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貴方の事はもうそれほど‥‥  作者: みるみる
10/19

ナダルside

ナダルside、この話で終わりです。

ちょっと下衆で読むのに辛い部分があるかもしれません。



ジョアンが出産した。女の子が産まれた。とても可愛い女の子だった。


子供は沢山欲しい。だから、またすぐにジョアンに次の子をせがんだ。


ジョアンは、僕に抱かれる事を拒み続けた。ジョアンが僕を拒むなんて!拒まれる度に僕はジョアンを罵ってやった。


あんなに丈夫そうなジョアンだったが、はじめての育児で一日中疲れ果てている様子で、それからも僕を拒む日が続いた。



僕はジョアンも娘の事も愛してる。いや、愛してるはずだ。


だけど、この苛立ちは収まらなかった。


「いったい誰のおかげでお前たちは生活できているんだ!」


そう言ってやったら、、


あの明るくキラキラしたジョアンは、目の下に隈をつくり陰鬱な表情で、僕を睨んできた。


「誰の子供を産んで、私がこんなに苦しんでると思ってるの!」


ジョアンが初めて僕に口答えをした!


僕は、初めてジョアンに手をあげた。


それでも睨んでくるジョアンにもう一発、もう一発、平手打ちをしてやった。なんて女だ!お仕置きしてやらないと気が済まない!


涙を流しながらも唇を噛み、泣くのを必死に堪えてる様は、とても醜く思えた。



鬱蒼とした気分のまま、僕は街へ出ていった。




街を歩いていると、ふいにサリーの事を思い出した。


まだ婚約者だった頃、サリーが自分の為に一生懸命綺麗になった事や、色々と勉強をしてた事を知っていた。だが、特に褒めたりはしてやらなかった。


サリーが僕の為に頑張るのは当然のことだからだ。


それにしてもサリーが色気づいて迫ってきた時は、なんて淫乱な女なんだ!と思い失望したけど、、


そんなに言うなら、と乱暴に抱いた時は妙に興奮した。


痛がる彼女の顔、歪んだ表情、全てが理想の女だった。


そう、もう妻にはしてやれないが、たまにだったら抱いてやっても良いと思えた。


僕に置き去りにされて、自分で服を着て歩いて帰って行く様子を、僕はかげでずっと見ていた。


とても、良い気分だった。


ただ、胸の奥が時々チリッと痛んだが、それが何の痛みなのかは分からなかった。


それからも、彼女が会いたいとせがんできたら、何回かに一回は会って抱いてやった。


本当は毎日でも抱きたかったが、そんな事をすればサリーが付け上がる。


だから僕は、サリーを抱かない日は若くて肉肉しいジョアンを抱いた。


そしてジョアンはすぐに僕の子を孕んで、大きいお腹を更に大きく膨らませるのだった。


僕は満足だった。


ジョアンは流石だ。すぐに妊娠したし、今後も沢山の子を産んで貰うつもりだ。




それなのに、ジョアンは出産後変わってしまった。


母は、女性は皆出産後は心身共に不安定になるし、赤ちゃんのお世話で疲れてるのだから、僕にもたまには赤ちゃんのお世話を手伝ったり、ジョアンに優しくしてやれ!と言う。


僕はジョアンと娘の為に頑張って働いてお金を稼いでいるのに!それ以上何を頑張れと言うのか!


ジョアンは、そんな欲張りでも弱々しい女でもない!


でもどうして‥‥僕だけが悪者になった気がしてしまうのだろう。



そんな事を考えて歩いていると、良く知ってる顔を見かけた。


サリーだ!


捕まえて話しかけなきゃ気が済まない気がした。


咄嗟に腕を伸ばし、サリーを掴んで声を掛けていた。


「サリー、久しぶりだね。お茶でもしようか。」


「…‥いえ、今日はちょっと…。」


明らかに迷惑そうな表情を浮かべるサリー。


「じゃあ後日改めて誘うよ。お互いの近況を話すぐらいは良いだろう?」


「…旦那様に聞いてみます。」


サリーは旦那様と言った。あぁ、あの年取ったドーベル公爵の事か。


「良いよ。じゃあまた。」


僕は、サリーが婚約破棄後にドーベル公爵と再婚した事を知ってる。


一回りも歳上の旦那とじゃ、夜の生活にも満足していないだろう。


それに、子供!彼女はまだ妊娠もしていない!


僕はサリーとの行為の際は避妊していたが、今は避妊する必要はないはずだ。なのに妊娠してないと言う事は、、


サリーが妊娠しにくい女なのか、旦那のドーベル公爵が種なしなのか、

それとも、、まだ抱かれてないのかのいずれかを意味するだろう。


僕はとても気分が良かった。


今度サリーに会った時は、ジョアンがすぐに妊娠した事、可愛い娘が生まれた事を自慢してやろう。


そう思うと、またサリーに会えるだろうことがとても楽しみに思えてきた。


それにしても、相変わらずサリーは綺麗だった。慎ましい雰囲気が戻っていたし、旦那に愛されてる幸福感、女の自信に満ちた顔をしていた。


それでも身体の方は旦那に満たされてはいないだろうから、サリーが物欲しそうな素振りを見せたら、抱いてやっても良いと思えた。


やはり僕の胸の奥で何かが騒ついていた。サリーに会うのが、悔しいけど楽しみだった。このもやもやした気持ちは何だろう?


それでも、何となく気が晴れたので、僕は家へ戻りジョアンに手をあげた事を謝り、仲なおりしてやっても良いと思っていた。

つぎはドーベル公爵sideで話を進めようと思います。

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