@2 事情把握
さて、私自身の状況を整理することにする。
一つ目
【私自身は小説を書いていた】
二つ目
【その小説の世界はファンタジー系統】
三つ目
【なぜかその世界に私がいる】
ついでに言うと、電気・水道・ガス・インターネットがつながった家もついてきた。
単刀直入に意味不明。
「まずなんで私が書いてた小説に入った?」
ただ、たんに趣味で書いてただけなのにこういうことになるとは・・・
どうせなら私自身を出させて勇者位置にしておけばよかったと後悔。
「そして、意味不明な力でつながっているライフライン。」
電話は・・・使ったのがいつだろうか。
「まてよ・・・」
今いるところを描いている小説がこの世界、
なら、その小説に書き加えればいいんじゃないか?
~~自室~~
「・・・うん。」
とりあえず小説に書き加えることにした。
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「この扉の先に王様がいるんだね?」
「うん、わたしもついていくからさ、いこ?」
私たちはゆっくりと扉を開けた。
~シュレズム城 王の間~
「わ、私。この度ぼ、冒険の書をぉ…」
「・・・ミナ。落ち着いて。」
小さな声でヘレナが言う。
「私、この度冒険の書をもらいに来ましたミナ・フォルテシモと申します!」
なんか違うような・・・ とヘレナは思うが通じたようで。
「そうかそうか。おぬしがミナというものか。 よかろう。これが冒険の書じゃ」
王様からあっさりと手渡される冒険の書。
ミナはきょとんとしている。
「おぬしの職業はなんじゃ?」
「魔法使いです・・。」
「いや、ステータスには職業の表記がないのですが。」
隣にいた黒服の女性。いわゆるシスターとか聖女とか言われる人が言う。
「・・・どういうことだ?」
「私にもわからないんです。職業診断してもらうと大体職業だけ出てこなくて。」
ミナには隠された能力があるのか、職業をどこで調べてもらっても不明なのだ。
両親の職業を理解していないミナは可能性のある職業が推測できないのである。
「ふむ・・・」
「あの・・・一つだけ調べられる方法があります。」
シスターが言う。
「城壁の扉を出てこの先、真っすぐ行くとの小さな小屋にたどり着くと思います。
その小屋にはあなたが希望している魔法使いの女性がいます。その方はステータスを把握する魔法。
(リード)を習得している唯一の人物です。尋ねてみたらどうですか?」
自分の職業がしっかり把握できる人がいるかはわからないが、一つののぞみをかけていくことにした。
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「とりあえずこの世界と私をつなげることに成功したな・・・」
ストーリーの進行を考えるならミナの職業を確定刺せなければいけない。
その役割に私自身を選んでみたってわけだ。
「ただ・・・私は・・・あれ、男だっけ女だっけ・・・」
一人称が私で固定されているせいなわけがないが性別が不明になる。
ただし・・・その・・・
「私は、男だったはずだ・・・。」
服にはスカート等のものはなく、男性物の服ばかり。
まあ、そりゃそうだよな。男だもん。
そう思ってるなか、視界がゆがむ。
「世界が・・・回って・・・まぜら・・・れ・・」
そこには意識を失った私がいた。
~※分後~
ピンポーン
「だ、誰か来た・・・?」
ふらふらしながら玄関に向かう。
「はーい・・・?」
「あなたが魔法使いさんですか・・・?」
「あ・・・え・・?」
私は混乱する。
目の前に青いとんがりぼう・・・・し・・・・
「・・・ミナさんと、ヘレナさんですね。」
ふと口が動く。
名前は確かに知っている。だって、著者だもん。
けど・・・・その魔法使いって女性だったはず。
「そ、そうですけどなぜ・・・」
「話聞いてた・・・?ステータスわかる能力持ってるからわかるはずだよ。」
そういえばそんな設定を付けたな。
ただし・・・
「ちょ、ちょっと待ってて」
といって私は洗面所に走っていった。
「これ、私・・じゃない。」
身長は170cm、たぶん変わってない。
見た目としては女子高生が近いかな。
たとえるならそう・・・図書館とかにいつもいるメガネっ子が眼鏡をはずしたときみたいな。
あ、そこまでは視力が低いわけじゃないから眼鏡かけなくても大丈夫。
・・・しいて言うなら、胸がでかい。手でつかもうとしても収まりきらないレベルで。
まあ・・・そのせいで、
「・・・胸が痛い。」
女性の悩みだろうか・・・これは。
「ふむぅ・・・」
まあ・・・ちゃんと防具を買わねば。あともう一つ疑問が。
「この服は誰のだ・・・?」
私には姉も妹も兄もいた。3番目の子供だった。
姉と兄はもう就職して遠くへ行ってしまったが・・・
姉の服は残ってるわけがないが、妹の服が170cmの私に着れるか、かつ・・・
あいつには・・・こんな果物は付いてないはず・・。
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「あの人・・・寝ぼけてるのかな?」
城門を抜けて森を抜け。城下町にはなかった見た目の建物に尋ねた。
そしたら、急に「待ってて」と言い残して建物の奥に行ってしまったから。
「うーん・・・せめて連絡入れたほうが良かったかもね」
後で帰ってきたらあやまろ、と思ったミナであった。
「ごめんね、待たせて。」
「いえいえ・・連絡しなかった私たちがいけなかったので。」
ヘレナがフォローしてくれる。
「・・・で、私を訪ねてきたと。」
女性に事情を説明した。
「で、私の職業は何なんですか!」
「ミナの職業は・・・」
女性は困ったような表情をする。
「残念だけどはっきり見えない。」
「そんな・・・」
「はっきり見えないってどういうことですか?」
「職業が・・・なんというか。」
「なんというか?」
「はっきりしていない、ぼやけて見える感じかな。」
「・・・じゃあ、はっきり見えるまでついてきてくれませんか?」
「ちょっと、ヘレナ!」
「わかった。」
「え・・・」
女性が同意してくれた・・・
「私もはっ・・・いや、体がなまってるから行くよ。」
何か言いかけてた感じがするけど。
ということで職業が不明なのに仲間が増えたよ。
「ではどこ行きますか?」
「いや・・・その前に準備させて。」
「じゃあ、私たちは」
「入っていいよ、あ、そこで靴を脱いでこっち。」
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というわけで私はこの小説の主人公パーティーに入ることになった。
「こんな展開は小説に書いてないはずだが・・・」
疑問を覚えながら小説ファイルを開いてみる。
「・・・え。」
小説ファイルはあるものの開くためにはパスワードが必要となっている。
私はそんなことしない。
パスワードなんてかけていないならわかるわけなく。
「つまり、小説の登場人物には編集することは不可能・・・と。」
ある意味積んだなこれ。