恨むどころか、
次こそはうまく抱かれなきゃ!と意気込むのでした。
彼が冷たいのはきっとーー
私の努力が足りないからだ。私がナダル様の思うような反応を見せられなかったからだ。頑張ればきっとナダル様は振り向いて下さる。いつか私に夢中になって下さる。
彼のまわりのどんな女性よりも素敵になってみせる!
そう決意を新たにしたのでした。
不完全燃焼で終わる恋ほど、後をひくものはないです。
だから、サリーも今は辛くても、納得の行くまでナダルにぶつかっていって欲しいと思います。