7話
森を抜けると小さな村が見えてきた。
「あれがユーリ村になります!」
ソフィアさんがフンスと鼻息を出してそう言う。おそらく無事村に到着できたのがうれしかったのかな?
「あれがそうなんですか……あれ?門番の人いますけど、俺入れるんですかね?」
村には小さな門がありそこには女性が一人槍を持った状態で立っていた。おお、なんというか全部新鮮だ。槍なんて実物みたことなかったし、そもそも槍持って立っている女性というのがね、うん。
「何をおっしゃいますか!勇者様ともあろうお方を受け入れないなど死刑ですよ!死刑!」
「勇者って、便利なんですね」
なんか特権階級みたいで勇者様むず痒い。これ絶対色んな各所で悪い噂立つくらいの横暴権力な気がする……。
「む、これはソフィアさん。巡回お疲れ様です。そちらの方は?」
門につくと女性がソフィアさんに話しかけている。確認したいのだろうか?俺の方を疑うように見ている。
「聞いて驚け!こちらの方は勇者様だ!」
ズバーンとソフィアさんは鼻高々にそう言い放った。いや、散々驚いてたソフィアさんがそれ言うと説得力あるなぁ……
「ゆ、ゆ、勇者様ぁ?!本当ですか?!」
そんでこっちの門番の人もいいリアクションするなぁ……。なに?異世界って基本オーバーリアクションなの?
「あ、えっと、そうみたいです、はい。これが証拠っぽいです」
そういいながらうなじを見せる。あぁ、女性の前で二度も自分からうなじを見せつけるとかなんて羞恥プレイ?
「ほ、本物だぁぁ!本物の勇者様だぁあぁっ!」
門番の人は目を見開きそう叫ぶ。いや、怖いよそのリアクション。膝ガックガクさせてる、目は見開いてるし、なんでそんな震えてるの?
「そ、村長に伝えてきますぅ!!」
「あ!おい、待て!」
ソフィアさんが止めようとするもそれを聞く前に門番の人は村の奥へと走っていってしまった。
「も、申し訳ありません陸さま。まずは村の宿で落ち着きましょう……。」
「は。はい……」
なんだかしくじったといった表情のソフィアさんに連れられ宿へと向かう。途中、通りすがる人から視線を感じまくったが気にしない。ほぼほぼ女性だったなんてまだ考えない。
宿に入るとソフィアさんは受け付けの女性に耳打ちをしていた。すると、女性は大慌てで奥へと入っていってしまう。
「ささ、陸さま。お部屋へ御案内します。」
「あれ、受け付け大丈夫なんですか?俺まだ何も……」
「ご心配なさらずに!このソフィアが全て順当に!」
「は、はぁ……?」
ドヤ顔を決めるソフィアさん。おそらくこの人ポンコツ属性ついてるきがする。
部屋に入るとソフィアさんは椅子を引いて「さ、こちらへどうぞ」とまさに紳士的。女性だから淑女?なんだろ、わからん。
「あの、早速なんですけど、色々教えてもらっていいですか?」
「はい!なんなりと!」
目を輝かせてどうぞ!というソフィアさん。あんなに泣いていたのが嘘のようです。
「えっと、勇者ってなんなんですか?みんな知ってるみたいだったんですけど……」
「はい!勇者様とは、古くから語り継がれてきたこの世界を救うお人です!言い伝えには、世界が滅びようとする時女神の祝福によって救世の勇者が舞い降りるであろう、と!」
そう言ったソフィアさんの後、頭の中で《ふふんっ》といった社畜女神。あのお座なりな説明は祝福だったのかーそっかそっかーと俺苦笑い。
「そしてつい最近、王都の司祭が女神さまの祝福がこの地に舞い降りたと伝令がありまして!それに伴い私のような騎士が周辺を警戒しておりました!」
ビシッと敬礼。もうソフィアさんのリアクションの一つ一つが面白くなってきてしまった。やばい、真面目な話が入ってこないかもしれない……
「そ、そうだったんですか……。あの、1つ気になってたことがあるんですけど。」
「なんでしょうか?」
「男の裸って、特別なんですか?」
「ふぇっ?!えっと、そ、れはどういった意味で?!」
「いや、ソフィアさんそういえば最初俺の裸恥ずかしがってたじゃないですか?男の裸なんてそんな恥ずかしいものなのかなって……」
「は、恥ずかしいとは違います……」
顔を俯かせ微かに震えながらソフィアさんは言う。いや、え、なに?男の裸なんかあるの?
「え、え、」
「え?」
「エッチなんです!男の裸っていうのは!興奮しちゃうんです女性ならみんな!私だけじゃないんです!うわぁぁんっ!」
顔を真っ赤にして泣き出すソフィアさん。
大丈夫ですか、ソフィアさんのこと責めてるわじゃないですから。だからそんな言い訳っぽいこと言わなくていいですから……そんなことを思った俺は、後々言い訳なんかじゃなく真実だったと身を持って知ることとなるのだった。
量少なめで更新多めがいいってわかりました。
量多めで更新も多め?すいません社畜卒業したらそうします、すんません