6話
ズッサァァァ……
助けてくれた女性は俺のうなじ、もとい刻印を見た瞬間土下座した。ジャンピング土下座だ。森の凸凹した地面を諸共せずの土下座はそりゃもう美しかった。
「えっと……?」
「ほんとに!申し訳!ございません!!」
地面に額をこすりつけながら謝罪を叫ぶ女性。なにこれ、異世界ほんとに異常なんだけどなにこれ。
「あ、あの、むしろ俺なんかの裸晒しちゃって申し訳なかったなぁというか……」
「そんなことはございません!でずがらっ!どうがぁっ!お帰りにならないでくださいませ!どうかぁぁ!!うわぁぁんっ!」
やばいよ遂には泣き出しちゃったよしかもガチな感じの泣き方だよ。
「ど、どうがぁっヒックッ……おねがいいだじまずがらぁっっヒックッオヴェッ」
そろそろほんとに止めなきゃまずい。泣きすぎて嗚咽し始めてる。さすがに目の前で吐かれたらトラウマになりそうだ。既に忘れられない泣き姿だけれども。
「あ、あの!気にしてないんで俺!ほんとに!大丈夫ですから!ていうかむしろ助けてくれてありがとうっていうか!」
「ヒックッ……ほんどぅですがぁ?か、かえっぢゃっだりしませんかぁ?」
「本当です!えっと、どこにかはわかりませんが帰ることもないです!」
「ヒックッ……ズルルっ。……コホンっ。た、大変お見苦しいところをお見せしました。すいません……。」
「(めっちゃ鼻すすりよった……)い、いえ……ほんとに大丈夫ですから……あの、貴女はいったい?」
ようやく本題を切り出せた。この色々やらかしてる女性は何者なんだろうか?騎士としてとか言ってたけど、まだ名前を聞けていないんだよなぁ。
「こ、これは大変失礼をっ。私はソラシルドで騎士をしております、ソフィア·ソーヴェスタと申します。ソフィアとお呼びください、勇者様。」
ソラシルド?なんだそれ?町?
それに勇者様って……なんだかゾクゾクする。
「そ、それじゃあソフィアさん……えっと、俺さっきここに来たばっかりで実は何もわからないんですよ。自分が勇者だとか、この世界のこととかさっぱりで……」
「なるほど。かしこまりました。しかし、ここではまたいつモンスターが襲ってくるかわかりません。森を抜けたところにユーリという小さな村があります。そこで説明をさせて頂きたいのですがよろしいでしょうか?」
「あ、はい。よ、宜しくお願いします。」
「ハッ!このソフィア、命に代えても勇者様をユーリ村へ御案内いたします!ささ、こちらへどうぞ……」
そういってソフィアさんは俺の手を取りゆっくりと歩いて行く。おそらく先程までの醜態を名誉挽回と張り切っているのだろう。手を握っている力が強くなったり弱くなったりしているのは張り切りすぎの証拠かな?
「あ、ソフィアさん。勇者様っていうの、俺まだあんま理解してないですし、なんかソワソワしちゃうんで陸って呼んでください。俺の名前、岡部 陸っていうんです。」
「そ、そんな!勇者様のお名前をお呼びするなんて恐れ多い!」
えぇ……この世界の勇者の地位高杉じゃない?貴族超えてる気がする。大丈夫なのかこの先。
「大丈夫ですよ。それに、俺がそう呼んでもらいたいんです。ダメですか?ソフィアさん」
「そのようなことはけしてっ!で、では……り、陸……さま」
「はい、ソフィアさん!有難うございます!」
まぁさま付けなのは追々とってもらおう。
それにしてもソフィアさん名前呼んだだけなのにすげぇ顔赤くしてるし。なんかブツブツと「これが結婚かっ」とか「手が孕みそう」とか物騒なこと言ってるし。なんなの?俺勇者じゃなくインキュバスになっちゃったの?
《あながちインキュバスっていうのも間違ってはいないかもしれないですね》
「うおっ」
「ど、どうなさいました陸さま?!敵ですか?!モンスターですか?!えぇい!出てこい!このソフィアが陸さまには指一本触らせんぞ!!」
「あっいえ、大丈夫です!なんでもないです!」
(いきなり話しかけるなよっ!びっくりするだろ!)
《だってぇ、なんだか入りにくい空気してたんですもん》
(全く……それで、間違いじゃないってどういうこと?)
《あーそれなんですけどね。この世界、あんまり男の人いないんですよ》
(え?どういうこと?)
《魔王が殺しちゃったんですよたっくさん。えっと、たしか……あ、1000年前くらいですかね!魔王が復活してすぐ男性刈りが行われたんですよ!》
え、なにそれ怖い。
《なんか魔王は男性に異様に憎悪を抱いてるようで、しかも人型の男性に。それで、数が今でも少ないんです。魔王は男性を見ては即殺しちゃうみたいで……》
どんな理由かはわからないが俺も男である以上少なからず恐怖を抱いた。種の半数を減らせるほどの力ってやばくない?一体どんな理由があればそんな憎悪生まれるんだ……
《あ!思い出しました!人型の男性に「美しくない」って言われたからだった!》
しょうもなっ
感想もらってテンション上がった結果明日四時起きにもかかわらず更新