ワスレナグサは雨に濡れる
オープニングです。本編前の第一部前の0話です。
ある日の朝。夢を見ていた気がする。
とても懐かしい夢。
内容といえば覚えていないのだが、とても懐かしかった。
どうして今更、という気分だ。
なぜだろう。
まぁいいや、仕事に出る準備をしようと思ったところで気が付いた。
今日は仕事がない休日だということに。
なのにこんなに早い時間に起きてしまったのだろう。
きっと内容を覚えていない夢のせいだ。
もう一度寝る気にもなれず、仕方なく起きることにした。
ふとある写真が視界に映る。
あぁ、もうすぐ君の命日なんだ。
あれからもう15年経つのか、と。
ここであることに気が付いた。
「あ、今日子供たちの誕生日だ。ケ-キ頼んでない。ショ-トケ-キでも買いに行くか」
今日も一日は動き出す。君のいない今日が。
降り続く雨が大地を濡らしていた。
ねぇ、君は泣いているのかな。
きっと君は泣いてはいないのだろう。
でも君の心は泣いているようだ。
会いたい。
会いたいよ。
「みうな。あいたい」
そうつぶやいた言葉は誰の耳にも聞こえない。
君は聞こえたかな?
聞こえているといいな。
君に会って。
君と話して。
君に触って。
ただ二人きりに時間をもう一度過ごしたい。
一日でいい。
一日でいいから、あの時の君に謝りたいんだ。
写真に映る君に、じゃなくて、君自身に言いたいんだ。
そうじゃないとここから動き出せない。
あの日から15年も経っているのに、雨の日はあの日に戻ったみたいで、あの日、あの瞬間から1秒も経っていない様に感じる。
動き出すために、前を向いて行けるように。
でも君は立ち止まっているより前に進んでいる”僕”が好きだと言ってくれた。
だから進むよ。
どんな事があっても。
だって一人じゃないから。
だから進もう。
オ-プニングくっそ短くてごめんなさい。次話からがっつり書きます。