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俺の番号はH-35623です  作者: にょこまる
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第1話「人間は魔族のための奴隷です」

「おい、さっさと歩け、鈍いんだよクソ共が」


バシンッ。ムチで叩かれた。痛えな…クソッ。


「なんだその顔は?舐めてんのか?H-35623、こっちに来い」



いつものお遊びタイムか。これくらいのことは慣れている。前世で嫌という程殴られてるからな。


あ?俺の名前か、俺は前世では工藤七貴って名前だったが。いじめに耐えられずに自殺した結果がこれだ。


ある日目を覚ますとどこかの収容所の人間と入れ替わってた。周りは鉄格子で囲われた、刑務所のようなところだな。ここにいるやつはみんな番号で呼ばれてる。だから今は名前がH-35623だ。


ここに来て2週間ってところか?大体の様子ってのが分かってきた。


まずここは収容所に違いはないのだが、看守が全員獣人ぽいというのか、前世のゲームでは魔人とか魔族って言ったな。まあ魔獣に人間が虐げられてるってのは分かる。


この収容所の中ではほかの人間と会話するのは禁止。転移して初日に口を開いたら何本か骨をおられちまった。

加えて昼間は農作業だ。食事は一応支給されるが、働いて汗を流してるってのにパン1個にコップ1杯の水だ。過酷にも程があるだろ。


夜は12人一部屋の二段ベットで寝る。夕食は一応食堂があるが大したメニューもないし量もない。


これだけ見ると魔獣の国の奴隷か、犯罪者の収容所に思える。


さすがに便所には看守の目がないとあってそこでは唯一会話ができた。


「くっそあのクソ牛が、こっちはまともにやってるのに腹いせで殴ってくるのはまじで腹が立つぜ」


「こっちのビーストは俺の目の前で昼飯を踏みやがったんだぜ?もうこんな生活辞めてえよ!」


「なぁ、ここってどこなんだ?」


おれはずっと気になってたことを聞いた。まあ反応は大体予想つくが。


「「「「は???何言ってんだお前」」」」



だろうな。さてどういう設定で行こうか。


「いや、2週間前に目を覚ましたらいきなりここにいたって言うか…」


「お前まさか何も知らないのか?元々どこの国の出身だ?」


「それも思い出せなくて…」


「マジか、記憶喪失ってやつか」


「こいつならちょうど2週間前に送られてきたやつだぞ。連れてこられる時に余程ショックなことでもあったのだろう」


「おい!さっさと出ろ!時間だ」


看守の怒鳴り声と共に便所集会は解散となったが、それから就寝前に集まるのは恒例化していた。

その集会でこの世界の全容が見えてきた。


まず、この世界では人間が魔獣の奴隷という存在になっているという事だ。老若男女問わず全員だ。


この世界には昔から魔族と人間が存在しており、どちらも常に対立して、戦争も度々起きていた。これまでは両者の実力は拮抗しており、人間は知力で、魔族は圧倒的な能力でそれぞれを押さえつけていたのだ。


しかし2年前、魔族内でのクーデターにより、魔族を統率する魔王が代わると、状況は一変する。


新しい魔王となった竜人族のアレクだったが、こいつの統率力が半端じゃなかったらしい。これまで力によるゴリ押しが戦術だった魔族だったが、ここに戦略を組み込んで来たのだ。



知力で勝っていた人間だが、その利点が失われると形成は魔族に傾く。瞬く間に人間を蹂躙し、ちょうど2年ほど前全ての人間領を支配したのだ。


その時に突きつけた条件として、「人間は全て奴隷とする」というものがあった。断っていたら人間は皆殺しにするというものだったので受け入れざるを得なかったらしい。


魔王アレクは聡明であるらしく、人間を奴隷にすることで労働力を補い、魔族が上位に立たせることで魔族の支持を厚くして自らの絶対権力体制を確立させたのだ。


ただでさえ欲深い魔族を抑えるには身分制度を整えて魔族至上であることを示す必要があったらしい。


ここの収容所には大戦以前の強国だったハルート王国の皇太子もいた。



「皇太子様、色々教えていただきありがとうございます」


「いや、その呼び方はやめよう、いまや対等の身分なのだから、元の名前はエルラートだ、こっちの名前で呼んでくれ、ここにいるやつはみんな友人と思って接しているからお前もそうしてくれ」



「わ、わかったよ」


「ちなみにお前の名前はなんだ?覚えていないのか?


俺の名前か、適当にナナキにでもしておくか。


「名前は覚えてる、おれはナナキだ、よろしくな」


「ナナキ、よろしく、君とは歳が近そうだから仲良くしよう」


そういえばこっちに来てから鏡を見てないな。エルラートは見た目的にも15.6歳くらいだろうか。ということは俺の前世の年齢とそう変わらないな。


「おう!」


こうして俺の第2の人生は奴隷から始まったのだった。

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